Synology「BeeStation」はNASより便利な一面も 家族の“秘密”も守れるストレージ、共有リンクや写真管理もある

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2024年04月16日 12:51  ITmedia PC USER

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 自分だけのクラウドストレージを構築できるSynologyの「BeeStation」について、前回はPCからアクセスするクラウドストレージ機能に焦点を当てて紹介した。しかし、BeeStationには他にも便利な機能が複数用意されている。今回はその点に触れていこう。


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●BeeFiles機能を使って大容量ファイルを送信する


 クリエイティブ系の業務に従事しているなら、完成したデータを顧客に納品する事が日常的な作業として発生する。データサイズが小さければメールに添付して納品できるかもしれないが、大きなサイズでは難しい場合もある。


 その場合、外部のサービスを利用することになるが、有償サービスを契約すると月々の費用負担が発生する。ビジネスの規模によっては無償のサービスを惰性で使っているケースもあるのではないだろうか。


 無償サービスを使う場合、データ納品をする度に手動でアップロードする必要があったり、都度ダウンロード用パスワードを設定しなければいけなかったりといった使い勝手の悪さもある。


 そんな悩みはBeeStationに搭載されている「BeeFiles」を使えば解決できるので、利用方法を簡単に紹介しよう。


●一般的なクラウドストレージサービスと同様の共有リンク機能がある


 初期セットアップでPCに追加されたBeeStationの同期フォルダーに共有したいファイルまたはフォルダーをコピーして同期完了状態にした上で、右クリックメニューから「BeeStation→リンクの取得」をクリックすると、データ共有設定画面が表示される。


 「共有リンクを有効化」のスライドボタンをクリックして有効化すると、「リンクをコピー」ボタンがクリックできるようになるので、このボタンをクリックすると共有用のURLがコピーされる仕組みだ。


 コピーされたURLにアクセスするとBeeFilesのページが表示され、先ほど共有設定したファイル、またはフォルダーの中身が表示され、ファイルの一括ダウンロードまたは個別ダウンロードが可能となる。もちろんこれも、BeeStationのパーソナルクラウド機能のおかげで、インターネット経由でアクセスできるため、ネットワーク機器に特別な設定をしなくても簡単にデータの共有が可能となる。


 ただ共有リンクを作成するだけでなく、共有設定する画面で「リンク保護」からアクセスする際にパスワードを要求させる、共有リンクの有効期限を1日単位で設定する、といった保護機能も利用できるので、利便性だけでなく更に安全なデータの共有を気軽に利用できる点もポイントだ。


●BeePhotosを使った写真管理


 オンラインストレージ以外の身近なクラウドサービスと言えば、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。おそらく大半の方はGoogle フォトやiCloud 写真のような写真/動画用のクラウドサービスを思い浮かべるだろう。


 スマホでよく写真を撮る方は、それぞれのクラウドサービスに同期しているとあっという間に無料プランの容量上限に達してしまい、要らない写真を削除するか、有料プランへ移行して月額料金を負担しているのではないだろうか。


 スマホのおかげもあって、写真や動画が日常の記録から思い出の記録まで幅広く利用されるようになっている中、スマホの中の写真や動画の量も格段と増えている。となると、バックアップ先のクラウドサービスの容量も大きい方が好ましいが、容量が増えれば増えるほど月の負担額が増えてしまうからだ。


 そんな方にオススメなのが、BeeStationに搭載されている「BeePhotos」という写真/動画専用の同期機能だ。BeeStationには4TBのHDDが搭載されているため、買い切りでBeeStationを購入すれば、月額料金の心配をせずに、思う存分スマホの中の写真や動画を同期できるようになる。


 こちらもクラウドストレージ機能や、前述したBeeFilesと同じくネットワーク機器に特別な設定をしなくても、インターネット経由でどこからでも写真や動画を同期できる優れものだ。BeePhotosはPCとスマホそれぞれに対応しており、PCからはWebブラウザ経由でアクセスし、AndroidやiPhoneからは、それぞれのストアで公開されているBeePhotosアプリからアクセスして利用できる。


 他の競合サービスと同じく、PCのWebブラウザからアクセスして、写真や動画をアップロードする、写真や動画を閲覧する等基本的な機能はもちろんのこと、各写真のメタ情報も確認できるようになっている。


 例えばiPhoneで撮影した写真をアップロードすると、ジオロケーション(撮影場所)の情報等もしっかり確認できるし、フィルター機能を使って特定の場所で撮影した写真をフィルタリングもできる。


 ただし、撮影した写真の場所を世界地図にプロットするような機能は用意されていないため、他のオンラインクラウドサービスと比べると少し機能が足りないところも見受けられる。とはいえ、買い切り型で4TBのパーソナルクラウドサービスとして使えるメリットと比べると、十分許容できる範囲かと思われる。


 もう1つ、競合サービスと比べて見劣りする点として、iPhoneで撮影したHEVC形式の動画をアップロードすると、サムネイル作成に対応しておらず、PCで動画を再生すると音声だけしか表示されない点が挙げられる。ただし、ビュワーから動画ファイルをダウンロードしてPC上で再生することは可能だ。


 PCと同じくiPhoneやAndroidのBeePhotosアプリでもサムネイルは表示されないが、動画再生自体は可能なので、今後のアップデートでWebブラウザからも再生できるようになることを期待したい。


 さらにBeePhotosでは、写真リクエストとアルバムの共有機能を使うことで、BeeStationを持っていない人と写真共有できる。例えば、写真リクエスト機能を有効化して、生成されたリンクをLINEなどで共有すれば、遠隔地に住む家族と家族写真を共有する、友人同士で旅行に行った際の写真を共有する、といった使い方が可能だ。


 他サービスで写真を共有する場合、そのサービスのアカウントを作成しなければならない場合もあるため、自分の親世代などスマホの操作に慣れていない人にとってはハードルの高い物だった。その点、BeePhotosはアカウントの作成が不要なので気軽に写真を共有できる。


●最大8人のユーザーで1台のBeeStationを使える


 BeeStationには、家族利用を想定したユーザー招待機能が備わっている。最大で8人までユーザー(Synologyアカウント)を招待して、それぞれのアカウントで1台のBeeStationを利用できる。家庭内パーソナルクラウドストレージとして利用することも可能だ。この共有機能は筆者が思っているより優秀だったので、最後に活用例の1つとして取り上げてみることにした。


 この共有機能は、それぞれのアカウントのプライベートに配慮された作りとなっている。たとえ自身が所有者だったとしても、招待された他のユーザーのファイルや写真にはアクセスできない。


 本来、家庭内で共有フォルダーを用意する場合、NASを買ってきて人数分のアカウントを用意するのが定石だった。この方法だと、管理者権限を持ったアカウントであれば、他のユーザーのファイルにアクセスできてしまうので、プライバシーを尊重した運用を取るには性善説で対応するしか無かった。


 しかしBeeStationでは、所有者(管理者)アカウントでログインしても確認できるのは、それぞれのユーザーがどれぐらいのストレージ領域を利用しているかのみで、他ユーザーのファイルにはアクセスできないようになっている。


 筆者自身も、「家庭内NASに妻のアカウントを作れば便利になるのでは?」と思ったこともあったが、自身が管理者権限のアカウントを持っているため、妻のデータにアクセスできてしまう状況は、自身の倫理観に反するため導入に踏み切れなかった過去がある。


 その結果として、それぞれ別々で有償のクラウドサービスを契約することとなり、ダブルコストが発生している状況だ。しかし、BeeStationであれば個人のプライベートを尊重しつつ、買い切り型でパーソナルクラウドストレージを導入できるので、家族共同で利用するには非常に大きなメリットを得られる製品だと感じる。


 BeeStationは“親しき仲にも礼儀あり”なパーソナルクラウドストレージといえるだろう。


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