Apple「年収4,500万円」の基本給で生成AI専門人材を採用!? 背景には競合他社への焦りが? 専門家が解説

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2024年03月31日 06:10  TOKYO FM +

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Apple「年収4
モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜〜金曜6:00〜9:00)。3月27日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「Apple、生成AI専門の人材を年収4,500万円で採用 その背景は?」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。


※写真はイメージです



◆生成AI分野に力を入れたいApple 破格の基本給で技術者獲得へ動く

アメリカのAppleが、生成AIの分野で巻き返しに動いています。生成AI専門の人材には、年4,500万円近い基本給を提示して、獲得に力を入れているということです。

吉田:塚越さん、まずはこの「年収4,500万円の人材」について詳しく教えてください。

塚越:日経新聞の記事では、Appleは生成AIに詳しい技術者に年17万〜30万ドル(約2,550万〜4,500万円)の基本給を示して、ライバルの引き抜きにも力を入れると報道しています。アメリカのIT業界とはいえ、やはり高額ですよね。

実はAppleは2月28日(※現地時間)の株主総会で生成AIに力を入れると強調しています。Appleは秘密主義で開発中のプロジェクトを公に口にすることはないので、珍しいことです。逆に言えば、「焦っている」とも言えます。というのも、MicrosoftやGoogleといった大企業が生成AIの開発を進める一方、Appleはこの分野で一歩遅れています。音声検索のSiriに生成AIの機能をつけた話などは聞かないですよね。

ユージ:確かに、Siriという機能だけで見ると(実装が)早かった印象はありますが、そこからの広がりがあまりないですよね。

塚越:最近の生成AIの開発は、文章だけでなく画像や音声、動画といった複数のデータを同時に処理できる「マルチモーダル」という技術が注目されています。例えば生成AIに料理の画像を見せて「レシピを教えて」と言うと料理のレシピを教えてくれたり、「ちょい足し」するとおいしい調味料を教えてくれたりなど、画像を見ていろいろと考えてくれるのがマルチモーダルです。

こういった機能は生成AIに求められている機能ですが、Googleが発表した「Gemini(ジェミニ)」という生成AIモデルは、まさにこのマルチモーダルをアピールしています。

◆競合他社で開発が進む生成AI…Appleには焦りがある?

吉田:Appleが生成AIの分野で巻き返しに動いているのは、どういった背景があるのでしょうか?

塚越:さきほどのマルチモーダルもそうですが、とにかく昨今はAIを利用した新しいサービスを搭載したスマホも多く、Appleの牙城である「iPhone」を追撃しています。

例えばAIの分野では、Appleと世界シェア首位の座を争っている「Galaxy」で有名な韓国のサムスン電子が今年1月、通話中の会話をリアルタイムで翻訳する機能を搭載した、新型スマホシリーズ(Galaxy S24)をアメリカで発売しました。翻訳の精度が高ければ、海外旅行などで特に需要があるかなと思います。

あるいは、Googleが自社で作っている「Google Pixel」というスマホには、カメラで撮影した写真に写っていない部分を自動で生成したり修正ができたりする「マジックエディター」という、生成AIを利用した機能を搭載しています。

生成AIはかなり勢いがあり、香港の調査会社によるとスマホ市場全体に占める生成AI対応機能の割合は、2024年は8%ですが3年後の2027年には40%に、出荷台数も年間5億台を超えると予想しています。

ブルームバーグの報道では、iPhoneにGoogleの生成AIモデル「Gemini(ジェミニ)」を搭載することを協議しているということです。Appleでも生成AIを作るものの、Googleとも提携するかもしれません。

◆飽和状態のスマホ市場…「生成AI搭載スマホ」は購買意欲を刺激できるか?

ユージ:スマホに生成AIを搭載する動き、塚越さんは、どうご覧になっていますか?

塚越:スマホは世界市場で飽和状態になっています。スマホも10万円以上する高価格帯もあれば、2〜3万円の低価格帯のものも出ています。利益率の高い高価格帯を売るには新たな機能が必要ということで、生成AIが注目されているということです。

Appleは2007年の初代iPhone発売から圧倒的な新しさでシェアを拡大し、その後はiPadやMacBookといったパソコンと連動してApple経済圏をつくってきました。その勢いは確かにすごかったのですが、今ではそれだけだと、ちょっと厳しいという状況になってきています。

AppleはApple Vision Proというゴーグル型のウェアラブル端末を出しましたが、値段も50万円くらいで、普及するにはまだまだ時間がかかります。さらには、Appleは長年「Apple Car」という自動車開発プロジェクトに取り組んでいましたが、これも終了する方針という報道もあります。(現状では)スマホに代わるデバイスがないので、Appleであれ他社であれ、スマホに力を入れるのは必然かなと思います。

ユージ:生成AIが搭載されることによって、今後スマホはどうなっていくのでしょうか?

塚越:生成AIをどう使っていくかについて、もっと新しくて面白い使い方をAppleも他の会社もみんな考えています。そうしないと、購買意欲が生まれない。スマホを買ってくれないということになります。Appleは「Think different(発想を代えろ、違う考え方をしろ)」をスローガンに掲げて、「違う考え方をして新しいものを作れ」と言ってきましたが、そういったものをどんどん出していかないといけません。消費者からは、そういうことが求められていると思います。


吉田明世、塚越健司さん、ユージ



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3月27日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年4月4日(木) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜〜金曜6:00〜9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/

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