新入社員への「明日もちょっとだけ頑張れる」アドバイス

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2024年04月19日 05:10  @IT

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@IT

一緒に頑張ろう

 2024年4月。新しい年度を迎えましたね。


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 4月といえば、新入社員の皆さんをお迎えする季節です。本稿を読んでいる新社会人の皆さんにとって、社会人になることがおめでたいことなのか、おめでたくないことなのかは分かりませんが(笑)、新たなスタートを切るという意味で、まずは「おめでとう」と言わせてください。


 さて……皆さんは、さまざまな就職活動を経て、現在の環境にいるのだと思います。希望通りの職種に就いた方や会社に入った方は、「これから、どんな経験ができるんだろう?」と、期待であふれているでしょう。もちろん学生時代とは異なる環境に多少の不安はあるかもしれませんが、「できる限りがんばってみよう」――そんな、前向きな気持ちを抱いているのではないかと思います。


 一方、必ずしもそうではない方もいるかもしれません。本当は希望する職種や会社があったのに「なかなか思う通りにならなかった」とか、そもそも「現段階で何をしたいのかよく分かっていない」方もいると思います。また「ずっと学生ではいられないから、取りあえず会社に入るしかなかった」とか、ぶっちゃけポジティブとはいえない理由で渋々現在の環境を選ばざるを得なかった方もいるのではないでしょうか。


●うまくいっているのか、いっていないのか、よく分からない環境の中で


 現在の環境が、理想的な環境なのか、そうではない環境なのかはさておき、皆さんはこれから、前に進んでいるのか/いないのか、成長しているのか/していないのか、うまくいっているのか/いないのか……そういった経験を多くされると思います。


 例えば、学生時代に学んできたことが仕事の中で生かせていると実感できず「こんなことをやるために、私は大学に行ったんじゃない!」と思うこともあるかもしれません。


 あるいは、本来ならもっと任せてほしいのに「あなたには、まだ早いから」と、納得できない仕事をさせられることもあるでしょう。


 その結果、「自分の人生、このままでいいのかな?」「転職した方がいいんじゃないか」と、不安を抱いたり焦ったりすることも多いと思います。


 また、学生時代と違って、社会人になると若い世代からベテラン世代まで、年齢的にも、経験的にも、さまざまな人たちと関わることになります。時には、思い通りにならない人間関係にイラっとしたり、パワハラ的な関わり方をしてくる人がいたりなど、理不尽な思いをすることもあるかもしれません。


 ましてや、組織や人間関係のことは、自分の力だけではすぐに解決しないことが多いもの。そのために逃げ出したくなることもあるかもしれません。そして、どうしたらいいのか分からず悩み、「こんなはずじゃなかったのに……」と、学生時代の選択を悔いることもあるでしょう。


●目の前の環境を少しでもより良い方向に変えていくために


 なぜ「祝! 新社会人」という記事で、あえてこんな話をするのか? もちろん「キミたちの未来は明るいぞ!」「輝かしい成功が待っているぞ!」といった、自己啓発のような話もできます。


 でも実際問題として、現実は理想的な状況ではないことの方が多いのではないかと思うのです。


 大切なのは、このようなうまくいっているのかいっていないのかよく分からない現実の中で、目の前の環境を少しでもより良い方向に変えていくために「一歩踏み出す勇気を、どう持つか」ということじゃないでしょうか。


 というのも、今の世の中というのは、必ずしも正解があることばかりではありませんし、モヤモヤしている真っ最中にはとても苦しく、ネガティブに思えるような出来事でも、のちに振り返ってみると、かけがえのない経験になることがよくあるからです。


 そこで、一歩を踏み出すためのポイントを4つ挙げてみました。


1つ目は、「取りあえず、やってみる」2つ目は、「自分ができることをする(人のせいにしない)」3つ目は、「周囲の人が避けることをやる」4つ目は、「取りあえず、続ける」


 それぞれについて、お話しします。


●とどまらずに「一歩踏み出す」ための、4つのアドバイス


1 取りあえず、やってみる


 初めて取り組む仕事の中には、「これって必要?」「面倒くさい」みたいに思うこともあると思います。特にいまは、オンラインだけでできることもたくさんあるので、会議とか出張とか、何ならコミュニケーションでさえも、「面倒くさいな」「もっとコスパ、タイパがいい方法があるのに」と思うこともあるかもしれません


 もちろん、そう思うこと自体は悪いことではありませんが、どんなに無駄に思えるようなことでも、取りあえず一度はやって、行って、触れてみてください。なぜなら「やってみることで、見えてくることがある」からです。


 僕自身、大半の仕事はインターネットを使っています。最近では、その場に行かなくてもミーティングはできるし、テキストのやりとりだけでも大概の仕事はできます。でも「気を付けないといけないな」と思っていることがあります。それは「やりもしないで、知ったような気持ちになる」ことです。


 そこで、最近は「取りあえずやってみる」とか「行ってみる」ことを大切にしています。オンラインで触れた情報よりも、実際に体験した一次情報の方が、そこから得られる気付きや発見は何倍も大きいことが多いのです。


2 自分ができることをする(人のせいにしない)


 組織の中に入ると、文化や人間関係に対して疑問を抱くこともあると思います。ストレスに感じることもあるかもしれません。


 そういった環境の中では、「上司が何もしてくれない」とか「会社が悪い」のように、誰かや何かのせいにしたくなることも多いですよね。


 ですが、自分を変えることすら難しいのに、人を変えるのはもっと難しい。それならば、「自分ができることで、何か変えられることはないか?」を考えてみるのはどうでしょうか。


 僕も以前、ストレスが多い上司の下で働いていたことがあります。威圧的な人だったために「関わり方を変えてほしい」とは言えず、かといって、環境が良くなる材料もなかったためお先真っ暗でした。


 ですが、「上司は変えられないから、自分ができることをやろう」と決めて、同僚にポジティブな言葉を掛けたり、話を聞いたりするなど、自分ができることから始めました。その結果、少しずつ周囲との関係が変わってきて、「小さなことでいいから、自分の関わり方を変えることで、周囲を変えることができるんだ」ということを知りました。この経験は、いまでも大きな自信の一つになっています。


3 周囲の人が避けることをやる


 仕事をしていると、面倒くさくて、できれば関わりたくないこともあるでしょう。「会議の進行」とか、いろいろな取り組みの「部署の代表」とか、「飲み会の企画」とか。


 このような、周りの人がしたがらないことをやってみると、そこから得られるものが意外と大きいことに気付くと思います。


 例えば「会議の進行」は、ファシリテーション能力や、場をうまくまとめる力が身に付きます。


 企業によっては会社の風通しを良くするために、いろいろな部署から人を募って「○○プロジェクト」や「意見交換会」などさまざまな取り組みをしていることがあります。そういった場に参加するとさまざまな部署の人とつながりができますし、そういった場に参加する人の多くは前向きです。


 「飲み会の企画」は、いろいろな人の好みを聞いたり、時間配分を考えたり、場を仕切ったりしなければならないために、ぶっちゃけ面倒くさいものです。ですが、間違いなく「場をコーディネートする力」が身に付きます。また、一部の参加者から「大変だったでしょう? ありがとうね」という感謝の言葉を聞くこともあります。


4 取りあえず、続ける


 働き始めのころは、気持ちが張っていることもあって「頑張ろう!」と思っているでしょう。ところが、ある程度時間が経過して慣れてくると、思い通りにならないことやうまくいかないこと、「思い描いていた理想と違った」といったことが出てくることもあるかもしれません。


 でも、ちょっとうまくいかなくても、すぐに諦めて、判断しないでほしいのです。


 「2 自分ができることをする」のところで、僕が以前「ストレスが多い上司の下で働いていた」という話をしました。自分から関わり方を変えたからといって、すぐに周囲が変わったわけではありません。でも、1年続けていたら少し変化を感じました。2年続けたら周囲から聞こえてくる声が変わってきて、「あぁ、変わったな。やり切ったな」という気持ちになれました。


 実はいまも取り組んでみたいことがあります。でも新しい試みなので、何から始めたらいいのか分かりません。そこで取りあえず、「こういうことを考えているんだ」ということをブログで毎日発信しています。


 1年発信し続けた結果、何かが劇的に変わったわけではありません。でも、最近少しずつですが、「ブログを読んでいます」「今度、新たなプロジェクトを始めるのですが、一緒に関わってくれませんか?」といった声を聞く機会が増えてきました。


 これらの経験を通じて思うのです。「続けていれば、何とかなる」と。


●取りあえず、一歩踏み出しましょう


 というわけで、今回のお話は、前に進んでいるのか/いないのか、成長しているのか/していないのか、うまくいっているのか/いないのか……そういった状況の中で、どう振る舞ったらいいのか? という内容でした。


 一言でまとめれば、「取りあえず、一歩踏み出しましょう」とでもいいましょうか。


 一見、ネガティブな内容のように思えたかもしれませんが、こういった状況を経験するのは必ずしも悪いことではないし、多くの人が経験するプロセスだと思います。当たり前の話ばかりで、何かの役に立ったかどうかは分かりませんが、「もう少し、がんばってみよう」「一歩踏み出してみよう」と思っていただけたら、本望です。


●筆者プロフィール


しごとのみらい理事長 竹内義晴


「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。著書「Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)」「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。


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