ドコモがつながらないから卒業? 同社公式の意味深投稿が話題、その真意は? 「新たな旅立ちがみんなの夢につながりますように」

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2024年03月14日 10:31  ITmedia Mobile

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高品質をうたうドコモだったが、そのイメージは低下した

 「祝!卒業」「新たな旅立ちがみんなの夢につながりますように」──。そんなNTTドコモ公式アカウントによる投稿がXで一時注目を集めた。一見すると、旅立つ人へのメッセージのようだが、「つながり」がネットワーク品質にちなんだものにも思える。


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●「都市部でつながりづらい」ドコモが抱える問題と対策


 ドコモのネットワーク品質については、2023年からXを中心に「都市部でつながりづらい」などとするユーザーの投稿が取り沙汰され、「ドコモといえば最もつながりづらい」というネガティブなイメージが植え付けられてしまった経緯がある。


 この問題を受けて、ドコモが2023年4月26日に「5Gネットワーク戦略に関する説明会」を開催。この問題とSNSへの投稿について、ネットワーク部長の引馬章裕氏は「特に都市部の混雑しているところで通信速度が低下していることを認識している」と品質低下を認めた。


 速度低下の主な要因として、同社は「トラフィックの増大」「瞬速5Gエリア拡大の遅れ」「再開発などによるエリア変動」「特定周波数の逼迫(ひっぱく)」の4つを挙げる。


 特に渋谷駅周辺エリアについては、近年で再開発が最も進んでいる都市の1つで、渋谷スクランブルスクエア、渋谷キャスト、渋谷ストリームなど新しい商業施設が続々と完成している。新しいビルができると人が集まってトラフィックも増大してしまう。


 「ユーザーの端末がプラチナバンドにつながり過ぎてしまう」問題も起きた。高層ビルが立ち並ぶ環境で、ユーザーの端末がプラチナバンドをつかんで通信をし続けることにより、プラチナバンドの混雑につながってしまったという。


 他の周波数帯に空きがあるのに多くの端末がプラチナバンドにつながり続けてしまうと、つながっているもののデータが流れず、「つながりづらい」「遅い」などの体感となってしまったようだ。


 ドコモとしてはネガティブなイメージを払拭したく、300億円を先行投資し、全国2000箇所以上の品質改善を目標に取り組んでいることを2023年10月に発表した。2023年12月にはアンテナの角度や方向、出力調整など、既存基地局を活用した対策を完了させた。その後も、4Gと5Gの切り替えを高速に行えるようにするなどして、改善に向けた取り組みを継続している。


●今回のXへの投稿はつながりづらい問題とは無関係


 こうした取り組みの説明会はITmedia Mobileだけでなく、多くのメディアが記事にしている他、テレビも短い映像として報じる機会が多くなった。そのため、ドコモの「つながりますように」という投稿の一部が悪目立ちして、まだネガティブなイメージや話題が独り歩きしているように見える。


 実際、ドコモのポストには「ドコモを卒業して、他社へという自虐ネタかな」「昔のドコモみたいにどこでもいつでも繋がってください」「docomo卒業確定演出」「docomoのネットワークが安定していません」「一番電波繋がらないドコモが何言ってんの」など、ネガティブなコメントが付いた。


 確かに、「祝!卒業」「新たな旅立ちがみんなの夢につながりますように」という文言だけでは、投稿の目的や真意が不明確だし、このようなコメントが付いてしまうのも仕方がないと感じる。


 では、なぜドコモは突然、このような文言を投稿したのだろうか? ITmedia Mobileが同社広報に問い合わせてみたところ、以下の回答を得た。


―― 「新たな旅立ちがみんなの夢につながりますように」とありますが、ドコモの通信品質が低下した件と関係あるのでしょうか?


ドコモ 関係ございません。


―― 「旅立ち」が他者への乗り換え(転出)を意味する、とも読み取れますが、投稿の旅立ちは何を指しているのでしょうか?


ドコモ 主に卒業を迎えた学生や新しいライフステージへ挑戦する行動を指しております。


―― 前段の「祝!卒業」は誰に対する言葉でしょうか?


ドコモ 先の回答と同様に、主に卒業を迎えた学生や新しいライフステージへ挑戦する方に対する言葉になります。


―― 投稿の意図を教えてください。


ドコモ この企画は、主に卒業を迎えた学生や新しいライフステージへ挑戦する方へ応援を届ける投稿です。ドコモアカウントに限らず、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4キャリアのXアカウントでの合同企画になります。第1弾は、2月5日に「受験生への応援」として以下の投稿を各社から実施しました。第2弾は、3月2日に「卒業を迎える/迎えた方への応援」を各社から実施しました。


 ドコモ広報からの回答をまとめると、今回の投稿はネガティブなコメントが付いたものの、ドコモのネットワーク品質とは無関係。もちろん自虐ネタでもない。4キャリア合同企画の投稿で、ドコモと同じ内容でKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルも投稿していることも分かった。


 ドコモの投稿だけ悪目立ちしてしまったのは気の毒だとしか言いようがないが、ドコモの「つながりにくい」というレッテルがまだ払拭(ふっしょく)し切れていないのだから、誰に向けたメッセージなのかをもう少し明確にした方がよかったのではないかとも感じた。


第1弾の投稿


第2弾の投稿


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