ひとりぼっちだったメイドさんに”家族”ができるまでを描いたマンガ、詰め込まれた「好き」と「エモ」が最高に心地よい【作者インタビューあり】

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2024年03月22日 17:09  ねとらぼ

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2024年10月のテレビアニメ放送が発表された『君は冥土様。』

 裏社会で孤独に生きてきた元殺し屋メイドが一人暮らしの高校生の下に「雇って欲しい」とやって来たら――小学館「サンデーうぇぶり」で2020年6月から連載されているしょたんさんのマンガ『君は冥土様。』が大きな注目を集めています。


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 強さに全振りし、ポンコツな一面ものぞかせる元殺し屋メイドが、普通の生活を送っていく中で人間らしい感情を芽生えさせていく同作は、絵柄の良さも相まって尊さのある物語。2024年10月からテレビ朝日の深夜アニメ枠「NUMAnimation」でのテレビアニメ放送も発表された人気作となっています。


 本記事では、マンガ本編を、しょたんさんへのインタビューと併せて掲載します。


●『君は冥土様。』作品紹介


 ある日突然、一人暮らしの高校生・横谷人好の家に「使用人として雇ってほしい」とやってきたメイドさん。黒髪で清廉、言葉使いも丁寧な美人メイドさんですが、唐突過ぎる目の前の展開に、人好はいぶかしみます。


 とりあえず家に入れ話を聞くと、暗殺や監禁拷問などをたしなんできたと平然と口にするメイドさん。かわいすぎる見た目に反してヤバイやつがやってきた、怒らせないよう丁重にお断りして帰ってもらおうと恐れる人好に、お館様の紹介でここにやってきたのだと説明します。


 聞けば、人好はお館様からみて「お館様の嫡子の奥様のおとこの次男のお宅に居候していた女性の孫」なのだとか。思ったよりも縁遠い関係性に、つい「いやそれ他人では?」と突っ込まずにはいられない人好。


 ヤバイやつを怒らせないよう話題を変え、具体的に得意なことを聞き出そうとすると、それまで静かに座っていたメイドさんは、スカートの下に忍ばせていたナイフを取り出し木めがけてダイナミックに投てき! ドヤ顔全開で披露された技術を目にし、人好は本物がやってきたと確信するのでした。久々の投てき披露ではしゃいでしまうメイドさんが超かわいいです。


 しかし、お館様のこともよく分からず、殺してほしいような人もいない人好は、「うちでは雇えない」とピシャリ。少しだけ悲しそうな表情を浮かべつつも、メイドさんはあっさりと身をひきその場を去ってしまうのでした。


 その後、人好の言葉と、お館様とみられる人物から告げられた内容を頭の中で反すうしながら、街をあてもなく歩くメイドさん。どうやら、何かを満たすために人好の下を訪ねたようですが、それもかなわず、行く当てもなくなってしまいます。


 そんなとき、目に映ったのは、付けていたアクセサリーが部屋に落ちていたと追いかけて届けてくれた人好の姿。車にひかれそうな人好をとっさに助けたとき、お館様の言葉の真意がつづられます。「その人たちなら、きっとお前の“家族”になってくれるはずだ」――と。


 それまで人の命を奪うことを生業としていたメイドさんは、冷静沈着な表情から一転、初めての人命救助に動悸(どうき)が止まりません。そんな紅潮したメイドさんの表情に、人好は家に来るよう翻意するのでした。


 こうして始まった元殺し屋のメイドさんと高校生の不思議な生活。たぐいまれなる殺しの才能を有し、人を殺すためだけに生まれたメイドさんは、家事などはまるで駄目。基本的にはクールで冷静沈着なメイドさんですが、人好との日常を過ごしていく中で、焦ったりしょげたり照れたり笑ったりする姿がすごくキュートです。


●『君は冥土様。』作者・しょたんさんインタビュー


――― 本作制作のきっかけ、ヒントになったアイデアはございますか?


 初めてのオリジナル同人誌の内容を決めている際に、伊坂幸太郎先生の「殺し屋」シリーズや、映画「RED」など、エンタメに振った殺し屋ものの作品を観ていたので「殺し屋が日常に溶け込もうとする話」という定番のテーマを基盤に、殺し屋の女性と言えば『ブラックラグーン』のロベルタが好きなので暗殺者のメイドさんを描こうと思いました。


 当初、連載はもちろん商業誌に載ることを想定して描いていたわけではなく、初めてのオリジナル漫画ということもあり、女の子のキャラクターに「好き」と「エモ」を詰め込んだのが『君は冥土様。』の同人誌(第1話)になります。


――― 特に力を入れているポイント、こだわりを教えてください


 キャラクターの表情を描く時は特に気を遣っています。


 雪さんは特に、照れ顔はもちろん日常を過ごす表情、暗殺者としての表情、デフォルメや泣き顔など、新たに感情がアンロックされる度に新しい表情が見られるように工夫しています。


 ストーリーとしては、とにかくシリアス・コメディー・ラブのバランスを意識して描いています。


――― 本作で、ご自身の中で気に入っているポイントは?


 あげもち太郎を描いている時が作中で一番楽しいです。もちもちなので。


――― うれしかった読者からの反応・感想などありましたら、お教えいただけますと幸いです


 A4程の大きさのボードに手書きのファンアートをいただいた時は特に感動しました。


 こんな熱量で自分の作品を好きになってくださる方がいるんだな、と。とてもうれしかったです。


――― しっかりと作画されたメイド服、しかも元殺し屋という設定でアクションシーンもカッコいい……という点にこだわりを感じます


 クラシカルなメイド服の「戦うメイド」だと、キャラクターが良くてもデザインとして埋もれてしまうかな、と思いましてスチームパンク要素を入れてキャラデザだけで目を引くようにしようとは考えていました。


 ただ前述の通り、同人誌での一度きりの読み切り漫画を想定したデザインなので、衣服のリアリティーとしては多少問題があるかもしれません(笑)。でも今ではそれも雪さんらしさが出ていて良かったかな、と思います。


 アクションシーンはとにかく「わかりやすく」を意識しているので、映画のように予備動作(キャラの目線やダッシュした時の足元など)はきちんと入れるよう心がけています。


――― 「ネームほぼなしでそのまま漫画描くことが多い」とのことですが、ストーリーなどはどのように考えられているのでしょうか?


 私は頭の中で物語をしっかり組み立てるのがとても苦手なんです。かといってプロットを作る習慣もなくて(笑)。


 同人誌を作る際もネーム無しで見開きごとにネームから仕上げまで完成させて、また次の見開きをネームから……を繰り返していました。自分の漫画を読みながら漫画を描いていく感覚です。


 商業連載をする際は編集さんと今後の展開を相談するので、なるべくネームを出すようにしていますが、ネームが思いついてない部分は見開きごとに「雪さんが人好と◯◯する」「なんだかんだで仲直りする」「バトルでP数が増える気がするので予備ページ」「ハッピーエンド!」など、展開のメモだけで提出してしまいます(笑)。


 たまにネームを出さずに作画を始めることもあります(良い作家は真似しないでね)。


 それを許してくれる編集さんに感謝です ありがとうございます。


――― テレビアニメ化もおめでとうございます。最後に、読者へのメッセージをお願いします


 長い休載を挟んでのアニメ化告知となりましたが、連載再開の時に暖かい言葉が迎えてくださった読者の皆さまには感謝です。


 待っていてくださって本当にありがとうございます。


 これから読んでいただける方も、是非応援していただければ幸いです。


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