受験生の味方「赤本」の表紙が変わる！　創刊70周年でデザイン一新

　赤い表紙から、“赤本”として受験生に親しまれてきた世界思想社教学社(京都市)が発行する大学入試の過去問題集シリーズが、2024年に創刊70周年を迎える。2024年5月に発売する2025年版から、同シリーズのデザインを一新することになった。

　前年までの赤本の表紙は、2006年から約20年続くデザイン。書店で存在感を放つ真っ赤な赤本は大学受験の象徴で、「志望校の赤本を買うとやる気が出る」「心強い」と好評を得てきた。一方で、「大学名が目立ちすぎて持ち歩くのがちょっと恥ずかしい」「表紙の圧がすごい」といった声も。そこで創刊70周年を機に、「ぱっと見て赤本だと分かること」「受験のプレッシャーを与えないこと」「親しみを感じられること」を重視してデザインを変えることになった。

　新デザインを手がけたのは、明後日デザイン制作所(神戸市)の近藤氏と井澤氏。まず、今回のデザイン変更意図を伝え、「赤本らしさとは何か」「今のデザインのどこを変えたいか」といった話し合いを重ねた。「赤地に黒いゴチック体の大学名」「中央寄せの配置」「上部の帯状の差し色」「四角と幾何学模様」などの“赤本らしさ”を残しながら、「強調を弱め、文字を読みやすく」「中性的なデザインに」「空白を設けて風通しをよくする」という方針を立てた。

　新デザイン考案スタートから約半年後、2案に絞り、京都市の花園中学・高等学校高校1・2年生図書部の生徒たちに意見をもらう場も設けた。実際にたくさんの赤本が並ぶ図書室で、新装丁の2案を見比べ、高校生の感性を大事にしながら、デザインを最終決定。2025年版に使用するミントグリーンの差し色を使い、爽やかなカラーのデザインとなった。

　「赤本」は、受験生の間で呼ばれ定着した通称だったが、2024年度に刊行される書籍から「大学赤本シリーズ」となり、“赤本”が正式にシリーズ名の一部となる。70年の間には何度もデザインが変わってきた。およそ87歳〜18歳の方が手にしてきた長年続く“赤本”シリーズ。使った年によって思い出の赤本の顔も違う。新しい赤本は、表紙だけではなく、本文も新しいデザインに。問題解答にツメを入れたり、見出しを大きくしたりと、使用しやすさを重視している。

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