8コア16スレッドのRyzen 9 7940HS×Radeon 780M搭載! 片手で握れるミニデスクトップPC「GEEKOM A7」の“強さ”をチェック!

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2024年04月10日 18:21  ITmedia PC USER

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とにかく軽くいので、まさに手のひらサイズのミニデスクトップPC「GEEKOM A7」

 先日、Core i9-13900HのCPUにメモリ32GB、ストレージ2TB搭載というハイエンドなミニPC「GEEKOM NUC MINI IT13」を紹介した。デスクトップやノートPC並みの性能を持っており、オフィスユースなら問題なく利用できるミニPCだ。グラフィックに関しても、CPU内蔵のIntel Iris Xe Graphicsながら、設定次第ではAAAタイトルもプレイできるポテンシャルを持っている。


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 とはいえ、せっかくならゲームも快適にプレイしたいところだろう。そんな要望が寄せられたのかは定かではないが、GEEKOMがゲームにも強そうなRyzen 9 7940HS採用の「GEEKOM A7」をリリースした。


 今回は、そのGEEKOM A7でゲームをプレイしてみたので、どの程度使えるものなのか紹介していこう。


●とにかく軽量で内部にもアクセスしやすいボディー


 まずは、GEEKOM A7の仕様を確認しておこう。CPUはAMD Ryzen R9 7940HS(8コア16スレッド)で、TDPは35〜54Wとなる。基本クロックは4GHzだが、最大ブースト・クロックは5.2GHzと高めになっている。


 メモリは32GB(16GB×2/DDR5 5600MHz)を備えているが、デュアルチャンネルのSO-DIMMで最大64GBまでサポートする。ストレージは、PCI Express 4.0 x4接続の2TB SSDを備える。標準でM.2 2280のSSDを装着済みだが、SATAのSSDも装着可能だ(最大1TB)。M.2 2230のスロットもあるが、こちらにはWi-Fiカードが装着済みとなっている。MINI IT13とは異なり、2.5インチのSATA HDD/SSDは搭載できない。


 その分、本体サイズは約112.4(幅)×112.4(奥行き)×37(高さ)mmとスリムで、MINI IT13よりも一回りコンパクトになっている。高さが抑えられている(MINI IT13は約49.2mmだった)のは、2.5インチベイを廃止したためだろう。重量も、メモリやSSDを搭載した状態での実測値は417gと軽量だった。


 底面に85mm間隔でネジ穴はあるが、VESAマウント用のプレートは付属していない。ディスプレイ背面などに取り付けたい場合には、別途プレートを用意するなど何らかの工夫が必要となる。


 メモリやストレージには背面カバーを外せばアクセスできるが、ネジはゴム足の下に隠れている。ゴム足には両面テープが使われているものの、取り外すことを想定した作りになっており粘着力が弱まってもすぐに外れてしまうことはなさそうだ。細かい部分だが、こうした配慮には好感が持てる。


 無線LANモジュールにはMediaTek MT7922A22Mを搭載しており、Wi-Fi 6E対応の無線LANとBluetooth 5.2を利用可能だ。


●最大4画面出力にも対応


 続いて、本機のインタフェースを見ていこう。


 インタフェースはUSB 3.2 Gen 2 Standard-A端子が3基、USB 2.0 Type-A端子が1基、USB4端子が1基、USB 3.2 Gen 2 Type-C端子が1基、SDメモリーカードリーダー、3.5mmのヘッドフォン端子と、HDMI 2.0出力端子が2基、2.5GbE対応の有線LAN端子と豊富だ。2基のHDMIとUSB4(USB Type-C)を利用して最大4画面出力(4K対応)も行える。なお、1画面なら8K出力にも対応している。


 電源は専用のACアダプターを使用する。120W出力だが、本体の半分のサイズとコンパクトだ。電源プラグはアース付きの3ピンタイプとなっているので気をつけよう。


●システムの性能はどうだ?


 ここからは、ベンチマークテストでパフォーマンスをチェックしよう。


 まずCINEBENCH R23の結果は、マルチコアで「1万4048pts」、シングルコアで「1802pts」だった。ほぼ期待値通りで、発熱による性能低下は起きていないようだ。


 PCの総合的な性能を計測するPCMark 10のスコアは「7276」だった。日常的なPC作業のEssentialは「11453」、オフィス作業のProductivityは「9297」、写真や動画などのデジタルコンテンツ編集のDigital Content Creationは「9817」と、それぞれ高いスコアを記録している。


 本機はRyzen 9 7940HSを搭載しており、GPUとしてRadeon 780M Graphicsを利用できるのが強みだ。このグラフィックス性能が、RyzenがポータブルゲーミングPCで採用が多い理由でもある。


 Digital Content Creationの詳細をみると、Video Editing Scoreが「6852」と若干低くなっているものの、Photo Editing ScoreとRendering and Visualization Scoreはどちらも1万を超えている。動画編集は少し苦手なものの、写真編集などは問題なくこなせそうだ。


 続いて、GPU性能やゲームでのパフォーマンスをチェックする。


●さまざまなゲームタイトルでチェック!


 グラフィックス性能を測る3DMarkの結果は下記の通りだ。いずれも、同社のミニデスクトップPCであるMINI IT13と比べると高いスコアを記録しており、これを見るとポータブルゲーミングPCにRyzenの採用が多い理由もうなずける。


・Time Spy Extreme:1612


・Time Spy:3423


・Fire Strike Ultra:2358


・Fire Strike Extreme:4193


・Fire Strike:7867


・Night Raid:27680


 ベンチマークテストでは重い部類に入る「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONベンチマーク」を実施したところ、軽量品質/1920×1080ピクセル/フルスクリーン設定で「4848(やや快適)」という結果になった。解像度を落とせば、AAAタイトルもそれなりに快適にプレイできそうだ


 実際、AAAタイトルの「Cyberpunk 2077」のグラフィック設定で、プリセットを「低」にしてベンチマークを実施したところ、平均FPSは53.87fpsと十分に快適と呼べる状態でプレイ可能だった。


 なお、デフォルトの状態ではプリセットは「レイトレーシング:低」で、テクスチャの質は「高」になっている。この状態では平均FPSは26.74fpsだった。このままでも遊べなくはないが、設定は少し落とした方が良さそうだ。


 せっかくなので、負荷が高いと言われることが多いパルワールドでもFPSを計測してみた。グラフィックスの設定でプリセットを「低」にし、CapFrameX を使用して2分間の平均FPSを計測してみたところ、平均38.4fpsとなった。こちらも十分にプレイ可能と言えそうだ。


●ポータブルゲーミングPCを買うかミニデスクトップPCを買うか


 FPSや格闘ゲームなど、コンマ何秒での操作を要求されるゲームに本機が向いているとは言えないが、8型〜10型クラスのポータブルゲーミングPCと同等のプレイ体験は得られそうだ。ただ、電源接続が必須で、別途ディスプレイやキーボード、マウスなども用意しなければならないため、手軽にゲームを楽しみたいのであれば素直にポータブルゲーミングPCを購入した方がいいだろう。原稿執筆時のAmazonでの価格は15万円(税込み、以下同様)と、価格的にも性能的にも同等だ。


 デスクトップPCと比べてしまうと拡張性は限られるが、メモリは最大64GBまで増設できるし、SSDも手軽に換装可能だ(交換するとメーカー保証はなくなるが)。GPUが物足りなくなってきたときに悩ましいが、本機のUSB4(Thunderbolt 3)端子に「GPD G1」などの外付けGPUボックスを利用すれば、さらなるパワーアップも夢ではない。


 ゲームが主目的ではなく、オフィスユースやクリエイティブ用途でも使いつつ、ゲームも楽しみたいということであれば、GEEKOM A7はお勧めできる1台だ。


 なお、CPUをRyzen 7 7840HS、SSDを1TBにした下位モデルならば9万6000円と10万円を切るので、こちらを検討するのもありだろう。


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