◇気候変動が最重要課題=近藤正規・国際基督教大学上級准教授
―G20で「グローバルサウス」の位置付けは。
(主に南半球にある新興・途上国を指す)グローバルサウスが国内総生産、貿易、人口で世界経済の大きな部分を占め、政治的影響力も強くなっている。資源国が多く、地球温暖化対策などでも重要性は非常に高い。
―G20の役割は。
G20会合が何か大きく変えるということはないと思う。ただ、(昨年の議長国)インドがうまくブランディングしてグローバルサウスが脚光を浴び、その流れでG20(という枠組み)も大事になった。皆で議論できる会議自体が無意味なわけではない。
―気候変動対策の考え方は。
グローバルサウスには石炭の輸出国もあれば、原油の輸出国もある。余裕がある国は脱炭素化の取り組みもやっている。地球温暖化に対する立場は違うが、対策費が欲しいという点では、グローバルサウスの意見はまとまっている。ブラジルが議長の間は、G20で最重要課題だ。
―2月の会合ではガザを巡る意見の隔たりが大きかった。
ガザの問題に関しては、インドはイスラエル寄りで西側諸国に近かったが、今年の議長国ブラジルの場合は逆の立場のため、さらに問題が難しくなっている。ブラジルは財務相会議では政治問題を扱いたくない。11月の首脳会議に向けて共同声明を出せるかが焦点だ。