近年、多くの企業が働き方改革を推進し、フレックスタイム制やリモートワークなど柔軟な勤務形態を採用しています。
【表】エンジニアの「年収・月額賃金」「就業形態」「有効求人倍率」をチェック
このような状況のなか、より良い労働環境やスキルアップを求めて転職するエンジニアが増えています。転職を成功させるには志望動機を工夫し、企業側にアピールすることが大切です。
【最新版】エンジニアを取り巻く労働環境の実態
エンジニアの転職を目指す際には、労働環境の実態を把握しておくことも大切です。一口にエンジニアと言っても、担当する業務内容はさまざまです。年収や就業形態などは、業務内容によって異なります。
ここからは、厚生労働省の「職業情報提供サイト」の情報をもとに、おもなエンジニアの労働環境の実態を紹介します。
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【年収・月額賃金】
エンジニアの年収と月額賃金の平均は、次のとおりです。
基幹システム:年収660万4,000円、月額賃金33万4,000円
業務用システム:年収550万2,000円、月額賃金32万8,000円
組み込み・IoT:年収550万2,000円、月額賃金32万8,000円
Webサイト開発:年収550万2,000円、月額賃金32万8,000円
AIエンジニア:年収534万6,000円、月額賃金29万4,000円
上記のように、年収や月額賃金はエンジニアの業務内容によって異なります。基盤システムを担当するエンジニアの年収は、660万円以上とほかのエンジニアよりも100万円程度多いことがわかります。
【就業形態】
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エンジニアの就業形態はさまざまで、正社員の場合もあればフリーランスの場合もあります。同じく厚生労働省の「職業情報提供サイト」の情報をもとに、エンジニアの上位3位までを占めるおもな就業形態を紹介します。
▽エンジニアの業務内容&就業形態の割合
基幹システム:正社員76.3%、自営・フリーランス18.6%、契約社員・期間従業員15.3%
業務用システム:正社員80.3%、契約社員・期間従業員16.4%、自営・フリーランス13.1%
組み込み・IoT:正社員87.7%、自営・フリーランス14.0%、契約社員・期間従業員8.8%
Webサイト開発:正社員73.1%、自営・フリーランス26.9%、契約社員・期間従業員13.5%
AIエンジニア:正社員78.4%、自営・フリーラン24.3%、派遣社員8.1%
業務内容を問わず、割合が最も多かった就業形態は正社員です。業務用システム以外では、正社員の次に自営・フリーランスの就業形態で働く人が多いことがわかります。
【有効求人倍率】
エンジニアの有効求人倍率は、次のとおりです。
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▽業務内容&有効求人倍率
基幹システム:1.76
業務用システム:1.79
組み込み・IoT:1.79
Webサイト開発:1.79
AIエンジニア:0.99
厚生労働省の「職業情報提供サイト」によると、エンジニアの有効求人倍率は0.99〜1.79でした。厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)について」では、正社員の有効求人倍率は1.02だったことがわかっています。
エンジニアの有効求人倍率は全体の求人倍率よりも高くなっており、転職市場ではエンジニアが有利な状況にあります。ただし、AIエンジニアに関しては全体の有効求人倍率を下回っている状態です。
エンジニアの志望動機でアピールできるスキル
エンジニアとしての転職を考える際に重要なのは、プログラミングなどのITスキルだけではありません。志望動機を述べる際には、どのようなスキルがアピールできるかを確認することが重要です。
【一定以上のエンジニアリングスキル】
エンジニアとして活躍するためには、一定以上のエンジニアリングスキルが必要です。エンジニアリングスキルとは、プログラミングスキルやハードウェア・ソフトウェアに関するスキルを指します。
IT技術は日々進歩し、現場では最新スキルが求められます。最新のスキルを身に付けることで、応募先から注目され、転職成功につながる可能性もあるでしょう。エンジニアとして転職を目指す場合は、常に最新のスキルを習得しておくことが重要です。
【コミュニケーションスキル】
優れたシステムの開発には、顧客やプロジェクトメンバーとの円滑なコミュニケーションが欠かせません。
エンジニアはPCやシステムと向き合う時間が長いものの、一定のコミュニケーションスキルが求められます。たとえばプロジェクトを進める際、顧客が重視していることをいち早く察知し、ニーズに対応することが必要です。
コミュニケーションスキルが低い場合、顧客やプロジェクトメンバーと意思疎通が図れず、業務がスムーズに進行しない恐れがあります。
また、コミュニケーションスキルは、応募先の面接でも重要です。面接では企業が求める条件やスキルなどを理解した上で、自分の強みを伝える必要があるため、コミュニケーションスキルを身に付けておけば、採用に一歩近づけるでしょう。
【論理的思考力】
論理的思考力とは物事を体系的に捉え、筋道を立てて考える力です。論理的思考力を身に付けると、自分の考えを正しく相手に伝えられるため、説得力が増します。
たとえば顧客からの要望に対し、真意を汲み取った上でシステムを用いた解決策を見出すためには、順序立てて考える必要があります。また、業務をスムーズに進めるためには、チームメンバーに正確かつわかりやすく情報を伝えなければなりません。
トラブルが発生したときでも、論理的思考ができれば、原因の究明と対策に役立ちます。業界や業種を問わず、論理的思考力がある人材を求めている企業は多いため、普段からトレーニングしておくとよいでしょう。
エンジニアの志望動機に盛り込むべきポイント
志望動機にはアピールできるスキルだけでなく、いくつか盛り込むべきポイントがあります。応募先企業に対しては、仕事に対する意欲や今後の展望なども伝える必要があります。
【エンジニアとして働きたい理由】
転職する際には、なぜエンジニアとして働きたいのかを志望動機に盛り込みましょう。「○○に関わる仕事がしたい」というレベルではなく、エンジニアを志望する理由を深く掘り下げることが重要です。
未経験者の場合は、エンジニアの業務内容を理解した上でどのように活躍し、どのように企業に貢献できるかをアピールする必要があります。
経験者の場合は、経験とキャリアパスを軸に志望動機をまとめましょう。経験については、これまでの経験を通じて身に付けたスキルや強みを上手く伝えることがポイントです。キャリアパスについては、数年後に実現したい目標と将来に対する展望を伝えましょう。
【応募する企業で働きたい理由】
志望動機には、応募先企業で働きたい理由を盛り込みましょう。
企業は、なぜ応募者が自社を希望するのかを知りたがっています。そのため、エンジニアとして働きたい目的だけでなく、応募先企業特有の理由も示すことが必要です。
その理由をきちんと伝えるためには、徹底した企業研究が欠かせません。企業理念や製品に共感する部分など具体的な理由を示すことが重要です。
【入社後のキャリアプラン】
転職のゴールは入社することだけではありません。応募先企業には、入社してからどのように活躍すると想定しているかを伝える必要があります。
「入社後は○○を実現したい」「将来的には○○のプロジェクトに携わりたい」など、応募先企業で目指したいことを具体化しましょう。自分の目標と応募先企業の経営方針や製品・サービスを結びつけて伝えると、より効果的です。
求職者が思い描いているキャリアプランを伝えることで、応募先企業はそれが実現できそうかも考えます。実現の可能性を感じてもらえると、転職成功への道がより開けるでしょう。
エンジニアの志望動機を記載する際の注意点
応募先企業には、自分の正直な思いを伝えることが大切です。しかし、志望動機に正直な思いを盛り込みすぎると、応募先企業にネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。
【ネガティブな転職理由は避ける】
転職理由に現在の職場に対するネガティブな内容を盛り込むと、応募先企業からの印象が悪くなるので注意しましょう。
求職者のなかには現在の職場の労働時間や待遇に不満があり、転職を希望している人もいるかもしれません。たとえば残業時間が多い、人間関係が悪い、労働時間に対して給与が低いなどです。
しかし、応募先企業にそのまま転職理由を伝えると、入社後に同じような状況になれば転職する可能性があると捉えられかねません。
応募先企業に志望動機を伝える際は「周囲と協力しながらチーム力を高めたい」「効率的に業務を進めてさらに成果を上げたい」など、できるだけポジティブな印象を抱いてもらえる内容にすることがポイントです。
【福利厚生や労働条件を志望動機のメインにしない】
志望動機は条件面がメインにならないように注意しましょう。
近年は仕事に対する価値観の多様化に加え、求職者有利の売り手市場が続いている影響により、より良い労働環境を求めて転職する人が増えています。たとえば、「フレックスタイム制で働きたい」「ワーケーションを利用したい」「給与を上げたい」などです。
しかし、志望動機で労働条件や福利厚生を主張しすぎると、応募先企業により良い条件を持つ企業が見つかれば再度転職する可能性を示唆されてしまいます。
多くの企業は労働意欲が高く、長く働ける人材を求めています。求職者にとって労働環境は重要な要素ですが、志望動機には目指したい成果やキャリアの方向性など「企業にどのように貢献したいか」を盛り込むようにしましょう。
エンジニアの志望動機の例文
ここからは、転職スタイル別の志望動機の例文を紹介します。自分に当てはまる転職スタイルの例文を参考にし、より応募先企業にアピールできる志望動機を作成しましょう。
【例文その1:システムエンジニアからネットワークエンジニアへ】
私はこれまでシステムエンジニアとして約3年のキャリアを積み重ねてきましたが、システムの構築と運用においてネットワークインフラの重要性を痛感し、ネットワークエンジニアの役割に興味を持ちました。
ネットワークエンジニアとして、貴社の大規模プロジェクトに携わり、インフラの設計・管理を通じて安定性やセキュリティを向上させたいと考えています。
【例文その2:インフラエンジニアからシステムエンジニアへ】
これまで長年にわたりインフラエンジニアとしてキャリアを積みました。その経験のなかでITインフラだけでなく、システム全体を俯瞰する視点が重要だと思い、新たな挑戦としてシステムエンジニアに興味を持つようになりました。
今後は、インフラエンジニアとして培った経験を活かしつつ、システムエンジニアとしてシステムの設計や運用に幅広く関わりたいと考えています。
【例文その3:SES(システムエンジニアサービス)から自社雇用のシステムエンジニアへ】
貴社の世界各地に拠点を持ち、最先端の技術を追求している姿勢に魅力を感じ、自らのスキルを活かし貢献したいという想いから、応募いたしました。
私はシステムエンジニアとして、常に先を行くことを目指しており、企画から開発、運用までの一連のプロセスに関わり、技術やサービスの向上に貢献したいと考えています。
貴社のプロジェクトに参加し、最新の技術や業界トレンドに触れながら、自身のスキルを高めていきたいと思っています。
志望動機を上手くまとめてエンジニアへの転職を成功させよう
売り手市場が続くなか、エンジニアの有効求人倍率は平均よりも高い傾向にあります。エンジニアはほかの職種に比べて有利な状況ではあるものの、応募しても必ず転職が成功するとは限りません。
転職を成功させるためには志望動機を上手くまとめ、応募先企業にポジティブな印象を与えることが大切です。志望動機には、企業理念や製品への共感のような応募先企業特有の内容を盛り込むと効果的にアピールできます。
志望動機を上手くまとめられない場合は、Re就活テックに登録し、エージェントのサポートを受けましょう。
【出典元】
▽一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)について」(厚生労働省)
▽職業情報提供サイト(厚生労働省)
・システムエンジニア(基盤システム)
・システムエンジニア(業務用システム)
・システムエンジニア(組込み、IoT)
・システムエンジニア(Webサイト開発)
・AIエンジニア
(まいどなニュース・20代の働き方研究所/Re就活)