部屋探しのトラップ、“おとり物件”の意外な実態-発生は3月が最多

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2024年03月09日 09:11  マイナビニュース

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春からの新生活を目前にひかえ、ちょうど部屋を探し中という方もいらっしゃるのではないでしょうか。「この街に住みたい」「こんな部屋に住みたい」と理想を言い出したらキリがないけれど、出せる予算や空き物件の状況という現実と折り合いをつけながら、できる限り希望の条件に合った良い部屋を見つけたい。そんな部屋探しでトラップとなりうるのが、いわゆる“おとり物件”。先ごろ不動産・住宅情報サービスLIFULL HOME'Sが報道関係者向けに行った発表会で、“おとり物件”の実態が明かされました。


○“おとり物件”とは?



“おとり物件”とは、不動産ポータルサイトなどに入居者募集の広告が掲載されているのに「存在しない物件」や、「存在するが、取引対象にならない、あるいは取引の意思がない物件」のこと。「ここいいな」と気に入って問い合わせしたのに、実際には存在しない、あるいは物件はあるけどもう他の人が借りてしまっていたとしたら、リサーチにかけた時間も労力もムダになる上、期待した分の落胆も大きく、ダメージは倍増。一体なぜ、こんなことが起きるのでしょう。



そもそも“おとり物件”と聞いて思い浮かべるのは、「吉祥寺駅から徒歩5分、新築の1LDKで家賃5万円」というような信じられないほどの好条件で、「え、こんな夢のような物件が!?」と半信半疑で問い合わせてみたら残念、やっぱりありませんでした……というようなシチュエーションではないでしょうか。でも実際は、不動産屋におびき寄せるための撒き餌のような“おとり物件”は、現在ではほぼなくなっているそう。


確かに、数十年以上前には、不動産会社が「こんな部屋があったらいいよね」なんて架空の物件情報を書いて、それを広告掲載するような悪質なケースは実際にあったといいます。あるいは、不動産会社が貸す意思のない部屋を借り、相場より安い家賃で募集広告を出して、見学に来たお客さんに「これは6カ月の定期借家締約なので、半年で退去して頂く物件なんですよ」と、借りるのは現実的ではないことを匂わせながら他の物件に誘導する、なんていう例も。不動産ポータルサイト側では、そうした悪質な不動産会社を取引停止処分にしたり、架空の物件情報を調査して削除するなどの措置をしてきた結果、現在はそういう悪質な“おとり物件”はほとんどなくなっている状況なのだとか。

○“おとり物件”発生件数は減少傾向にあるものの……



また、各事業者のコンプライアンス意識向上によって、不動産業界全体としては“おとり物件”の件数は年々減少傾向にあるそう。2022年度の違反物件情報等の共有結果によれば、“おとり物件”の件数は126件で、前年度より68%も減少。では最近の“おとり物件”の傾向はというと、「賃貸契約済みの物件」にも関わらず、マンパワー不足やシステムが追いつかずに物件削除までにタイムラグが生じて、不本意ながらまだサイトに掲載されてしまっているものがほとんどなのだそう。

LIFULL HOME'Sが実施したアンケートによれば、不動産会社の9割が「“おとり物件”を不動産業界の課題」としてとらえているといい、“おとり物件”がサイトに掲載される事態が起こらないように、何らかの対策を行っていると回答。「募集が終了した物件について、募集終了からどのくらいの期間で広告掲載を取り下げているか」という質問では、4割が「1日以内」と答えた一方で、過半数は即日対応が出来ていないことが判明。日々更新される物件情報で、“おとり物件”を生じさせないためには、募集を終了した物件には迅速な広告掲載の取り下げが必須ですが、人手不足やヒューマンエラー、DXの遅れなどで、タイムラグによる“おとり物件”が発生している、というのが現状でした。

○“おとり物件”を避けるためには?



それでは、部屋探しをする際に、“おとり物件”を避けるためにできる対策はあるのでしょうか。同社広報さんに訊ねたところ、



●複数のサイトで情報を見比べて、家賃の相場よりも安すぎる物件でないかをチェックする

●住みたい部屋があった場合は、現地で待ち合わせしての内見を希望する(内見ができない=すでに契約済みの可能性がある)



などが有効な方法とのこと。ちなみに、“おとり物件”が発生しやすい時期は不動産業界の繁忙期、つまり新生活に向けて部屋探しをする人が増える1〜3月、なかでも3月が最多だそうなので、今まさに部屋を探し中という方は、募集終了物件=“おとり物件”に遭遇する可能性も念頭におきながら、物件探しの参考にしてみてくださいね。


「おとり物件」への対応実態調査

調査主体:株式会社LIFULL

調査期間:2023年12月14日〜2024年1月9日

調査対象者:不動産仲介業務担当者

調査方法:インターネット

有効回答数:379名(MN ワーク&ライフ編集部)

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