漁獲枠設定、厳格化が急務=落ち込むサンマ資源

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2024年04月19日 09:02  時事通信社

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時事通信社

北海道根室市の花咲港で水揚げされるサンマ=2022年9月
 北太平洋漁業委員会(NPFC)は、サンマ漁獲枠の新ルール導入で合意した。歴史的な不漁が続く中、国際的な枠組みで漁獲量を制限してきたが、いまだに資源量の回復には至っていない。「秋の味覚」サンマを持続可能な資源とするため、日本は厳格な漁獲枠の設定を求めてきた。

 北太平洋でのサンマの漁獲量は、2000年ごろまで大半を日本が占めていた。だが、近年は台湾や中国などが積極的にサンマ漁に乗り出すようになった上、海洋環境の変化もあり、資源量が大幅に減少。国立研究開発法人水産研究・教育機構によると、北太平洋の調査海域での推定分布量は03年に597万トンだったが、23年は109.2万トンと6分の1近くに落ち込んだ。

 資源量の回復に向け、15年に国際的な枠組みNPFCが発足。参加国が会議を開いて交渉し、北太平洋の公海での漁獲枠を設定してきた。

 ただ、サンマ漁を行う日本や中国など6カ国・地域の実際の漁獲量の合計は、周辺海域での漁獲分を入れても20年は14万トン程度、21、22年はそれぞれ10万トン前後にとどまり、各国の協議で設定した枠を大きく下回った。落ち込む資源の実態と枠がかけ離れ、実効性に欠ける状態が続いている。枠の設定に科学的な知見を取り入れた今回の新ルールについて、水産庁幹部は「十分だとは思っていないが、一歩前進だ」と語った。 
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