「ASUS ZenScreen MB16QHG」は従来モデルの弱点を解消した高評価の16型モバイルディスプレイだ

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2024年04月16日 15:21  ITmedia PC USER

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「ZenScreen MB16QHG」。ボディーサイズは約359.7(幅)×247.1(奥行き)×7(厚さ)mmだ

 ASUS JAPANの「ZenScreen MB16QHG」は、16型のモバイルディスプレイだ。画面解像度は2560×1600ピクセルと高く、DisplayHDR 400およびDCI-P3のカバー率100%にも対応、さらにOSDメニューの操作性を向上させるなど、ハイエンドな仕様が特徴だ。


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 同社のモバイルディスプレイといえば、前回紹介した「ZenScreen Ink MB14AHD」のようにタッチ入力やペン入力に対応するなど高機能な製品もラインアップに含まれているが、本製品はタッチには非対応で、基本性能の高さにフォーカスしたモデルだ。メーカーから機材を借用したので、レビューをお届けする。


●タッチ操作以外は全部入り


 まずは、基本的な仕様をざっと押さえておこう。画面サイズは16型で、解像度は2560×1600ピクセル、IPS方式のパネルを採用しており、画面はノングレア、タッチ操作には非対応だ。


 輝度は500ニト、コントラスト比は1200:1、リフレッシュレートは120Hz、視野角は水平/垂直ともに178度、応答速度は5ミリ秒(GTG時)となっている。DisplayHDR 400に準拠した他、DCI-P3のカバー率100%を達成と、コントラストや色調を重視する用途にも適する。


 背面にキックスタンドを搭載しており、横から見るとL字型になる。一般的にこうしたキックスタンドは本体幅と同じであることが多いが、本製品のキックスタンドは本体よりもわずかに狭くなっており、外見上の特徴となっている。わざわざ幅を狭くしているのには理由があるのだが、詳しくは後述する。


 接続方法はUSB Type-CとHDMIで、USB Type-Cポートは左右両側面に1基ずつ搭載する。他にイヤフォンジャックも備えている。


 重量は公称で約1.2kg、実測で1.138kgとやや重めだ。タッチ操作以外は全部入りと言っていいハイスペックであること、16型とサイズが大きくスタンドの重量も含んでいるため、この重さはやむをえないところだが、13型クラスのノートPC1台分と考えればかなりのものだ。手に取った時もズシリと重く、持ち歩いての利用がメインであれば、他の選択肢もあるだろう。


 付属品はUSB Type-CおよびHDMIのケーブルに加え、ACアダプター、スリーブがセットになっている。本製品はペン入力には対応しないため、前回紹介した同社のZenScreen Ink MB14AHDのようなタッチペンは用意されない。


 それでは、ノートPCに接続してみよう。


●弱点だったOSDメニューの操作性が劇的に向上


 では実際に使ってみよう。本製品は左右両側にUSB Type-Cポートが搭載されており、PCの配置に合わせてどちらを使ってもよい。もちろんHDMIを使うこともできるが、その場合は電力供給のためにUSBケーブルも接続しなくてはいけないので、極力USB Type-Cでの接続を選んだ方がスマートだろう。


 画面解像度は2560×1600ピクセルということで、フルHD解像度(1920×1080ピクセル)のノートPCと並べると高精細さは一目で分かる。ちなみに画面はかなり明るく、初期設定状態では赤みが強めに感じる。気になるようならば、後述のOSD設定で適切なモードに変更しておくと良いだろう。


 さて本製品の珍しい仕様として、背面の端にOSDメニュー操作用のボタンが搭載されていることが挙げられる。このボタンは押し込むだけでなく、上下/左右に倒してフォーカスを移動するジョイスティック機能を備えており、これ1つだけでメニューを自由自在に操作できる。


 最近のモバイルディスプレイは物理ボタン類が省略されがちで、もしあってもボタンの並びとフォーカスの移動の向きが違うなど、直感的に操作できないことも多い。特に同社の製品は、ZenScreen Ink MB14AHDでもそうだったが、メニューの階層構造は分かりやすいのにボタンが押しづらく、操作性はいまひとつというケースが少なくない。


 しかし、本製品はこのボタン1つで分かりやすく、なおかつ高い操作性を実現している。本製品のスタンドの幅を切り詰めたのはおそらくこのボタンを搭載するためで、それだけの価値は十分にある印象だ。同じ同社の他製品と比較しても使い勝手は劇的に改善されており、今後これが標準になっていってほしいと思う。


 ちなみにこのボタン、ボディーやスタンドの側面ではなく、背面の端に配置されていることによって、本体を縦向きに設置した場合でも操作は容易だ。解像度やリフレッシュレートの高さといった数値ばかり見ていると見逃されがちだが、こういった取り組みはもっと評価されるべきだろう。


 なお、この背面ボタンは、反対側にもう1つ搭載されている。形状がわずかに異なるのは上下/左右ではなく上下にのみ倒せる仕様であるためで、輝度調整とボリューム調整という、一般的なモバイルディスプレイでおなじみのショートカットが割り当てられている。


 こちらも使い勝手は良好なのだが、前述のメインメニューと違ってショートカットの割当変更には非対応のようだ。個人的にはこちらの方が独立して操作できるぶん、カスタマイズ性は必要に感じる。


 補足だが、これらの設定はOSDメニュー以外に、Windows用の「ASUS DisplayWidget Liteツール」でも行える。本稿執筆時点ではダウンロードできなかったため試用は行っていないが、マウスのみで設定を変更できるこちらのツールを使うのも一興だろう。


●実売7万円前後 良いものを長く使いたいユーザー向け


 以上のように、基本性能の高さに加えて、メニューの操作性について改良が施されており、使い勝手はすこぶるよい。こうした操作性の部分は、製品を販売する上でアピールポイントになりにくいため、開発段階では優先順位が下げられがちだが、そこを徹底して追求してきているところにメーカーの本気が感じられる。総じて評価は非常に高い。


 実売価格は税込みで7万円前後と値段は張るが、実機を試した限り価格に見合うだけの価値は十分にある。3年保証も付属しており、良いものを長く使いたいというユーザーにとってはいち押しの製品と言っていいだろう。


 唯一不思議に感じられるのが、本製品経由でPCなどのデバイスを充電する、いわゆるパススルー充電に対応しないことだ。これは従来のZenScreen Ink MB14AHDも同様で、USB Type-Cが2ポートありながら、非常にもったいない印象を受ける。


 もしかすると、付属のUSB Power Delivery充電器が30Wまでしか対応しないためかと考え、高出力の充電器に交換してみたが、やはりPCへの給電は行われなかった。これらに対応することがあれば、製品の価値はさらに上がるだろう。


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