YouTube、AIを音楽に活用するプログラムを日本でも始動 クリプトン・フューチャー・メディアが参画

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2024年03月21日 13:40  ORICON NEWS

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「AIを音楽に活用するための考え方や取り組みに関する記者発表会」より(左から)Google & YouTube音楽部門グローバル責任者・リオ・コーエン氏、クリプトン・フューチャー・メディア代表取締役・伊藤博之氏 (C)ORICON NewS inc.
 グーグルは21日、東京・渋谷のオフィスでYouTubeにおける「AIを音楽に活用するための考え方や取り組みに関する記者発表会」を開き、YouTubeで昨夏に始動した「YouTube Music AIインキュベーター」を日本でも開始したことを発表した。あわせて、日本における同プログラムの最初のパートナーとして、「初音ミク」の開発で知られるクリプトン・フューチャー・メディアの参画が発表された。

【写真】「初音ミク」の開発で知られるクリプトン・フューチャー・メディアが参画

 「YouTube Music AIインキュベーター」とは、アーティストや作詞・作曲家、プロデューサーなどが、音楽における生成AIへのYouTubeの取り組みに対して、情報提供を行うプログラム。昨年8月にアメリカで発足し、ユニバーサルミュージックグループのアーティスト、作詞・作曲家、プロデューサーが参加している。

 同プログラムに参画すると、グーグルのAI研究部門「Google DeepMind」が開発した音楽生成モデル「Lyria(リリア)」を活用できる。例えば、プロンプトにアイデアを入力するだけでジャンルを融合させたり、ビートから新しいメロディーを作ったり、鼻歌を入れることでサックスのソロパートにアレンジすることも可能となる。

 Google & YouTube 音楽部門グローバル責任者のリオ・コーエン氏はクリプトン・フューチャー・メディアとの協業を発表。「クリプトン社のフィードバックはこれからの生成AIを作っていくうえでとても重要です。多くの協力者がいることで、文化的、ジャンル的にも多様性が担保できると思います」と喜び、「重要なのは生成AIが持っている力をどうやってうまく活用できるのか、それによって人間のクリエイティビティーをどう強化できるかということです」と強調した。

 クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之代表取締役は、大学の研究室でAIを研究していた経歴から「AIの可能性というのは昔から感じておりまして、ぜひ勉強させていただきたいということで、参加させていただくことになりました」と説明。

 DTM(デスクトップミュージック)で音楽を制作する人口の大半は男性だといい、「女性が音楽を作ることが苦手ということは多分なくて、ただ機材を使うということはすごくハードルが高い。そこが課題だと感じています。今回このプログラムに参加させていただきまして、非常に大きな可能性を感じました」と明かし、「生成AIを利用して、初音ミクで何かしたいということではなく、クリエイターの方々のソフトウェアを扱っている会社として、創作が楽しいということを知っていただくきっかけにしたい」と話した。

 YouTube 日本 音楽パートナーシップ ディレクター鬼頭武也氏は今回の協業について「このプログラムを通じて、私たちの最新の音楽生成モデルである「Lyria」などの実験であったり、新しいツールへのアクセスをクリプトン・フューチャー・メディア様にお届けし、アーティストやその背後にいるクリエイター、またファンの皆様からのフィードバックをいただきながら、この生成AIというイノベーションがどのような形で音楽の文化マーケットに適応するべきなのか、どういった活用の方法があるのか、そういったものを学び続けていきたいと考えています」と展望した。

 昨今では、生成AIの急速な広がりにより、著作権や商標権などの侵害、フェイクコンテンツからアーティストを保護するための法整備を追いついておらず、1月には音楽にかかわる9団体が「AIに関する音楽団体協議会」を設置するなどしている。

 YouTube側はこうした業界の懸念点にも言及。コーエン氏は「生成AIを使って、大胆にして、責任、尊敬の念を持ちながら仕事をしていきたい。責任というのは、ソングライター、アーティスト、クリエイターの方々との協力をしながら一緒に将来を形作っていく。さまざまな試行錯誤も一緒に行い、加速させていく。私たちの一番強い力は、音楽業界の方々との深いコラボレーションにあると思っています」と説明。「問題、チャンス、両方を洗い出していきたい」とした。

 鬼頭氏は「AIがもたらすエキサイティングな未来を見据えながらも、クリエイター、パートナー、視聴者の方々が新しいテクノロジーを持って自身やお仕事にどのような影響が出てくるのか。疑問や不安を抱いていること、深く理解をしています」と伝え、「YouTube並びにGoogleのディープマインドチームは、YouTubeに関わる全ての人々のコミュニティーを支える大きな責任、使命があると認識をしている」と話した。

 続けて「新しい生成AI技術に関しても、責任のあるコントロールとそのプロセスを導入しています。私たちは、このような取り組みを適切な方法で行っていくことをお約束させていただきます」と強調。「イノベーションはまだまだ始まりに過ぎません。これからの私たちの生成AIの音楽への取り組みにどうぞご期待いただければ、と思います」とアピールしていた。

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