小柄な女の子がこんなに重いものを…… 「軽く感じる」ランドセル開発者が語った“切実”な背景

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2024年04月17日 06:41  ITmedia ビジネスオンライン

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ITmedia ビジネスオンライン

どんなランドセルを開発したのか(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 水泳用品など手掛けるフットマーク(東京都墨田区)は2024年2月中旬、同社の布製ランドセル「ラクサックジュニア プラス」に100センチサイズを新たに加え、3サイズ展開とした。子どもの成長に合わせたカバンを選んでもらい、体の負担を軽減する狙いがある。


【画像】軽く感じるランドセルの機能、実際の見た目(全7枚)


 身長140センチ以上向けの「145サイズ」、120〜140センチ前後向けの「125サイズ」、95〜120センチ前後向けの「100サイズ」をラインアップ。子どもの身長によってサイズを変えることを推奨している。6年間同じランドセルを使い続ける家庭が多い中、どうしてこのような商品を開発したのだろうか。


 ラクサックジュニアは、荷物の重さを感じにくい構造が特徴のシリーズだ。フットマークは、教科書類がランドセル内部で動かないように束ねて背中側に密着させる「ブックストラップ」を開発。登山のパッキング(ザックに道具を詰め込む作業)を参考にしたという。また、子どもの体型からつくった3Dパターンの肩ベルトを採用。幅の狭い子どもの体にも無理なくフィットするようにした。


 一般的なランドセルの重さは1100〜1300グラムとされているが、ラクサックジュニア プラスのシリーズは850〜890グラムだ。現在、ニトリやワークマンといった大手が相次いで布製ランドセルに参入しており、重さは800グラム台が主流という状況だ。


 ラクサックジュニア プラスの価格は、自社ECサイトで1万6500〜1万7600円。もう一つのシリーズであるラクサックジュニアについては、9900〜1万1000円としている。


 近年、布製ランドセルに参入した競合の商品を見ると、2万円以内に収めているところが目立つ。例えば、23年に販売を開始したニトリの超軽量ランドセルは1万9990円、24年6月発売予定となっているワークマンのランドセルは8800円だ。


●「ランドセル重い」が9割


 フットマークは24年3月、通学にランドセルを使用している小学1〜3年生とその親1200組を対象に意識調査を実施した。


 子どもが通学時にランドセルを重いと感じているか尋ねると、全体の91.4%が「ランドセルが重い」と回答した。また、ランドセルの重さは平均4.13キロだった(23年に実施した調査では同4.28キロ)。


 近年はコロナ禍の影響やICT教育の推進により、タブレットやノートPCが支給されるようになった。また、道徳や英語が教科として新しく加わったり、教科書のページ数が増えたりしている。


 置き勉(学校に教科書や教材を置いておくこと)は学校現場に浸透しつつあるが「支給されたタブレットは家で充電しないといけない」「学校に置くと盗難・紛失の恐れがある(鍵付きロッカーがないため)」「家庭内学習(予習・復習)の重視」などにより、ランドセルの中身が劇的に減ることは難しい。


 ラクサックを開発した同社の佐野玲子氏には現在、小学6年生と2年生の娘がいる。どちらも小柄で体重が軽く、登校時に「ランドセルが重い」と訴えていた。教科が増えるに従って、ランドセルを背負うと猫背になったり、バランスを崩して転んでしまったりしていたという。


 また、消費者から「小柄な子ども向けのサイズがほしい」という声が寄せられたため、今回のより小さなタイプの投入に至ったという。


 軽く感じる工夫をしたランドセルを3サイズ展開するフットマーク。価格も、一般的なものと比べると安価になっている。小学生の成長に合わせて気軽に買い替えるというコンセプトは消費者に受け入れられるか。


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