Surfaceライクなビジネス向け12.3型2in1タブレット「VersaPro J タイプVS(VS-L)」を試す

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2024年04月10日 13:01  ITmedia PC USER

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NECのVersaPro J タイプVSは、12.3型画面を搭載したデタッチャブルタイプの2in1タブレットPCだ。重量は本体が約728gから(5Gモデルは765g)、キーボードが約300gとなっている

 NECの法人向け製品である「VersaPro J タイプVS(VS-L)」は、Surfaceライクなデタッチャブルタイプの2in1タブレットPCだ。本体に12.3型ディスプレイと自立可能なキックスタンドを装備しており、画面カバーを兼ねるカバーキーボードを組み合わせることで、クラムシェルのノートPCと同じように使える。


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 最新モデル(VS-L)では、先代機(VS-J)から本体、キーボードの設計を一新して軽量化するとともに、CPUも先代の第11世代Coreプロセッサから第13世代Coreプロセッサに強化して魅力が増している。今回はCore i5-1335Uを搭載した5Gモデル「PC-VJT46S4GL」の評価機を入手したのでレビューしていこう。


●堅牢さも兼ね備えた728gからの薄型軽量ボディー


 タブレット本体のサイズは約283(幅)×204.4(奥行き)×10.5(高さ)mmだ。重量はWi-Fiモデルで約728g、LTEモデルが約759g、5Gモデルが約765gとなっている。日本マイクロソフトの「Surface Pro 9」は、サイズは約287(幅)×209(奥行き)×9.3(高さ)mm、重さが約878g(5Gモデル、Wi-Fiモデルは約879g)なので、Surface Pro 9よりもやや厚みがあるが、重量は5Gモデルでも100g以上軽いという優位性がある。


 ボディーの素材はマグネシウム合金を採用している。表面仕上げの高級感ではSurface Proに及ばないが、金属ならではの剛性感はある。ディスプレイには高強度ガラスを使用しており、全体の頑丈さに不安はない。


 セキュリティスロットは衝撃がマザーボードに伝わらないような設計で、USBなどのコネクター部分も金属で補強して耐久性を高めている。開発段階では150kgfの面加圧試験、76cmの落下試験、セキュリティスロットの引っ張り試験なども行っているという。


 公称のバッテリー駆動時間は、JEITAバッテリ動作時間測定法 Ver.2.0で約15時間、JEITAバッテリ動作時間測定法 Ver.3.0では動画再生時で約5.1時間、アイドル時で約13.1時間となっている。


●無段階調整のキックスタンド、マルチなスタイルで活用


 本体裏側のキックスタンドは、最大165度まで無段階で開ける。ヒンジの強度もしっかりしており、好きな角度で安定して使える。


 オプションのカバーキーボードもリニューアルしている。本体底部の電子接点を使って接続する形式で、強力なマグネットとガイドによって簡単に着脱ができた。同じくオプションのペンを持ち歩くためのホルダーも付いている。


 キーボード自体のクオリティーも高い。実測のキーピッチは約18×18mmと広めで、変則的な配置が少ない。ストロークも約1.5mmと、この手のキーボードとしては深めだ。キートップには緩やかなカーブがついており、指も安定しやすい。スイッチの感触も良く、キータッチはとても快適だ。


●リニューアルしたデジタイザペン


 オプションのデジタイザペンは2ボタン式で、4096段階の筆圧検知に対応する。従来と比べるとペン自体が少し細長くなった他、ペン先も従来の樹脂のみから金属芯と樹脂を組み合わせた細いペン先となり、筆記時の直進性とペン傾斜時の視差が改善されているという。


 充電はUSB Type-Cで行い、満充電までの充電時間が24分、満充電からの駆動時間は約17時間となっている。


 書き味はやや硬めで滑る感触がある一方、確かに視差は少なく繊細な描画に向く印象だ。直進性改善の効果か、手書き文字や図形などラフな筆記も硬さの割には書きやすく感じた。


●アスペクト比3:2の12.3型液晶ディスプレイを搭載


 12.3型のIPS液晶ディスプレイは1920×1280ピクセルで、アスペクト比はSurfaceシリーズと同じ3:2だ。


 一般的な1920×1080ピクセル(アスペクト比16:9)よりも縦の情報量が多いため一覧性が高く、縦長の文書やWebページをより少ないスクロールで閲覧できる。同じ情報量を表示するなら、より大きいサイズで見ることができるため、オフィスユースとの相性は抜群だ。作業領域の広さはクリエイティブな作業もやりやすい。


 一方、表面は光沢仕上げのため外光や照明は映り込みやすい。キックスタンドで角度を調整できるし、十分な輝度があるため暗いシーン以外ではさほど気にならないが、このあたりは好みが分かれるところだろう。画面の詳細なスペックは公開されていないが、明るく発色も良好で、見た目の印象はとても良い。


●USB4 Gen 3x2対応含めType-Cを3基装備、オプションも豊富


 通信機能は、1000BASE-T対応の有線LANとWi-Fi 6対応の無線LAN、Bluetooth 5.3を標準装備している。オプションで4G LTEまたは5G対応(いずれもSIMロックフリー、eSIM対応)のWWAN機能も搭載できる。


 USBポートは1基のUSB4(Thunderbolt 4)対応ポートを含め、3基を搭載している。他の2基はUSB 3.2 Gen 1対応で、全てのポートがディスプレイ出力(DisplayPort Alternate Mode)とUSB PD(Power Delivery)に対応し、ACアダプターの接続端子も兼ねている。


 また、盗難防止ワイヤを取り付けるためのセキュリティスロットも装備している。強度があるSK7(炭素工具鋼鋼材)を使いながらマザーボードに負荷が伝達しないような設計の工夫がされており、5方向からの引っ張り試験もクリアしている。受付やイベントのデモンストレーションなど、不特定多数の人が出入りする場所でも安心して利用できる。


●ビジネスを快適に進められる基本スペック


 CPUは第13世代CoreプロセッサのCore i5-1335Uを搭載する。性能優先のPコアを2基、電力効率優先のEコアが8基で合計10コア12スレッドという仕様だ。2023年以降のビジネスPCでは採用例が多い定番的な存在だ。


 メモリはカスタマイズの対象で、最大32GBを搭載できる。ストレージはPCI ExpressインタフェースのSSD(暗号化機能付き)を採用し、容量は256GBと512GBを選べる。ビジネス用途で快適に利用できる内容だ。


●リモートワーク向けの強力なミーティング機能を搭載


 VersaProシリーズの特徴であるリモートワーク向けの機能も充実している。カメラは、画面上のインカメラと背面のアウトカメラの2つを装備している。インカメラは約500万画素(1944p)と高画質で、顔認証のIRカメラも統合されている。アウトカメラは約800万画素(2448p)とさらに高画質で、オートフォーカス機能も搭載している。


 インカメラの脇にステレオマイク、両側面中央よりやや下側にステレオスピーカーを搭載している。


 シングルユーザー/マルチユーザーへの最適化、スピーカー/ヘッドフォンの残響抑制、声量の均一化、マイクのノイズ抑制といった従来の機能に加えて、新たにノイズ抑制レベルの調整やマイクテスト機能ができるようになった。自分で効果を確認して調整できるのは便利だろう。


●静音性と快適な性能を両立


 ベンチマークテストの結果を見よう。Windows 11の電源設定はバッテリーのテスト以外は「最適なパフォーマンス」で統一している。参考として2018年発売のビジネスノートPCのスコアも掲載している。


 スコアは特に目立つわけではないが、CPUに高い負荷をかけつづける「CINEBENCH R23」(最低実行時間10分)のCPUスコアも5500ポイント超と良好で、「PCMark 10」でも全項目で旧世代を大きく上回っている。700g台の薄型軽量の2in1タブレットとしては優秀な水準といえる。


 静音性も優秀で、第13世代Coreならではの電力効率の良さを性能と静音性の両方にバランスよく生かしている印象だ。


●ビジネスの即戦力として活躍できる2in1タブレット


 VersaPro J タイプVSはキックスタンドを備えたSurfaceライクなスタイルが印象的だが、プレミアムな要素を割切る一方で、より軽量なボディー、より実用的な端子類を備え、ハイブリッドワーク向けの機能も充実し、ビジネスの現場で使いやすい仕様になっている。静音性も抜群で、ビジネス向けの2in1タブレットPCとしての完成度は高い。導入すれば即戦力として、生産性の向上に貢献してくれることだろう。


 NECのSOHO/企業向け直販サイト「NEC得選街」で評価機の価格は、メモリ8GB、SSD256GB、Wi-Fiのみ、キーボードなしの最小構成で16万3900円(税別、以下同)からとなっている。カスタマイズでメモリ16GB、SSD512GB、キーボード、ペンを選択すると20万7100円で、さらに4G LTE機能を付けると22万2100円になる。USB Type-C拡張ドック含めて純正オプションが豊富に用意されており、必要なもの一式をワンストップで購入、管理できるのも法人用途では便利だろう。


※記事初出時、一部表記に誤りがありました。おわびして訂正します(2024年4月10日午後10時55分)。


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