スマートグラス「XREAL」ユーザーが「Rokid」に浮気した理由 実機比較で分かったこと

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2024年04月14日 12:51  ITmedia Mobile

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一見するとリモコンにしか見えないRokid Stationだが、このリモコンのようなデバイスに「Android TV」というOSが搭載されている

 「メガネのように軽くて、かければ目の前に大画面」――。最近、このような特徴を持つ、いわゆるスマートグラスなる製品がより身近な販路で購入できるようになってきた。


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 代表的な製品でいえば、「XREAL Air」シリーズだろう。2023年11月22日には、NTTドコモがスマートグラス「Rokid Max(ロキッド マックス)」と、携帯可能なAndroid TV搭載デバイス「Rokid Station(ロキッド ステーション)」の取り扱いを発表した。


 これらの製品は、本体内部のグラス(レンズ)をディスプレイに見立てて、肉眼で見える光景にディスプレイに映した映像や画像を重ねて表示できるのが特徴だ。視界をふさいでしまう「VRゴーグル」とは別物だ。


 筆者はこれまでXREAL Airシリーズ、特に「Air 2 Pro」を気に入り、愛用してきた。詳細は後述するが、電気的に透過度を切り替えられるのが、他のAirシリーズにはなかった大きな特徴だ。


 一方、Rokid Maxは透過度の切り替えはできないものの、Android TV搭載デバイスのRokid Stationと組み合わせて使うことで、スマートフォンやPCの映像や画像をミラーリングせずにコンテンツを楽しめるのが特徴だ。


 Air 2 Proでも十分、スマートに扱えるのだが、しばらく使っているうちに“物足りなさ”を感じてしまった。主にスマホのミラーリングデバイスとして活用していたのだが、「スマホが手元になくてもコンテンツを楽しみたい」「充電しながら使いたい」の2点をかなえるデバイスを探していたわけだ。


 そんな最中に見つけたのが、Rokid MaxとRokid Stationだ。


●Rokid MaxとRokid Stationを選んだ決め手


 「Google Chromecast」や「Apple TV」を想像すると、Rokid MaxとRokid Stationがそれぞれどのような役割を持つのかが分かる。ChromecastとApple TVはディスプレイに接続することで、動画や音楽などのコンテンツをディスプレイに表示できる。OSにAndroid TVを採用したRokid Stationも同じで、Rokid Station本体にはディスプレイがないため、そこから映像をRokid Maxにケーブルで出力して使う。


 Rokid Maxはメガネ感覚でかけて使えるので、寝ながら「YouTube」「Prime Video」「Abema」「NHKプラス」「TVer」を視聴できる。このような使い方はXREALとスマートフォンの組み合わせでもできるし、映像出力元のデバイスとOSは違えど、Rokid MaxとRokid Stationの組み合わせとほとんど変わらない体感を得られるはずだ。


 では、なぜXREALユーザーの筆者がRokid MaxとRokid Stationの購入に至ったのか、というと、それは充電しながらの使用だ。XREAL Airシリーズは映像出力元のスマートフォンのUSB Type-Cポートとケーブル1本で接続できるが、スマートフォンのUSB Type-Cポートは1つしかないため、そこを映像出力でふさいでしまうと、バッテリー残量が少なくなった場合に充電しながら使用することはできない。


 一方で、Rokid Stationは映像出力用のポートと、USB Type-Cポートの2ポートあるため、片方を映像出力に利用しながらも、もう片方を充電用途にできる。はじめはバッテリーに付加がかかるため、できないのだろうと諦めていたが、試してみたところ、このような使い方ができた。ただ、充電しながら長時間使用し続けると、Rokid MaxとRokid Stationも高温になりやすいため、充電しながらの使用はなるべく控えるようにしたい。


 と、原稿を書き進めていたとある日、XREALがスマートフォンを充電しながらXREAL Airシリーズを接続できる「XREAL Hub」を突然発表。既に公式ショップや家電量販店などが販売しており、価格は5980円(税込み)だ。


 XREAL Hubは、XREAL Airシリーズと接続すれば、スマートフォンやゲーム機などのデバイスに給電しながら使用できるアクセサリー。USB PD(USB Power Delivery)急速充電プロトコルをサポートし、最大で120Hz、AR空間でも72/90Hzのリフレッシュレートに対応する。


 正直、筆者としては充電しながら使えれば、Rokid MaxとRokid Stationでなければ困るということはないため、Rokid MaxとRokid Stationを先走って購入し、若干後悔している。


 ただ、スマートグラス本体ではないのと、アクセサリーとしての扱いなので、いつ発表されるのかを正確に読み切るのは難しい。自分が困り感を抱いていたときと、XREAL Hubが発表されたときのタイミングが合わなかったので仕方がない、と今は感じている。


●Rokid MaxとRokid Station、装着感や視認性はXREALと違う?


 では、肝心の装着感や視認性、音質はどう違うのか。


 Rokid Maxと、これまで使ってきたXREAL Air 2 Proの装着感を比べると、それほど大きな差はない。どちらもいわゆるVRゴーグルのような“頭に何かを被っている感”はなく、本当にメガネ感覚で気軽に使える。重量はRokid MaxもXREAL Air 2 Proも75gとなっている。


 続いて視認性について。ここは購入検討者のほとんどが気になるだろう。視野の広さはRokid Maxが50度、XREAL Air 2 Proが46度で、Rokid Maxの方が広いが、段違いとまではいえず、微々たる差だと感じる。グラス内をのぞいているときは、映像コンテンツなどに集中できるが、四隅を見ればフレームの影が見えてしまう。


 解像度(片目)についてはどちらも1920×1080ピクセル。ディスプレイの最高輝度はXREAL Air 2 Proが500ニト、Rokid Maxがさらに明るい600ニトだ。この違いは屋外での使用で分かる。Rokid Maxの方が日差しの強い日でも明るくて見やすい。


 使い勝手でもRokid Maxの方を評価したい。Rokid Maxは本体のダイヤルを回すと、視度を調整できる。近視と遠視の人に向く。ちなみに、XREAL Air 2 Proで視度を調整するには、別途「補正レンズ」を用意する必要がある。その点、コストをかけずに片手で視度を調整できるRokid Maxはとても親切だ。


 逆にRokid Maxにはなく、XREAL Air 2 Proにしかない特徴もある。それは「電気クロミック調光」だ。ボタン1つでグラスの透過度を3段階に切り替えられる。誤解なきように強調しておくが、これはディスプレイの明るさではなく、透過度を電子的に切り替える機能だ。より没入したいときは透過度を下げることで、まるで真っ暗闇で見ているかのような体験を得られ、現実空間を見ながらコンテンツも見たいときは透過度を上げる、というような使い方ができる。


 ただ、今のところは現実空間とグラス内の映像を同時に見たい場面がないため、正直いってXREAL Air 2 Proの電気クロミック調光は必需機能になっていない。


 音質についてはどちらもほとんど差はない。どちらもツルの部分にスピーカーが内蔵されており、耳へなるべくダイレクトに音が届くように設計されている。一方で、イヤフォンではなくスピーカーから音が出るので、当然ながら音漏れはある。図書館や電車など、音漏れによって、他人に迷惑が掛かるような場所では利用しづらい。


 ワイヤレスイヤフォンから音を出力しながら、Rokid MaxかXREAL Air 2 Proで映像を楽しむことは可能だが、イヤフォンによってはこの使い方ができないので、公式に推奨されていないのだろう。


●今後しばらくはRokid MaxとRokid Stationで十分


 ここまで、XREAL Air 2 Proユーザーから見た、Rokid MaxとRokid Stationの魅力を語ってきた。今のところ不便に感じるのは、一部ワイヤレスイヤフォンと相性が合わないことくらい。その他は満足している。


 ドコモオンラインショップではRokid MaxとRokid Stationがセットになった「Rokid AR Joy Pack」が8万4800円で販売されているが、XREAL Air 2 Proは公式サイト、Amazonなどを通じて6万1980円で販売されている。価格差は2万2820円と、乗り換えのハードルになるだろうが、グラス単体を購入するよりもRokid AR Joy Packの方が得られる体験は間違いなく大きい。


 これからしばらくの間はRokid MaxとRokid Stationで映画を見たり、Android TV向けのアプリを使ったりしたい。


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