「明日の幸せを祈って撮る」ハービー・山口、がん患者や医療従事者らを撮影した写真展

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2024年03月26日 11:02  ORICON NEWS

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撮影を担当した写真家のハービー・山口氏
 病気と闘う患者や医療従事者らの姿を写真家のハービー・山口氏が撮影した写真展『病いと生きる。希望と生きる。〜まだ見ぬ答えを、生み出す未来へ〜』が3月31日まで大阪市北区の「梅田 蔦屋書店」で開かれている。25日はオープニング発表会として、ハービー氏や撮影対象となった医療従事者らによるトークショーが行われた。

【写真】「幸せを祈って撮る」同写真展で公開されている作品群

 同展は日本製薬工業協会が主催し、日本臨床腫瘍学会、日本癌学会、日本癌治療学会、一般社団法人CancerXで共同開催。有効な薬や治療法が見つからない、日本では新薬の承認に遅れがあるなどの「アンメット・メディカル・ニーズ」「ドラッグ・ロス」といった課題を広く知ってもらうのが目的。昨年12月の東京開催の第2弾となる。

 ハービー氏は著名アーティストの撮影を手掛けることで知られるが、自身も生後まもなくカリエスに罹患し10数年コルセット生活を送った闘病経験をもつ。本展では、抗がん剤治療に励む会社員の女性や、がんサバイバーの家族であり認定遺伝カウンセラーとして活動する支援者、治療現場に立つ医師や看護師らを撮影。自然な微笑みを切り取ったモノクロポートレイトを20点展示している。

 トークショーにはハービー氏ほか、製薬協会長の上野裕明氏、大阪大学消化器外科医師の高橋剛氏、がん経験者によるソーシャルデザインプロジェクト「ダカラコソクリエイト」発起人の谷島雄一郎氏が登壇。ハービー氏は「カメラを向ける時は相手の『明日の幸せ』を願ってシャッターを切る。それが良いバイブレーションとなって相手がいい表情になる」と撮影に際しての心構えを明かした。そのコメントを受け、自身も患者である谷島氏は「笑顔を撮りたいというオーダーがあった時、安易に患者の笑顔を感動のコンテンツとして消費しようとしているのではと懸念した。でも『相手の幸せを願って撮るんです』とのハービー氏の言葉を聞いてこの写真展は違うのだと思った」と述懐。「治療もお互いの幸せを願うことで実現していく。写真展でそのマインドが伝わると嬉しい」と続けた。

「手術後のホッとした気持ちを思い出して笑顔になった」という高橋氏の撮影エピソードの話では、ハービー氏が「人の役に立っているという凛々しさ、優しさ、大きな心が人格として写ったら良いなと思った」とコメント。高橋氏は「毎日通勤で使う大阪駅に写真展の宣伝で自分の写真が掲示され恥ずかしい。同僚にもいじられます」と会場を笑わせた後、「逆にこういうテーマの写真展が一般人の目に留まる場所で開催できたことは、新しい時代をつくる一つの動きかなと思う」と力を込めた。

 最後に上野氏は「この機会を通じて病気に対する理解を深めていただき、医療従事者や患者様の思いを共感し合い、世の中が少しでも良くなるように貢献したい」と締めくくった。会場には大阪開催限定で、来場者がシールを貼って「HOPE」の文字を形づくるパネルが設けられた。

 写真展『病いと生きる。希望と生きる。〜まだ見ぬ答えを、生み出す未来へ〜』は3月31日まで開催。
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