東京から1本で行けない三重県へ! 豪華観光列車にユニークなローカル線…乗り換えてこそ楽しい鉄道旅

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2024年04月20日 20:50  All About

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東京から鉄道もしくは航空機を使って直通1本で行けない県は、三重県と奈良県だけになってしまった。では、三重県へはどのようにして東京からアクセスできるのか? そんなに不便なのか? 検証してみたい。
北陸新幹線の金沢〜敦賀間延伸開業により、福井県は東京から乗り換えなしの直通1本で行けるようになった。

その結果、東京から鉄道もしくは航空機を使って直通1本で行けない県は、三重県と奈良県だけとなった。では東京から三重県へは、どのようにしてアクセスすればよいのだろうか。

東京から三重県へのいくつかのアクセス方法を紹介しよう。

まずは東海道新幹線で名古屋を目指す

東海道新幹線N700S

三重県の有名観光地といえば伊勢志摩。東京から訪れるなら、まず東海道新幹線で名古屋を目指すのがアクセス方法の定番だ。

「のぞみ」なら1時間34分〜39分で到着する。

「ひかり」のうち、新横浜〜名古屋間で小田原のみ停車、あるいは豊橋のみ停車の列車は、後続の「のぞみ」に抜かれることなく名古屋に到着する(1時間41分)ので、「のぞみ」の割引が適用外であるジパング俱楽部利用者には重宝するであろう。

名古屋からは、JRあるいは近鉄利用で三重県へ

名古屋から三重県へのアクセス方法はいくつかある。順に見ていこう。

名古屋からJR利用の場合

快速みえ

名古屋から伊勢志摩へ直行するなら、快速「みえ」鳥羽行きを利用するのがおすすめだ。名古屋駅7時37分発から1時間毎に出ている。17時37分発から20時33分発までは伊勢市行きとなる。

快速列車なので、自由席なら乗車券のみでOK。指定席(530円 ※閑散期は330円)は、1号車(2両編成の場合は1号車の半分)だ。

青春18きっぷも使えるが、途中伊勢鉄道を経由するので、河原田〜津の料金(520円)は別途支払う必要がある。

夫婦岩で有名な二見浦は、近鉄の最寄り駅がないので、快速「みえ」が停車するJR参宮線の二見浦駅を利用したい。

紀勢本線の各駅(津、松阪、多気、尾鷲、熊野市など)へ行くのなら特急「南紀」がいいだろう。2023年7月にデビューした新型のハイブリッド車両HC85系で運転されている。

JR利用の大きなメリットは、名古屋駅での東海道新幹線からの乗り換えが楽で、ほとんど迷わないことだ。乗り換え所要時間も時刻表では6分と案内されている。また、乗車券は紙のきっぷの場合、東京都内から目的地まで通しで購入できる。

近鉄利用の場合

伊勢志摩が目的地の人に人気があるのが近鉄特急だ。車両の種類が多いのが特長で、1番人気は豪華観光特急「しまかぜ」。
近鉄の豪華観光特急「しまかぜ」

「しまかぜ」のプレミアムシート

本革を使用したふんわりとやわらかい電動リクライニングシートは快適そのもの。グループ用のサロン席、洋風個室、和風個室と車内はバリエーションに富む。
「しまかぜ」のカフェ車両

カフェ車両もあり、温かい飲食が味わえる。これだけ豪華なのに、乗車料金や飲食代は比較的リーズナブルなのがうれしい。難点は、日によって指定券が取りにくいことだろうか。

名古屋駅からは1日1往復(繁忙期をのぞき木曜日は運休)
近鉄名古屋〜宇治山田=1時間17分、3920円
近鉄名古屋〜賢島=2時間02分、5060円
停車駅=近鉄四日市、伊勢市、宇治山田、鳥羽、鵜方、賢島(津と松阪には停車しないことに注意)
流麗なフォルムの「伊勢志摩ライナー」

伊勢志摩ライナーを利用する方法もある。リゾート感あふれる鮮やかなフォルムと塗装は観光特急にふさわしい。特に3〜4人で利用できるサロン席は大きな窓と華やかなシートで明るい雰囲気を醸し出す。
「伊勢志摩ライナー」のサロン席

「しまかぜ」が満席の場合や、「しまかぜ」が停車しない津、松阪、五十鈴川、志摩磯部利用の場合は重宝する。

近鉄名古屋〜賢島=1日4往復(ほかに区間運転あり)
近鉄名古屋〜宇治山田=1時間23〜27分、3080円
近鉄名古屋〜賢島=2時間11分、4010円
停車駅=桑名、近鉄四日市、白子、津、伊勢中川、松阪、伊勢市、宇治山田、鳥羽、志摩磯部、鵜方、賢島(松阪行き、宇治山田行きは久居にも停車)
塗装変更になる前の「ビスタEX」

往年の近鉄特急といえば、2階建て電車・ビスタカー。その3世にあたるビスタEXは、個性的な車両で中間の2号車と3号車が2階建て。

吹き抜け構造の車内はとてもユニークだ。階下席はグループ専用(3〜5人席)で、1日6往復(うち名古屋〜賢島は2往復、残りは名古屋〜五十鈴川、名古屋〜鳥羽)。停車駅と料金は伊勢志摩ライナーに準じる。

ユニークなローカル線に乗ってみよう

いずれもJR線および近鉄名古屋線から分岐しているので、時間に余裕があれば、伊勢志摩を訪問する途中で乗車してみるのも一興だ。

名古屋から伊勢志摩を目指すJRおよび近鉄は都市間を連絡する幹線であり、木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)を豪快に渡る区間をのぞいては、それほど車窓の見どころがない。それを補って余りあるのが以下のローカル線である。

JR名松線(松阪〜伊勢奥津)

JR名松線の終点・伊勢奥津駅。SL時代の名残である給水塔が残る

2009年秋の台風による被害で家城〜伊勢奥津間が不通になり、廃線が提案された。

しかし、地元の要望もあり、地元が治水・治山工事を担当することで復旧がかない、2016年3月に6年半ぶりに奇跡の復活を遂げた。山間部は雲津川に沿って走る景勝区間で、ローカル線の魅力が堪能できる。

終点・伊勢奥津駅に残るSL用の給水塔は必見だ。
雲津川に沿って走る名松線

ほぼ2時間おきの運転で、片道約1時間半。車両はディーゼルカー単行(1両)、朝のラッシュ時や繁忙期のみ2両編成が走る。

三岐鉄道北勢線、四日市あすなろう鉄道

特殊狭軌と呼ばれる線路幅762ミリの超小型車両が走る鉄道。「軽便鉄道」のサイズで、国内で残っているのはこの2つの鉄道と黒部峡谷鉄道のみだ。
北勢線の愛らしい4両編成の電車

北勢線はJRおよび近鉄、養老鉄道の桑名駅に隣接した西桑名駅から阿下喜駅に至る20.4キロの路線。

四日市あすなろう鉄道は、近鉄四日市に隣接したあすなろう四日市鉄道から内部(うつべ)までの内部線と日永〜西日野の八王子線(支線)からなる。
四日市あすなろう鉄道の小型電車

どちらの鉄道もかつては三重交通、その後、近鉄の所管であったが、赤字のため近鉄から分離して現在の運営形態になっている。

黒部峡谷鉄道は純粋な観光鉄道で冬季は運休となるため、年間を通じて営業している「軽便鉄道」は、三重県内のこの2つの鉄道のみ。

三岐鉄道三岐線(富田〜西藤原)

元西武鉄道の電車が活躍。セメント輸送も盛んで貨物列車が走る私鉄として貴重な存在だ。また丹生川(にゅうがわ)駅に隣接する貨物鉄道博物館は鉄道ファンにはよく知られている(開館は月に1回)。

ほかには、養老鉄道や近鉄湯の山線もある。さらに、多気から先の紀勢本線は山と海の車窓が絶景の連続で秘境感漂う。特急「南紀」も走っているので、快適に旅が楽しめるであろう。

駅弁やおみやげ、乗り換えがあるからこそ食の楽しみも

JR名古屋駅の新幹線および在来線には「きしめん」立ち食いスタンドがある

三重へ向かうときに乗り換える名古屋駅では、ホームにあるきしめん(うどんの1種で薄い平麺)が名高い。きしめんは名古屋名物だが市街で食べるよりも、駅ホームの店のほうがおいしいと評判だ。

乗り換え時間に余裕があるのなら、新幹線ホームや在来線ホームにあるお店で食べてみよう。
三重県の駅弁といえば、松阪駅で販売中の「牛肉弁当」

駅弁で名高いのは松阪駅で販売される松阪牛の駅弁だ。あら竹(新竹商店)製造で駅弁の範疇を越えるおいしさだと評判になっている。松阪駅でJR紀勢本線から名松線に、JRと近鉄の乗り換え時に利用してみたい。

お土産なら、伊勢の名物・赤福餅がよく知られている。こちらは、名古屋駅をはじめ主要駅や各所の売店などで販売している。

名古屋を経由する以外の穴場的アクセス方法

近鉄「しまかぜ」は豪華列車ではあるものの、前述したように名古屋からの車窓は、それほど面白くない。

それだったら、京都発の「しまかぜ」に乗って伊勢志摩を目指すのはどうだろうか?

奈良県から三重県にかけての山越えは見ごたえのある車窓が楽しめる区間だ。わざわざ大回りをするなら、京都観光と組み合わせてみるのもよいだろう。
豊橋鉄道のカラフルな電車

また、名古屋の手前、豊橋で東海道新幹線を降りて渥美半島を縦断するルートはどうだろうか。各駅停車の「こだま」が煩わしいのならば、豊橋に停車する「ひかり」を利用することだ。

豊橋からは豊橋鉄道で、新豊橋駅(JR豊橋駅に隣接)から終点の三河田原まで乗車し(約40分、15分毎)、バスに乗り継いで伊良湖岬をめざす(所要時間1時間余り)。

伊良湖岬からはフェリーに乗れば1時間で鳥羽に到着する。
伊勢湾フェリーで伊良湖岬(愛知県)から鳥羽(三重県)を目指す

鉄道にこだわらなければ、空路で中部国際空港(セントレア)に着陸し、津エアポートラインの高速船で伊勢湾を横断し、津なぎさまち(港)に45分で着岸する方法もある。

これが、東京から三重県の中心部に至る最速のアクセス方法かもしれない。

三重県まで直通1本で行ける列車や航空機はないけれど、いくつものアクセス方法を比較して実行に移すのは旅の醍醐味である。

目的地によっては半日近くかかるかもしれないけれど、三重県は見どころの多いエリアなので、ぜひ1度出かけてみたいものだ。

取材協力=JR東海(特急「南紀」の写真提供)

野田 隆プロフィール

名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。All About 鉄道ガイド。
(文:野田 隆(旅行作家))

このニュースに関するつぶやき

  • 東京から1本で行ける場所って、あまりないのでは? 確かに、奈良や三重以外は1本で行けるけど、でも、実際には、目的地まで1本で終わることは、ほぼないよね。
    • イイネ!2
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