無印良品「ユニクロとほぼ同価格帯なのに、品質は段違い」3つの傑作アイテム

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2024年04月03日 09:50  日刊SPA!

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ヘンプ混長袖シャツ
―[メンズファッションバイヤーMB]―
 メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。連載第473回目をよろしくお願いします。

 ここ近年で無印良品はファッション向けに大きくシフトしています。

 得意のコンパクトシルエット、実用性のみを強く意識したデザインディティールを捨て、ここ数年はトレンドをしっかり取り入れたファッションアイテムを強く打ち出しています。

 実用性重視の方はワークマンやユニクロなどに流れる可能性がありますが、僕たち「服好き」なら今は無印こそが買い! ブランド見えするような驚くほど高クオリティのアイテムがたくさんあります。今回はそんな無印良品マストバイ3選!

 今回、紹介するアイテム、ほとんどの人が見落としているはず……読み終えた後は正直、「あ〜今年はユニクロの○○買わなくてよかった!」と思うでしょう。ユニクロと価格はほぼ変わらず「上位互換品」をお教えします。

◆★「ユニクロのリネンシャツ」はもはや時代遅れ
・紳士 ヘンプ混長袖シャツ 3990円

 ここ10年ほどで随分身近になったリネン素材のシャツですが、その功労者は間違いなく国民服ブランドであるユニクロ様。フレンチリネンを100%使ったシャツで3000円ほどで提供、リネンにおける価格破壊の筆頭となりました。

 本来、リネンは天然繊維の中でも希少性が高い高級原材料、100%使ってさらにパターンの数が多いシャツデザインで3000円を実現するなど他ブランドではほぼ不可能。

 大量生産や工賃の安いバングラデシュ縫製(そもそもバングラデシュは巨大ロット対応のみのところが多く、縫製工賃がいくら安くても中規模程度のブランドでは扱いきれないため、ファストブランドの優位性をますます高いものにしている)などを駆使しユニクロならではの価格で天下を取ってきました。

 ところがここ数年ではリネン人気に少々陰りが出てきました。

 僕が懇意にしている複数の繊維商社が口を揃えていうのは「消費者がイージーケアに慣れすぎている」というもの。リネンの最大の魅力は美しい光沢感、さらにそれに加えて独特の「シワ感」にあります。

 しかしながら、最近では「シワがつかないスーツ」「シワが入らないスラックス」などの提案が氾濫しており、結果「シワ=悪いもの」という認識が消費者の間で根付き始めています。

 シワといえばデニムパンツですが、最近ではアメリカンヴィンテージなアタリ感やシワ感を再現したものも敬遠されがちで、どちらかというとユーロ風のクリーンな色落ちのものが好まれる傾向も。

◆リネンよりも硬くしっかりと芯のある風合い

 そうした動きがあるためリネンは「シワが入りやすいシャツ」というデメリットの認識がされてきつつあり、シワの入るリネン素材はそうした感性の理解できる高級ブランド顧客にのみ取り入れられる傾向にあるという。

 そこで、繊維商社各社が強化して展開しているのは「ハイブリッドリネン」。リネンとしての光沢感は十二分に楽しめながら、シワが比較的入りにくくさらにリネンの「ふにゃふにゃ」感が少ない芯のある素材感をつけたものです。

 無印良品の今回のシャツもそうした「アンチ・リネン」に対するアンサーがなされており、ポリエステルを混紡。さらに使用している素材は同じ「麻」でもリネンではなくヘンプを使っています。ヘンプはリネンよりも一般的には硬くしっかりと芯のある風合いが特徴です。

 リネンよりも滑らかさが出にくく衣類としてはリネンより劣る印象ですが、無印のものはほぼリネンと変わりありません。環境負荷がリネンよりも軽減されるデータがあり、そうした観点から工夫して選んでいるのでしょう。

 ポリエステルなどの化学繊維を入れると少々光沢も変わってきてしまい、安っぽい印象が出てきてしまうものですが、そこはさすが無印。年間で何千という生地を見てモノ作りをしている僕らプロが見ても「リネン100か?」と勘違いするほど再現度が高い。

 その上シワの入り方も「まったくない」わけじゃなく程よく入るイメージ。シルエットも今っぽいリラックス感があり、発色もユニクロより攻めたピンクカラーなどを展開するなど好印象。

 これ全方向に文句の出ない、リネン好きもイージーケア好きも気に入ることができる現在市場で手に入る最高クラス&コスパのリネンシャツです。

 今年はユニクロリネンは必要ないでしょう。断言します、こちらのほうが絶対いいです。

◆★まるでcomoli?デザイナーズブランドを並べても遜色なし
・紳士 ヘンプ混シャツジャケット 6990円

 こちらも同じく麻とポリエステルを混紡したミリタリーシャツ。

 先程のシャツと同素材かと思いきや、シャツは平織の素材・こちらジャケットは綾織の素材としており、風合いは同じような雰囲気ですが肉感に大きな差があります。同じ原材料でも平織にするか綾織にするかで肉感は変わってきます。

 綾織(英語表記にして「ツイル」と表現するブランドも多いです)の場合、織り目が斜め上に走ることとなり、光沢感と厚さが増すのが特徴です。潤沢な光沢感とほどよく入る程度のシワ、さらにアウターとしての分厚さも備えたのがこちらのシャツジャケット。

 デザインもシンプルなミリタリーディティールで扱いやすく、シルエットはルーズになりすぎないリラックスした形。高級感ある光沢でブランド見えします、6990円とは到底思えません。これガチで3万〜4万円するブランド品と比べてもまるで遜色ないですよ。

◆シャツとして着用できるほどの質感

 生地感が強烈によくて、大人の春夏アウターとして全力でおすすめします。まるでcomoliだ、これは。

 アウターとしてももちろんですが、通気性が高いので夏場ショートパンツなどに合わせてもOK。着用シーズンとしてはかなり長いので「短い春にわざわざアウター買うのもなあ……」と渋る人にもおすすめできます。基本的にはアウターですが、シャツとして着用できるほどの質感なので春夏の幅広いシーンで活用できるでしょう。

 ユニクロのカバーオールやミリタリーはどこか土臭いカジュアルな提案が多いですが、こちら無印のものはモードとも捉えられるほど綺麗でクリーンなイメージ。スラックスなどに合わせて大人っぽく合わせたい30代以上の男性ならこちらの方がしっくり来るのでは。

◆★ユニクロのチノパンはもう買うな! まるでSCYEのチノパンだ!
・紳士 ストレッチチノタックワイドパンツ 4990円

 最後は無印得意のチノパンツ。
 
 メンズの永久定番みたいに捉えられるチノパンですが、もちろんトレンドもちゃんと存在します。わかりやすいのはシルエットですが、もう一つ印象的なのは「タック」です。10年前ほどはノータックが主流で、「タックパンツ=ダサい」と捉えられていました。

 ウエスト周りにゆとりと膨らみを持たせるため、腰回りにタック(つまみ)を入れたパンツは、お腹が出た中年おじさんのイメージが強く若い人たちからは敬遠され続けていました。いまだにビジネススーツなどは中年向けのものはタックが多く、若者向けのものはノータックが主流ですが……ここ10年でカジュアルシーンにおいては激変。むしろ「タック入り」のほうが好まれるようになってきたのです。

 クラシックな装いやディティールを良しとするトレンドがこの10年で急浮上。近年もヴィンテージトレンドなどが強く、昔ながらのディティールやデザインを現代に取り入れることこそ、おしゃれとされているのが近年です。また、ビッグサイズ・リラックスサイズのトレンドが後押しにもなり、余裕とゆとりを生むタックパンツが普段着の中では大きく支持されるようになりました。

◆2万円くらいのチノパンを買うよりも断然おすすめ

 残念ながらユニクロはそうしたトレンドを上手に拾いきれず、いまだに主力となるチノパンはノータック。もちろんそれも悪いわけではないのですが(ヴィンテージにもノータックチノはあるし)……ただ着用した時の「あ、これかっこいい!」と直感的にわかる感じは今はタックに軍配が上がるのは間違いありません。

 なにしろ街で見かけるおしゃれな人のパンツには、今はたいがいタックが入ってるのですから。僕らの感覚もそれらに上書きされ、「タック=クラシックでおしゃれ」となっているのです。

 トレンドは感性の上書きです、知らず知らずのうちに僕らの「かっこいい」はアップデートされているのですね。ユニクロはチノパンの主要顧客がおじさんばかりなのかいまだにそれらが刷新されずにいるのです。

 無印のこちらはそうしたトレンドをきちんと取り入れており、タックを入れたトレンドの形。裾に向けてキュッとテーパードしたシルエットはまるで往年のチノパンの名手であり、日本ブランドの代表格「SCYE」の名作チノパンのよう。

・SCYE コットン テーパード プリーツ トラウザーズ

 風合いも光沢が程よくある素材と濃いめの色合いのベージュに仕上がっており、大人っぽい。4990円と少々高く感じるかもしれませんが、2万円くらいのチノパンを買うならこちらが断然おすすめ。下手に買うとおじさんくさくなるものだからこそ、なおさら良品を手にするのがいいでしょう。おすすめです。

 以上、無印良品の春夏マストバイ3選でした。

―[メンズファッションバイヤーMB]―

【MB】
ファッションバイヤー。最新刊『MBの偏愛ブランド図鑑』のほか、『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag)

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