メキシコの飛行機「ペット同伴」事情! ブルドッグ、チワワは同乗不可? エサや水はあげられない…?

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2024年03月25日 21:21  All About

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国民の8割以上がペットと暮らすメキシコでは、ペットは家族の一員のように愛されています。そんなこの国での航空会社のペット同伴事情や、公共の場所はどのような対応がされているかをご紹介します。
年始に発生した羽田空港衝突事故以来、SNSやメディアなどで「客室内へのペット同伴」の是非が議論を呼んでいます。

現在、ペット同伴搭乗を許可している日本の航空会社は1社にとどまっていますが、海外の航空会社はどうなっているのでしょうか。今回はメキシコの「ペット同伴」事情を現地在住の筆者が紹介します。

ペットに寛容なメキシコ社会

100%ペットフレンドリーのクラフトビールのタップバー。保護犬シェルターへのドッグフード寄付も受け付け、寄付した人にはビールをサービスする

メキシコはペットを飼っている人が多い国だからか、「ペットフレンドリー」という概念が一般化される前から、個人商店などで、店主が猫や犬と店番をしているような姿をよく見かけていましたが、近年、公式にペットフレンドリーな場所が増えつつあります。

メキシコの国勢調査によれば、国民のおよそ80%が何らかのペットを飼っています。そのうち85%の人が犬をペットにしているそう。

2023年6月にはメキシコシティ連邦裁判所が、ペットも家族の一員であることを認めているくらい、メキシコはペットに対して寛容な場所であると言えるでしょう。

メキシコの航空会社のペット同伴規定は

メキシコの航空会社では基本的に航空機の座席下に入る大きさであれば、ケージに入れた上でのペット(犬か猫)同伴が認められています。

搭乗の48時間前までに、ペットの健康証明、狂犬病を含めたワクチン接種証明といった書類の登録、フォームへの記入などが必要となります。そして搭乗の2時間前までに、航空会社のカウンターで受付をしておかなければなりません。

機上ではペットにエサや水を与えることはできません。ブルドッグ、ペルシア猫のような短頭種およびチワワのような小型犬種はペットの健康に害を与える可能性があるので、搭乗は勧めていません。

どうしても……ということならば、搭乗前にカウンターで、飼い主が誓約書にサインをする必要があります。国際線利用の場合は、行き先の国の規定に準じた登録や書類が必要となります。

【メキシコの代表的な航空会社2社の主な規定】

(1)アエロメヒコ(Aeromexico)
生後8週間以上のペットで、体重はケージを含めて最大9kgまで、乗客1人につき1ペットまで同伴可能。ペットの旅は最大15日間まで。料金は国内線が1350〜1700メキシコペソ(※1万2050円〜1万5174円)、国際線は3250〜3400メキシコペソ(2万9009円〜3万348円)。

(2)ボラリス(Volaris)
乗客1人につき、犬は1匹、猫は2匹まで同伴可能。料金は1650〜1900メキシコペソ(1万4727円〜1万6959円)。ドーベルマンや土佐犬のような、アグレッシブな犬種は貨物預けであっても搭乗不可となっています。

なお、これらの規定は随時変更される場合があるため、最新情報は公式サイトを確認してください。

※レートは2024年3月18日時点

メキシコの航空会社のE.S.A.制度

メキシコ隣のアメリカ合衆国で、人間に精神的なサポートをする動物=エモーショナルサポートアニマル(Emotional Support Animal、以下E.S.A.)が普及し、多くの航空会社がそれを導入をしているため(※)、メキシコの主要航空会社も介助犬や盲導犬の対応と同じく、該当者であればペットをケージなしでも同乗できるように優遇しています。

これには、ペット分の料金はかかりません。

アエロメヒコは、国内およびメキシコ発着便でアメリカにのみ移動可能ですが、ボラリスは国内やメキシコと中南米の往復、中南米内の移動は可能です。航空会社によって多少条件は変わりますが、生後8週間以上の犬か猫で、大きさは小〜中型まで(12kgまでの重さであること)。

しつけがされていること、ケージは必要ないがハーネスや首輪をして、飼い主と一緒の席に座る(たとえ空席があってもその場所はE.S.A.が利用できない)か、座席前にスペースのある場所を確保し、そこにマットなどを敷いてE.S.A.の居場所を作っておくなど、“管理できること”が条件です。

また、E.S.A.が必要であることを証明する精神科などの医師の診断書、E.S.A.の健康やワクチン接種証明は必須。搭乗の48時間以上前には登録し、2時間以上前にカウンターで受付を済ませておかなければなりません。

アエロメヒコでは、隣に犬や猫アレルギーの利用者がいたり、何らかのトラブルがあったりする場合は、別の便に振り替えることができます。また、全日本空輸(ANA)でもメキシコ発着便のみE.S.A.の対応をしています。

※システムを悪用し、不当な目的でペットをわざとE.S.A.として機内に持ち込む人もいることから、慎重な意見も出ています

公共交通機関でのペット同伴事情

国内各地で条件が異なりますが、メキシコシティやその近郊のメキシコ州の公共交通機関(地下鉄、路線バス、ケーブルカーなど)では、小〜中型のペットであれば、ケージを閉まった状態にしておけば同伴することができます。

配車アプリではUber PetやCabify Petがメキシコシティで導入されています。DiDiでは乗車前にドライバーの了承を得てから利用となります。

長距離バスは基本的に同伴は不可。8時間以内の旅で、プラスチックのケージ(布製は不可)に入れてトランク部分へ預けるという方法しかありません。ペットの大きさは不問で、事前に登録とワクチン接種証明や健康証明が必要となります。

公共の場でのペットフレンドリー化が進む

メキシコでは、全般的にペットフレンドリー化が進んでいます。ホテル、ビーチ、公園、ヘアサロン、カフェやレストランなどの飲食店や、高級ブランドが入っているようなショッピングモールでも、犬を連れている人たちをよく見かけるようになりました。

国内最大手のスーパーマーケット、ウォルマート(Walmart)が2023年からメキシコシティのサンタフェ地区2店舗でペットの同伴を許可する試みを始めています。

もしこれが成功すれば、全国の店舗で導入を検討するとか。店内にはペットの水飲み場を完備し、専用のカート下部分にはペットが収まる場所があります。ただし、そのカートに収まらない大きなペットは店内に連れて行けないとのこと。

衛生面や他のペットとうまく共存できるのかなどさまざまな課題はありますが、メキシコではペットフレンドリーの場所が着実に増えつつあるのを感じます。

長屋 美保プロフィール

外資系CD店のバイヤーを経て、2000年頃よりチカーノ(メキシコ系アメリカ人)文化を扱う音楽会社に勤務。そのかたわらライターとして雑誌に寄稿し始める。現在メキシコシティ在住で、日本の雑誌やウェブサイトでの執筆、ラジオ出演、現地取材コーディネートや通訳など幅広く活動中。All About メキシコガイド。
(文:長屋 美保(ライター))

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