290円の安すぎる「松のや」モーニングの実力は？店舗で“2品を実食ルポ”した本音

　飲食チェーン店が新規顧客を確保するために開始したモーニング。朝の時間帯に新たなニーズを展開し、売上を補填するためのサービスのひとつです。24時間営業している和食チェーン店でも、朝の時間帯にモーニングメニューを用意するお店が増えてきました。
　近年、材料費の高騰が注目される中、値上げに負けないモーニングを展開している「松のや」。なんと、300円以下で食べられるお得なモーニングを提供しているのをご存知でしょうか。そこで「松のや」の安くてお得なモーニングを紹介します。

◆にぎわう「松のや」のモーニング

　松のやは、牛めしでお馴染みの「松屋フーズホールディングス」のグループ店のひとつです。2001年に松のやの前身となる「チキン亭」として登場。その後、とんかつ業態「松乃家」などを経て、2016年に海外出店を見据えて屋号を現在の「松のや」に変更して、300店舗近くを展開しております。

　今回、訪れたのは足立区エリアの駅近い店舗。平日の朝早い時間帯にうかがったのですが、男性客で席の半分近くが埋まっていました。意外と朝からモーニングを利用するお客は多いようです。

◆全6種類のモーニングメニュー

　松のやは、基本的に24時間営業しています。モーニングは午前4時から午前11時の間だけ販売。平日、祝日に関係なく時間帯で区切って開催しています。モーニングのメニューは全6種類。ラインナップは下記の通りです。

・玉子かけごはん定食：280円
・玉子丼：290円
・得朝ソーセージエッグ定食：430円
・得朝ささみかつ＆コロッケ定食：490円
・得朝ささみかつ定食：530円
・得朝ロースかつ定食：530円

　300円以下で食べられる商品は2種類あり、最安値のメニューは280円です。500円以下で食べられる商品も2種類あります。最高値のメニューでも530円とリーズナブルな価格帯。

　モーニングの定食には選べる小鉢が付いてきます。選べる小鉢の種類は下記の4つ。

・納豆：100円
・冷奴：100円
・お新香：90円
・コロッケ：80円

　単品で頼むと意外と高めな商品もあるので、お得感がありますね。ただでさえ、リーズナブルな価格帯なのにもう一品選べるのは嬉しいサービスです。

◆290円で食べられるお得な「玉子丼」

「玉子丼」は2018年に登場してから値上げの波に飲まれることなく、当初から一貫して290円をキープしています。2021年に販売を開始した最安値の「玉子かけごはん定食」は、2023年に250円から280円に値上げ。それでも300円以下ですが、長く存在する玉子丼が値上げをしていないのは頼もしい限りです。まさにモーニングを支える商品と言えるでしょう。

　また、玉子丼は税込350円で大盛りへの変更も可能。大盛にしても300円台なのは財布に優しいですね。

　ほのかに甘しょっぱい香りを漂わせている玉子丼。具材は「玉子、たまねぎ、ネギ、三つ葉」のシンプルな材料。卵でとじた後にカツを抜いたような見た目です。名前の通り卵を中心にした内容になっていますね。メインが卵になるため、やや物足りなさを感じさせます。

◆ボリュームがあって食べ応えがある

　いざ、食べてみると、卵にガツンと出汁の風味が効いています。たまねぎ本来の旨味が出汁に溶け出しているため、甘みの強い味わい。玉子のふんわりしたやわらかい食感が特徴的です。それでいて、ときどき顔を出す三つ葉のシャキッとした歯応えが口の中に新鮮さも与えてくれます。濃いめの味付けであるため、物足りなさは感じませんね。300円以下とお得な価格にしては、ボリューム感がありました。

　玉子丼の中央部分は、出汁が浸透してご飯がキツネ色に染まっています。ご飯がクッションのような役割を担っているため、出汁から溢れ出る旨味を余すことなく吸収してくれています。一方で、外側の部分はあまり出汁が染み込んでいません。そのため、バランスよく「染みている部分」と「染みていない部分」が存在しています。スプーンを入れる角度によって味の濃さが変わる絶妙なバランス感覚を秘めていますね。

　みそ汁は定食や丼物を注文するとついてきます。具材はワカメだけの素朴な内容です。しかしながら、思いのほかワカメが入っているため、内容量は充実していますね。味付けは、やや濃い目なので具材の物足りなさをカバーするくらいの飲み応えはありました。

◆500円以下の「得朝ささみかつ＆コロッケ定食」

「得朝ささみかつ＆コロッケ定食」は税込490円で、2種類の揚げ物を食べられる定食。他には「焼きのり、みそ汁、ミニポテサラ、キャベツ」に加えて、小鉢が一品付きます。サイドメニューも充実しており、ワンコイン以下なのに侮れない内容量ですね。

　注文する際に小鉢を4種類の中から選べます。今回は冷奴を注文しました。冷奴は単品で頼むと100円します。冷奴にしては意外と高めな価格設定ですから、定食のセットに付いてくるのはお得感がありますね。

　とんかつをメインにしているお店だけあってソースの種類も充実しています。「ニンジン、特製、中濃、スダチ」の4種類。好みによって使い分けられるのは楽しいポイントかもしれません。中でも特製ソースは、ややピリ辛で味を引き締めてくれました。

　地味ながらもあると嬉しいのが「焼きのり」。朝ご飯を盛り上げてくれる存在です。

◆満腹になること間違いなし！

「ささみかつ」と「コロッケ」は、こんがりとキツネ色に揚がっていますね。盛り付けられたキャベツの量も頼もしい。皿の脇にあるポテトサラダは、マヨネーズが効いた濃いめの味わいでした。箸休めにもなる存在ですね。

　ささみかつはささみ1枚をまるごと揚げて、切り分けてあるタイプ。衣は薄くささみの割合が多いように感じられます。外はサクッとしており、中のささみはジューシーで弾力のある食感。ささみは脂身が少なく淡白な肉質なため、あと味はしつこくないです。朝から食べる揚げ物としては良いかもしれません。

　カリカリの衣に包まれたコロッケは、ペースト状に潰した「じゃがいも」と細かく刻まれた「にんじん」が混ざり合っています。じゃがいも本来の甘味が活かされた素朴な味わい。どこか懐かしさを感じる家庭的な仕上がりです。

　焼きのりは、特筆すべき点はありませんが、ほのかに香る磯の匂いが優しい気持ちにさせてくれます。得朝ささみかつ＆コロッケ定食は、おかずの量が充実していました。そのため、ご飯が足りなくなる場合がありますが、松のやはご飯のおかわりが無料ですから気にせず、お腹いっぱい食べられるでしょう。

◆安いだけではなく満足感もあるモーニング

　松のやのモーニングは、300円以下から食べられて、お腹もいっぱいになる満足できるサービスでした。

　また、ワンコイン以下で食べられる定食もあり、小鉢が選べてご飯もおかわり無料です。松のやの経営が心配になるくらい嬉しいサービスが用意されていますね。安くて食べ応えのあるモーニングと言えるでしょう。

＜取材・文／みくた＞
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【みくた】
元プロレスラー。現在は文章で人を魅了するためにライターとして活動中。溢れ出す食への探求心から年間100件近く食べ歩き。マスクの下に隠す素顔はいかに... X（旧Twitter）：@UrumantoN