中小企業と大学/研究機関の橋渡しに――デル・テクノロジーズが「DXイノベーションコネクト」を始めるワケ

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2024年04月12日 17:21  ITmedia PC USER

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DXイノベーションコネクトのWebサイト

 デル・テクノロジーズは4月10日、中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する基盤「DXイノベーションコネクト」の提供を開始した。大学/研究機関の持つ学術的知見を生かして中小企業のDXを進めることを意図しており、開始当初は奈良先端科学技術大学院大学(NAIST:奈良県生駒市)や、同大学発のベンチャー企業であるdTosh(京都府精華町)と連携して5つのプログラムを提供する。


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●DXイノベーションコネクトの概要


 DXイノベーションコネクトでは、大きく以下の5つのプログラムを提供する。


・DX Learning Community


・DXを推進する上で必要なデータ分析/戦略立案を支援するコミュニティプログラム


・社内に分析/立案を行うための人材がいない企業向けに提供


・ハンズオンとグループワークを実施


・参加費は無料


ゼロタッチ タスク


・RPA(Robotic Process Automation)による業務の自動化を推進


・RPAを導入したいが何をどうすればいいのか分からない企業向けに提供


・Windows 11の「Power Automate for desktop」を使ってRPAを構築するための手順を作成/提供する


ローカル生成AIパッケージ


・企業オリジナルの「ローカルAI」を利用するためのパッケージを提供


・基本的に「Microsoft Azure Open AI」ベースで提供(「Llama2」ベースの完全オンプレミスオプションも用意)


・企業固有の業務情報をベースに「問い合わせ解決サポート」「顧客の問い合わせの自動応答」「取引履歴や顧客の嗜好(しこう)に合わせたリコメンデーションサービス」など、生成AIを活用したサービスを提供


DXワークショップ


・DXを進める際の要件定義を行う方法を学べるワークショッププログラム


・「知的資産経営メソッド」に基づき、専門家が半日をかけて要件を策定する


DXエンジニア養成講座


・自社のサービスや製品にAIを組み込みたい企業向けのプログラミング講座


・「Python」を使ってビッグデータの整形/解析/マイニングと機械学習モデルの構築/評価の方法を学習可能


・オンラインでの実施で、参加費無料


 デル・テクノロジーズは、プログラムの参加者(中小企業)と大学/研究機関を“仲介”することで、中小企業におけるDX推進と、大学/研究機関の研究実証/共同研究パートナー探しの両方を支援する。仲介の舞台となるマッチングサイトの運営は、dToshが行う。


 デル・テクノロジーズは、なぜDXイノベーションコネクトを提供することになったのだろうか。


●「DXイノベーションコネクト」はなぜ生まれた?


 DXイノベーションコネクトは、デル・テクノロジーズが2020年からNAISTなどと共同で進めてきた「中堅企業DXアクセラレーションプログラム」を通して浮き彫りになった課題を踏まえて作られたという。


 日本企業のうち、資本金が1億円以下の中小企業(※1)は99%を占める。人手や経営資源に乏しい中小企業こそ、業務の効率化が求められる。DXはその手段の1つだが、中小企業にはDXに取り組むためのリソースが足りなかったり、そもそもどうやってDXを進めればいいのか分からなかったりするという声もある。


 そんな中小企業のDXを支援すべく、中堅企業DXアクセラレーションプログラムは立ち上げられた。


(※1)この定義方法は「法人税法」上のもの。なお、中小企業と大企業の定義は、法律によって異なる(従業員数によって定義するケースや、業種によって資本金や従業員数のしきい値を変えるケースもある)


 しかし、このプログラムは内容的に「人材育成」に主眼を置いており、人材育成後の「PoC(Proof of Concept:概念実証)」のフェーズをカバーしていなかった。中小企業が“自力で”PoCを行うのは、知見や知的財産の活用の観点で困難なことが多い。この点については、DXに特化した「伴走型コンサルティングサービス」も多数用意されているが、中小企業が利用するには金銭面でハードルが高い。


 一方で大学/研究機関では、特に若手研究員が研究した成果の具現化や実証、あるいは共同研究を進めるためのパートナー企業を探すことに困難を抱えている。


 そこで、DXイノベーションコネクトでは、デル・テクノロジーズが中小企業と大学/研究機関の間に入りマッチングを行い、中小企業には大学/研究機関の協力に基づく、企業規模に見合ったコストでのPoCの実施を、大学/研究機関には中小企業を通した研究成果の社会実装や共同研究の機会を提供する。


 DXアクセラレーションプログラムの後継プログラムということもあり、DXイノベーションコネクトもNAIST(およびdTosh)とのパートナーシップに基づいて提供される。開始当初はNAISTの7つの研究室が参画する。今後、他の研究室や他の大学/研究機関の参画が広がるかに注目だ。


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