【サッカー日本代表 板倉滉の「やるよ、俺は!」】第16回 北朝鮮戦で学び直した"勝利への貪欲"

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2024年04月16日 10:10  週プレNEWS

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板倉が北朝鮮戦で学び直した”勝利への貪欲”

まさかのキャンセルも生じた北朝鮮との戦い。ゲームキャプテンとして受けた指名、アジア杯での悪夢払拭。板倉があらためて学び取った狆〕瓩悗慮き合い方とは。

■試合当日の朝、森保監督から

サッカー選手たるもの、勝利への貪欲さを失ったら存在意義はない。常にギラギラとしたハングリーさがあってこそ、結果を残せるというもの。僕にとって人生初となる北朝鮮との戦いで、あらためてそれを実感した。

W杯2次予選、アウェーの平壌での戦いがなくなり、チームが解散となったときは肩透かしを食らったような気持ちになると同時に、不思議と、不戦勝とはラッキーなものだという気持ちにもなった。

一方で、第1戦のホームゲーム(3月21日、国立競技場)に北朝鮮を迎えるにあたっては、気持ちは非常に高ぶっていた。何せ悔しい思いをしたアジア杯・イラン戦以来、最初の日本代表の試合である。どうしても勝ちが欲しかった。

試合当日の朝、宿泊先の僕の部屋。ドアをノックする音が聞こえた。開けてみると、森保監督がひとりで立っていた。招き入れると開口一番、

「今日、ゲームキャプテンをやってもらうから」

昨年3月の親善試合・コロンビア戦以来、2度目となる指名。身が引き締まる思いだった。

ふたりで話したことは、前日練習で守備の確認を行なった際のおさらいだった。具体的に言えば、守備のラインはコンパクトに、ただしそこだけにとらわれないようにする、DFの縦ずれも無理はしない、全体的には割と堅実にいこうといった感じだ。

いざキックオフとなったとき、僕らは非常にいい入り方ができた。みんな、同じ思いだったはずだ。集中してゲームに入っていこうと。それは前半2分の田中碧の先制ゴールで形となった。

対する北朝鮮は立ち上がりの際、少し硬い印象があった。僕らのプレースピードに若干慌てふためいているとも感じた。僕らが反省すべきは、前半の段階で着実に仕留めるべきだったということ。

北朝鮮のテンパりは最初だけで、必ず攻め上がってくるとは予想していた。実際、ハーフタイムでよほど監督から活を入れられたのだろうか、後半に入ると彼らは一気にギアを上げてきた。球際の激しさはもちろん、ハイプレスやアーリークロス、ロングボールの多用など、僕らがアジア杯で散々苦しめられたポイントを突いてきた。

すごくいい形で先制したにもかかわらず、その後は何本かのチャンスをものにできず、後半、セカンドボールが徐々に相手にこぼれ始め、相手の勢いにのまれていく。まさにイラン戦の悪夢再び。

同じことを繰り返してたまるか、この苦しい時間帯が一番の踏ん張りどころだと自分に言い聞かせた。キャプテンである以上、周りにもハッパをかけた。

後半29分、(谷口)彰悟さんが入って、4バックから3バックにシステム変更。率直に言って、DFとしてはだいぶやりやすくなった。ロングボールへの対応が改善され、後ろを気にする必要がなくなったので、1対1の勝負もこだわってできるようになった。

守備陣の互いの距離も近くになったので、安定感が増した。同時に、相手のボールの出どころへプレスをかけられるようになり、むしろ攻撃的になった。前に、強く行けるようになったのだ。

結果は1-0で試合終了。辛勝という評価もあるようだが、試合内容や戦術を飛び越えてなりふり構わず勝ちをもぎ取るという目標を達成した点で、ポジティブな勝利だと思っている。

■「これや、これ! このインテンシティ!!」

北朝鮮で、勝利への貪欲さを全力で示してくれた立役者は(長友)佑都さんだ。久しぶりの招集、会えば僕も思わず顔がほころんでしまう。とにかくエネルギッシュでオーラがほとばしっている。

「これや、これ! これが欲しかったんや! このインテンシティや〜!!」

と、練習の段階から雄たけびのような声を出して体を動かしていた。

さらに圧倒されたのは、佑都さんの体だ。皮と筋肉で、脂肪はほぼ皆無。お尻を触らせてもらったところ、感触はボウリングの球のようだった。

僕も今までたくさんのベテラン選手と一緒にプレーしてきたが、佑都さんは別格だと思う。37歳、W杯には4大会出場。今も体力の数値はトップレベルを維持。メンタルのみならずフィジカルも"モンスター"である。代表期間中はずっとトレーニング法やコンディションの調整について質問攻めにした。勉強になることばかりだった。

北朝鮮との試合中でも、佑都さんはライン際に立って、僕らを叱咤激励してくれた。気がつけば、佑都さんがいた。けっこうな頻度でベンチから前に出てきていたので、監督がもうひとり増えたようだった(笑)。

日本代表に選ばれることの喜びを全力で表して、たとえ出番があろうとなかろうと、練習から一切手を抜かず、チームの皆を鼓舞する。そんな姿を見て、僕自身、もっともっと努力を重ねていかないとダメだと痛感させられた。

何度でも言おう、やはり佑都さんのような"ギラギラ"がなくなったら、サッカー選手はおしまいだと思う。ましてや、代表チームは国を背負って戦う集団。

システムやフォーメーション、戦術も重要ではあるが、勝ちをつかむための闘争心こそが原動力であり、最も大事な要素だ。"満足"という名のリミッターは絶対つくってはいけないのだ。

構成・文/高橋史門 撮影/山上徳幸 写真/AFLO/JFA

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