ペットと人間社会 「カナダより日本が優れている点は…思いつきません」 日本人ドッグボランティアが異国で学んだこと

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2024年04月18日 19:40  まいどなニュース

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カナダで本業のかたわらドッグボランティアを行うMさん

日本からカナダに移住したMさん。移住の際、日本で出会った保護犬をカナダに一緒に連れていった話を紹介しましたが、Mさんは本業の傍らドッグボランティアの活動もしています。

【写真】Mさんがカナダでの活動で痛感したこととは

主に高齢者の飼い主に代わって、ワンコの散歩をするといったお手伝いですが、Mさんはこの活動や普段の生活において、カナダと日本ではペットに関する考え方が全く異なることを実感しました。

カナダの大都市では生体販売が禁止されている

カナダの大都市であるバンクーバーやトロントなどでは生体販売が禁止されており、そうでないエリアでもMさん自身はペットショップというものを見たことがないと言います。

一方、個人ブリーダーは存在し、特定犬種ごとの情報が専門サイトなどで検索することができるそうです。ただし、個人ブリーダーでも有資格者、無資格者が混在しており、一部の州には悪質なブリーダーが問題視されることもあるとも……。

ただし、カナダの社会全体で見れば、日本とは比較できぬほどに保護犬·保護猫を迎え入れる飼い主へのフォローアップが充実していると言います。日本では保護犬を譲渡してもらうのが難しい高齢者であっても、そのハードルは低いようです。というのは、ワンコと一緒に入所できる老人ホームやMさんのようなドッグボランティアの存在が珍しくないからです。

飼い主が高齢者であるワンコであっても、それ以外の人たちや社会全体で「ペットの命を支える」という考え方が浸透しているということでしょう。

ボランティアによる事故が起きにくい構造

Mさんがカナダでドッグボランティアの活動を始めるにあたっても、そのハードルは極めて低いものでした。

警察署で無犯罪証明書を取得し、地元の団体に連絡をし、簡単な面接を受けるだけで、外国人のMさんでも活動を始めることができました。

一方、個人だけでなく各団体などの複数の人員が連携してボランティア活動を行うことが多く、参加ハードルが低くとも、トラブルやアクシデントなどが起きにくい構造になっているのも特長です。

Mさんが所属する団体でも、サポートが必要なワンコ1匹に対し複数名がチームを組み、日々の散歩を分担しながら世話をしています。つまり個々の様子が共有されやすい構造になっているのです。

そもそもが社会全体にペットの命を支えるという考え方が浸透している上での合理的な取り組みです。Mさんはこう話します。

「ペットに対する考え方や取り組みを日本とカナダで比較した場合、ひいき目に『日本の良いところ』を見つけようとしても、今の私にはそれが全く思いつきませんでした。それだけカナダが進んでいるとも言えるでしょうし、それだけ日本が遅れているとも言えるかもしれません」

活動で痛感した「思ったよりも大変」なこと

ただし、カナダでの日々のドッグボランティアでは、相応の苦労が伴います。

たとえば、金銭的な負担や体力面での負担。「自分でやりたい」と取り組んだ一方、本業との兼ね合いや体調不良などで活動できないこともありました。こういった際に強い罪悪感を感じたそうです。

こうした経験を踏まえ、現在のMさんは無理なく長く続けられることを最優先に、本業の職場·自宅近くに限って活動を行っています。そして、ワンコや飼い主さんにとって「なんらかの役に立てている」と思えたとき、「ほんの少しかもしれないが、カナダの社会に貢献している」と実感するそうです。

「私が所属する団体は、主に高齢者の方々がワンコと一緒に生活するためのサポートを行なっています。私がドッグボランティアとして代わりって散歩することで、年齢を気にせずにワンコたちと一緒に過ごせている場面を見ると、ほんの少しかもしれませんが、その方々の幸せに貢献できていると感じます。

また、カナダでの動物への考え方を前にすると、これまで私が日本で見てきた『ペットショップで動物が狭いクレートの中に入れられて販売されている』といった状況がいかにおかしいことなのかも強く実感しました。

カナダのペットに対する考え方や取り組みが、日本でも浸透し、ワンコと飼い主さんたちがより幸せな日々が過ごせると良いなと思います」

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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  • 「よそはよそうちはうち」「隣の芝は青い」を地でいく話だよな。
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