さらなる高速化を実現! PCI Express 5.0接続SSDの新モデル「Crucial T705」を試して分かったこと

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2024年04月18日 18:11  ITmedia PC USER

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ヒートシンクありモデルの「Crucial T705」パッケージ

 「Crucial T705 PCIe Gen5 NVMe SSD」は、Micron(マイクロン)の個人向けブランド「Crucial(クルーシャル)」から発売されたPCI Express 5.0 x4接続のSSDだ。容量は4TB/2TB/1TBで、ブラックのヒートシンクあり/なしが用意される他、ホワイトヒートシンクのLimited Edition(2TBのみ/CT2000T705SSD5A)も用意されている。


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 先行して販売されたPCI Express 5.0 x4接続の「Crucial T700」から何が進化したのか、実機をチェックした。


●さらなる高速化を果たしたPCI Express 5.0 x4接続SSDの新モデル


 このT705は、2023年6月に登場したT700の上位モデルにあたり、両モデルとも併売されている。最大の強化点は、シーケンシャル(連続)の読み出しで毎秒1万2400MB(1TBは1万1700MB)、書き込みで毎秒1万1800MB(1TBは9500MB)だったT700から、読み出しが毎秒1万4500MB(2TBの場合)、書き込みが毎秒1万2700MB(同)とさらなる高速化を実現したことだ。


・本格的なPCIe 5.0 SSDの普及到来か Crucial「T700」デビュー


 ラインアップは容量4TB/2TB/1TBの3種類で、自社製の232層3D TLC NANDフラッシュメモリと、Phison製コントローラーチップ「PS5026-E26」を組み合わせている。総書き込み容量(TBW)は4TBが2400TB、2TBが1200TB、1TBが600TBで、保証期間は5年間(または製品のSMARTデータで測定されたバイト数がTBWに到達するまでのいずれか早い方)と、T700を継承している。


 原稿執筆時の価格は、1TB/2TB/4TBの順でヒートシンクなしモデルが3万5000円前後/6万3000円前後/10万9000円前後、ヒートシンクありモデルが3万8000円前後/6万8000円前後/11万4000円前後だった(いずれも税込み、以下同様)。


●Crucial DDR5 Pro オーバークロック対応メモリを使ったIntel環境でテスト


 今回は下記の環境でテストを行った。なお、SSDはヒートシンクありだったため、マザーボード上のヒートシンクを取り外して装着し、ケース背面と天面に120mm角のファンを1基ずつ用意した。


 なお、DDR5メモリにはCrucialから発売されたばかりの「Crucial DDR5 Pro Memory オーバークロックエディション」(DDR5-6000)を利用した。従来のDDR5 Proシリーズと同様、LED非搭載のシンプルなモデルで、マットブラック仕上げのアルミ製ヒートスプレッダが装着されている。


 Intel XMP 3.0およびAMD EXPOのメモリプロファイルに対応しており、マザーボードに4枚のメモリを装着した場合でも動作クロックを落とさずに利用可能だ。


 それでは、ベンチマークテストでCrucial T705の性能を見ていく。


●PCIe 5.0接続SSDの最高速度を更新! ただし発熱対策は必至


 テストに利用したのはCrystalDiskMark 8.0.4(デフォルト/NVMeパターン)、PCMark 10 Full System Drive Benchmark、3DMark Storage Benchmarkだ。


 テストのスコアは下記の通りで、比較としてCrutial T700(2TB)の値も掲載した。CrystalDiskMarkでは公称値通りのスコアを記録しており、T700を超えたのはもちろん、高速なPCI Express 4.0対応SSDの約2倍の性能を実現しているのが分かる。体感速読に影響があるランダムリード(Q1/T1)も毎秒95MBと高速だ。


 T705が採用しているNANDフラッシュの速度が、毎秒2400MT(T700は毎秒2000MT)に引き上げられたのが要因だろう。


 続くPCMark 10 Full System Drive Benchmarkは6000を超え、3DMark Storage Benchmarkのスコアも5000後半と圧倒的なスコアでT700を上回った。ビジネス/ゲーム用途を問わず、非常に快適に利用できるだろう。


 この圧倒的な性能の一方で、気になるのが発熱面だ。今回のテストはミドルタワーケースに組み込んだ状態で、SSDのヒートシンク周辺にも空気が流れるようにしている。


 試しに、CrystalDiskMark 8.0.4を3回連続実行した際の温度推移は下記の通りだ。


 室温が異なるのでT700との直接比較はできないが、それでもT705のポテンシャルをフルに引き出すには適切な冷却が欠かせないのが分かる。今回はヒートシンクありモデルを利用したが、冷却に万全を期すならば、アクティブ冷却ファンを備えたM.2 SSD用クーラーを別途装着した方がいいだろう。また、TLC型なのでSLCキャッシュ超過後は速度が低下するため、空き容量には気をつけたい。


 このように、冷却面を含めPCI Express 5.0 x4接続のSSDをフルに生かせるシステムを用意できるなら、T705はシステム/データ/ゲーム用ストレージのいずれでも素晴らしい性能を発揮してくれる。PCI Express 5.0 x4接続のSSDが市場で流通するようになってから、ほぼ1年で規格の帯域を使い切るモデルが登場したのは驚きだ。


 今回テストしたIntel環境(具体的には第12世代Core〜Coreプロセッサ第14世代)ではPCI Express 5.0はCPU直結の16レーンのみのため、T705のようなSSDを利用すると、グラフィックスカードの接続が8レーンに制限される。大半の用途では問題がないとはいえ、そこが気になるならRyzenやXeonなど他の環境での導入を検討したい。


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