「ラブホ行こうね」80代男性の“安キャバ”常連客がセクハラ発言を続ける意外なワケ

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2024年04月03日 16:31  日刊SPA!

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現在は銀座ホステス兼ライターとして活動中の筆者・みずえちゃん
 大人の社交場・銀座のクラブにホステスとして勤めているみずえちゃんと申します。先週、ファンデーションと下地を購入したら、帰り際に店員のお姉さんから、アンチエイジング系コスメの試供品をいただきました。もうそんな年なんだなあ、と驚いています。大学生の女の子たちと一緒に働いていると、自分がアラフォーなのを忘れてしまいそうになります。
 その傍ら、ライターとしても活動しており、これまでに私がお酌をさせていただいたおじさま方との実体験をもとに、夜遊びやモテに関する情報を発信をしています。

◆安キャバで鏡月を売りまくっていた
 
 緊急事態宣言が発令されたり解除されたり、緊急事態宣言がやっと解除されたと思ったら、今度はまん防(まん延防止等重点処置)が発令されたり解除されたりで、なかなか銀座に出勤できなかった頃、西武池袋線の某駅から徒歩数分のところにあるキャバクラで働いていました。

 お店には素人っぽい子もいれば、百戦錬磨のベテランもいて、中にはおそらくですが私と同様に都内のお店に在籍しながらこっそり出稼ぎに来ているのだろうな、と思われる女の子もしれっと出勤しており、キャスト陣はかなりバラエティ豊かでした。

 セット料金がたしか1セット(50分)4,000円とかで、そこにサービス料とタックスが入ったとしても、かなりリーズナブル。1〜2万円で、あのランクの女の子と飲めるとなるとコスパはいい方だと思います。実際に、お店は繁盛していました。

 ただ、お安いお店なのでお客様の層は言わずもがな……という感じ。X(旧Twitter)でよく目にする「痛い客あるある」そのまんまのお客様もたくさんいらっしゃいました。

 今日は、そんな某安キャバで出会った「自称テクニシャンおじいさん」との思い出を振り返ってみたいと思います。
 
◆自称テクニシャンおじいさん

 週3〜4回程の頻度で来店する、推定80代のおじいさんがいました。ポマードで撫でつけた白髪はいつも清潔で、お召しになっているものは、絹やカシミヤだと一目でわかる上質なものばかり。とってもお洒落な方でした。

 色が白くて、上気した頬が可愛らしかったのを覚えています。

 けっこうな頻度でお店を利用していらっしゃいますが、指名している女の子はいません。いわゆるフリーのお客様です。太客ゲットのチャンスにもかかわらず、女の子たちの対応はクールで、誰も一生懸命接客している様子はありませんでした。

 そのワケはどうやら「Hしてくれたら指名するよ」と、彼が推定80代にしては若いガッツを見せまくるから。ほとんどの女の子が「あの席には着きたくない」とボヤいていました。

 おじいさんによると「1日に何回だって君を満足させてみせる」とのこと。

◆「あれナシの同伴はあり得ない」と息巻く彼

 とてもバカバカしいことなのですが、そんなワケでおじいさんはお店の女の子たちからは不人気でした。安キャバなので、時給はせいぜい4,000円程度。よし!彼に指名してもらうぞ、というガッツのある女の子は、私を含め1人もいませんでした。

 息巻く彼を、「光栄です」「嬉しいです」「私なんかで本当にいいの?」「ありがとうございます」「お元気なんですね」とやり過ごし、時々は場内指名をもらって、無料で鏡月が飲み放題なんてラッキーと、それなりに楽しんでいました。

「17時に集合して、ラブホテルに行こうね」「あれナシの同伴はありえない」と力説する彼の横顔を眺めながら、同伴が成功した例は果たしてあったのだろうか、などと考えていました。

◆おじいさんがキリッとする一瞬
 
「しようね」を、「光栄です」だけでやり過ごそうにも、なかなか1セット(50分)はもてあましてしまいます。たまには世間話でもしてみるか、と思い「パパのご出身はどちらですか?」と、話を振ってみました。

 すでに鏡月をたんまりいただいていたのでうろ覚えなのですが、彼はなかなかの苦労人さんでいらっしゃいました。9人兄弟の長男に生まれて、いつも貧しかったことや、ときには警察のお世話になったことなどを話して聞かせてくれました。

「今は男とか女とかは関係ないよ。若いうちにたくさん苦労しなさい。苦労は体力があるうちにしかできないから」とおっしゃっていたような気がします。すごく良いお話を聞いた気がするのに鏡月のせいでうろ覚えなのが悔しいです。

 一瞬だけキリッとした彼のことを一瞬だけ「かっこいい」と思ったのですが、数分後にはやはり「だからね、君もパパと同伴しようね」です。「嬉しいです」とやり過ごしました。

◆セクハラ発言の真意
 
 “アリ”の同伴が成功した例があったのかどうか以前に、80歳のおじいちゃんにできるのだろうか、と酔っぱらった頭でぼんやりと考えていました。80歳と言えば、私の祖父の年代です。

 すると彼は「パパはもうコッチは元気がないからアレなんだけど、ペロペロするのは好きなんだ」とおっしゃいました。知人の女性が「ああいう人たちはゴールがないからしつこくて大変なのよね〜」と言っていたのを思い出しました。

「パパはそうしているのが楽しいの?」と、尋ねると彼は「楽しい」とおっしゃいました。したい、というよりは「させてくれたら指名するよ」と口にすることで「俺は男なんだ」と実感できる。それが嬉しいともおっしゃっていました。ようやく納得です。

 ふとした瞬間に、自身の加齢を感じて寂しくなったり、自信がなくなったりするのは私も同じです。35歳の私でさえそう感じるのだから、80歳の男性が弱っていく自分を実感する瞬間は、きっともっと辛いものなのだろうなと想像しました。

 彼が「させてくれたら指名するよ」「あれナシの同伴はあり得ない」とおっしゃるのは、したいからではなく、オスっぽい自分を忘れたくないから。だとしたら、それはゴールのない旅路みたいなものだな、と思いました。

 飲み屋さんの楽しみ方は様々です。無理やり触る、髪の毛を引っ張るなどのルール違反は言語道断ですが、「させてくれたら指名するよ」「あれナシの同伴はあり得ない」程度のことは許してあげたい。それで彼が気持ちよく眠れるなら「今日もいいことしたな〜」と私は思えます。冥土の土産だよくらいの気持ちで多少のリップサービスもしてあげます。

 ただ、「いやん素敵!抱いて!」とは絶対に思わないですけどねー……。

◆人生の節目には切り替えも必要

 今回は「自称テクニシャンおじいさん」との思い出を振り返ってみました。誰だって生涯現役でいたいものなのかもしれません。しかし、人の魅力は精力的であることだけなのでしょうか。

 私のお客様に、脳梗塞の後遺症で言葉が不自由な方がいらっしゃいました。「今日は……」彼がぽつりぽつりと言葉を紡いで話してくれるのを、根気よく聞いているのが好きでした。彼の疎開先が私の生まれ故郷と同じく雪国だったこともあり、よく2人で豪雪地帯で過ごした子どもの頃の話をしたのを思い出します。2人で、とは言っても話しているのはほとんど私1人でしたが。

 メールではとてもおしゃべりで、読んだ本の話などをしてくれました。読んだ時期によって同じ本でも感じ方が違う、という話になると「それは君が成長している証」と、彼はおっしゃいました。人生の先輩からは学ぶことがたくさんありますね。

 今でも彼のことが大好きです。男女の絆は色っぽいことを介してのみ築かれるものじゃない、とつくづく思います。エロボケじいさんも、精力的でオスっぽい男性から、尊敬される穏やかな男性に、どこかでシフトチェンジができるといいかもしれないですね。

 私ですか?まだ35歳なので抗います。アンチエイジングのためにまだまだ稼がなくちゃいけないのでよろしくお願いします。

<文/みずえちゃん>

【みずえちゃん】
1989年生まれ。新潟県長岡市出身。関西外国語大学卒業後、大阪市内の広告代理店に勤務する傍ら、キャバ嬢デビュー。結婚、離婚、地方の激安キャバクラを経て、現在は銀座ホステスとライターを兼業。X(旧Twitter):@mizuechan1989

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