大谷翔平選手の元通訳・水原一平さん「学歴詐称疑惑」も報じられる…どんな法的問題があるの?

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2024年03月27日 18:30  弁護士ドットコム

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米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手の通訳だった水原一平さん。違法なスポーツ賭博に関与した疑いで解雇されたニュースは、あまりにも衝撃的だったが、新たな疑惑も報じられている。


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FNNなどによると、エンゼルスがメディア向けに配布している「メディアガイド」には、水原さんは米カリフォルニア大学リバーサイド校を卒業したと記されていたが、実は「在籍していた記録」がないというのだ。



メディアガイドには誤植も少なくないという指摘もされているが、もし本当だった場合、いわゆる「学歴詐称」という話になる。法的にはどのような問題があるのだろうか。河西邦剛弁護士に聞いた。



●学歴詐称は「軽犯罪法違反」になる可能性あり

日本国内で、◯◯大学卒などと学位を偽った場合、海外の学位であっても軽犯罪法違反(1条1項15号)に該当して、30日未満の拘留または1万円未満の科料となる可能性があります。ただし、海外で「詐称」していたとなると、日本国民であっても軽犯罪法は適用されませんので日本法で処罰されることはありません。



ちなみに水原さんは2012年から北海道日本ハムファイターズの球団通訳だったとされていますが、この際に球団に対して学歴を詐称していれば軽犯罪法の対象になる可能性はあります。しかし、軽犯罪法の公訴時効は1年なので、いずれにしても軽犯罪法で刑事処罰される可能性はないと思われます。



一般論になりますが、学歴詐称が発覚すれば、会社員の場合、就業規則などに基づいて懲戒処分を受けることになります。懲戒処分の中で最も重い懲戒解雇になるケースもあれば、逆に学歴詐称で懲戒解雇は重すぎるとして、会社側の解雇が認められないとした裁判例もあります。



どういった懲戒処分になるかは、どの程度重大な学歴詐称なのか、従事している業務にもよりますので一律的な判断はできません。たとえば、野球チームが通訳として採用する際には一定の学位を必須条件としていれば、学歴詐称を根拠として懲戒解雇となる可能性もあります。



また、学歴詐称が発覚しても、給料の返還義務はありません。給料は労働の対価になるので、労働した事実があれば、学歴詐称が認定されたとしても返済義務はありません。ただし、懲戒処分との関係で、退職金の不支給というのはありうるでしょう。



今回のケースでも、ドジャースとの契約形態にもよるところですが、通訳として稼働した実態がある以上は、稼働した分の給料の返還を求められることにはならないと思われます。




【取材協力弁護士】
河西 邦剛(かさい・くにたか)弁護士
「レイ法律事務所」、芸能・エンターテイメント分野の統括パートナー。多数の芸能トラブル案件を扱うとともに著作権、商標権等の知的財産分野に詳しい。日本エンターテイナーライツ協会(ERA)共同代表理事。「清く楽しく美しい推し活〜推しから愛される術(東京法令出版)」著者。
事務所名:レイ法律事務所
事務所URL:http://rei-law.com/


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  • 水原一平の「座右の銘」は、「嘘吐きは泥棒の始まり」に違いない。
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