【漫画】美しい人形のガンアクションがバズ! 『全身武器の球体関節人形がパイを届ける話』に感じるロマン

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2024年04月07日 12:00  リアルサウンド

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『全身武器の球体関節人形がパイを届ける話』より

 SNSでハイクオリティな漫画が楽しめるようになった昨今。美しいドールによるガンアクションで読者を魅了しているのが、3月下旬にXに投稿され、現在までに4.4万のいいねを数える『全身武器の球体関節人形がパイを届ける話』だ。可憐な容姿のドールが悪漢に対して豪快に銃をぶっ放すというギャップと、凄惨なシーンにもどこか牧歌的なロマンを感じてしまう作品でもある。


(参考:『全身武器の球体関節人形がパイを届ける話』を読む(※一部凄惨な表現を含みます)


 作者はプロとして30年以上のキャリアを持つ尾崎かおりさん(@innobad1)。鳥山明氏のコマ割りや構図などから多大な影響を受け、本作でもその“学び”が発揮されているという。多くの読者の心を掴んでいる本作の誕生秘話など話を聞いた。(望月悠木)


※本作は一部凄惨な表現を含みます。


■ある日突然物語を授かる


――今回『全身武器の球体関節人形がパイを届ける話』を制作した背景を教えてください。


尾崎:社会の目が厳しく、空気を読めないとすぐ炎上するような世の中で、最近の自分の作品も優等生的になってきている気がして嫌でした。アクションシーンのある作品を長いこと描けていないこともあり、フラストレーションが爆発して制作したのかもしれません。


――『魔女の宅急便』の一幕を思わせる展開でした。改めてストーリーはどのようにして描いていったのですか?


尾崎:「漫画をどうやって描いたのか?」と質問されると正直困ります。どうやって描いているか、自分でもよくわからないです。考えて描くというより、ある日突然物語を授かるという感覚です。崖を渡る、パイを届ける、殺戮アクション、というアイデアだけは何年も前からありましたが、そこで止まっていました。最近突然アクションの殺陣が頭に浮かんだので描けました。


――ルナリアのビジュアルはどのように作り上げましたか? 足がガトリング砲に変形する仕掛けがカッコよかったです。


尾崎:もともとドール好きではありますが、ゴスロリなどは詳しくありません。”描きやすくてアクション映えする”という観点で容姿を決めました。足がバシャンと開いてガトリング砲が出てくるという映像は、ある日突然浮かびました。最初に描いたのがあのコマです。


――両手に銃を持って躍動するルナリアの姿は爽快感がありました。ガンアクションを描くうえで意識したことは?


尾崎:ガンアクションは実は苦手で、ガンマニアでもなく、最低限の銃の構造や撃ち方を知ってる程度なので、ぶっちゃけハッタリと勢いだけで描いてます。ファンタジーだから許して…。ただ、唯一アクションの参考にしたのは、榎本俊二先生の『斬り介とジョニー四百九十九人斬り』(講談社)という漫画です。ひたすら残虐で美麗な殺戮漫画で、私など足元にも及びませんが、「自分もこんなブチギレた漫画が描きたい」という願望がずっとありました。崖下に下卑た盗賊が巣食っているあたりは、そのまま影響を受けてしまいました。


――派手に銃で大立ち回りを見せたにもかかわらず、最後は自身の頭をメリケンサックのようにしてグーパンで倒す姿も素敵でした。


尾崎:最初はスタイリッシュに、次第にボロボロでなりふり構わない戦い方にしています。足が開いてガトリングが出る、頭が爆発するなど、見せ場になる絵を1ページごとに入れるようにしました。


――ルナリアの首が跳ねられたりなどしましたが、最後までグロさを覚えずに楽しめました。


尾崎:生身の女の子が主人公だったら直視できない状況ですが、主人公は人形なので、傷つくことも死ぬこともないところが強みです。私の絵はあっさりしているので、あまりエグさが引き立ちませんね。バカっぽさやオチの軽さでもバランスを取っています。


――今後の作品も楽しみですが、どのように漫画制作を展開していく予定ですか?


尾崎:描くのが遅いため、次の予定はまだ未定ですが、今までアクションファンタジーだけではなく、現代物や恋愛ものなどいろいろ出版しています。興味があったらぜひ読んでみてください。今後の予定が決まりましたら、Xやブログでお知らせします。


(望月悠木)


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