輪島塗復活へ、Uターン女性奮闘=「技術に魅了」職人らと商品開発

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2024年04月18日 07:31  時事通信社

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輪島塗の技法を駆使したリボン型のラペルピンを手に、取材に応じる浦出真由さん=3月28日、石川県輪島市
 石川県輪島市の浦出真由さん(42)が輪島塗の若手職人らと一緒に制作した商品は、能登半島地震で焼失し、工房も倒壊した。職人の技術に魅了されて昨年Uターンし、先細る伝統産業の「復活」を目指したところだった。「輪島塗の魅力を発信したい思いは、地震でも揺るがない」と、制作再開に向けて奮闘を続けている。

 父が漆芸家の家庭で育ち、高校卒業まで輪島で過ごした。大学進学を機に地元を離れ、卒業後は東京でインテリアの店などで商品開発に携わってきた。帰省するたび、父の工房から職人が徐々に減り、漆器販売店も閉店していくなど伝統の衰退を肌で感じていたという。

 そうした中、同世代の職人が地元で20年以上も伝統を守り継承している姿に心を打たれ、「故郷のために何かしたい」と決意。昨年夏にUターン移住し、数人の若手職人らと輪島塗の「リボーン(復活)」プロジェクトを立ち上げ、新たな商品を企画した。

 コンセプトは「身に着ける伝統工芸」。多くの人に輪島塗の魅力に触れてほしいと、イヤリングやラペルピンを考案した。今春に初めて店に商品を卸す予定だったが、元日の地震で職人の工房が倒壊。別の職人の工房も朝市通りの火災で焼失し、漆やはけ、制作途中だった商品約100点が失われ、職人は県内外に広域避難を余儀なくされた。

 「職人が復帰するために、できることをやりたい」。全国の支援者から道具が届けられ、職人は3月下旬、避難先の片隅に作業場を設けて一部工程で制作を再開した。浦出さんも新たな商品開発に生かすため、イタリアの家具見本市を視察。「輪島塗の振興だけでなく、震災からの復興にもつなげていきたい」と意気込んだ。 

輪島塗の技法を駆使したリボン型のラペルピンを手にする浦出真由さん=3月28日、石川県輪島市
輪島塗の技法を駆使したリボン型のラペルピンを手にする浦出真由さん=3月28日、石川県輪島市

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