高木豊が語る好調・ソフトバンク打線と山川穂高へのブーイング「受け止め方は人それぞれ」

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2024年04月24日 10:41  webスポルティーバ

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高木豊インタビュー 後編

山川穂高が加入したソフトバンクの「強力打線」について

(前編:「教え子」筒香嘉智のDeNA復帰 強力打線での起用法、移籍先に古巣を選んだ理由を考察した>>)

 11勝6敗2分(4月21日時点、以下同)でパ・リーグの首位に立つソフトバンク。チーム打率.250、得点数76はともにリーグトップで、FAで新加入した山川穂高はリーグトップの22打点を挙げるなど、4番バッターとして強力打線を牽引している。

 かつて大洋(現DeNA)の主力選手として活躍し、現在は野球解説者やYouTuberとしても活動する高木豊氏に、ソフトバンク打線が好調な理由を聞いた。

【今のソフトバンクが「強力打線」である理由】

――小久保裕紀監督は山川選手を開幕から全試合4番で起用。打率は.229と低調ながら、リーグ2位の4本塁打、リーグトップの22打点を稼ぐなど、指揮官の期待に応えています。やはり、山川選手が4番に座っていることが打線にいい影響を与えていますか?

高木豊(以下:高木) 山川を4番に固定し、3番の柳田悠岐と5番の近藤健介が楽になったことは確かです。山川が後ろに控えていることによって、柳田は「相手バッテリーは自分と勝負してくるだろう」と思う場面が多くなるはず。そういう意味では邪念がなくなるというか、余計なことを考えることなく打席に入れますし、勝負に徹しやすくなるでしょうね。

――5番に近藤選手を固定していることについては?

高木 近藤の場合は安定感が抜群なので、どの打順を任せても適応すると思います。ただ、彼が5番にいることで、山川にも柳田と同じような効果があるはずです。近藤が後ろにいれば、山川と勝負せざるを得ませんからね。

 西武にいた頃は、自分と勝負するのか、後ろのバッターと勝負するのかわからない場面も多々あったと思いますが、今は勝負しにくることがわかりきっています。柳田と同様、山川も集中してピッチャーとの勝負に臨めるはずです。

――長年、ソフトバンクは1番打者を固定していませんでしたが、今季は周東佑京選手がほとんどの試合(19試合中16試合)で1番を任され、打率.316(リーグ4位)、出塁率.391(リーグ5位)、8盗塁(リーグトップ)と期待に応えています。

高木 今季のソフトバンク打線を語るうえでは、周東の成長が一番大きいんじゃないですか。クリーンナップは打点やホームランなどで評価されますが、1番や2番に求められるのは出塁率で、いかにチャンスメイクできるか。周東の出塁率や今宮健太の繋ぎが、強力打線を形成するうえで大きな要素になっていると思います。

 たとえば1番や2番ではなく、3番からチャンスメイクしていって6番の栗原陵矢や7番の(アダム・)ウォーカーあたりが走者を返す、という流れだと「強力打線」という印象ではない。でも、1番の周東と2番の今宮がいい働きをしてチャンスメイクをしてくれるので、クリーンナップの働きが際立っていますよね。そういう流れを作れるのが「強力打線」だと思います。

【山川はブーイングを「受け止めるしかない」】

――クリーンナップは開幕戦から全試合で固定していますし、1番・周東選手、2番・今宮選手、9番・牧原大成選手らもほとんどの試合で同じ打順を任されています。

高木 打順を固定して勝てるのであれば、やっぱりそうして戦うのが理想ですよ。阪神も昨季から打順をほぼ固定していますが、役割が浸透して勝手に選手が動きますし、そうなると首脳陣が考えることが少なくなります。今はウォーカーが不調(打率.185、1本塁打、3打点、出塁率.200)ですが、シーズンを通して考えればある程度の数字は残してくれると思いますし、同じく不調の栗原まで打ち始めたら、相手チームにとってはさらに脅威でしょうね。

――4月12日のベルーナドームでの西武戦では、かつての主砲・山川選手に対するすさまじいブーイングが起こりましたね。

高木 山川はそういう覚悟を持って移籍したと思いますし、受け止めるしかないですね。彼はルールに則ってFAで移籍したわけですが、背景にはああいった騒動があり、それに対してモヤモヤしていたファンが多かったということでしょう。敵を作るとこういうことになるんだ、と。ブーイングをしているファンの気持ちもわかります。

――同試合で満塁弾を放った際には、お馴染みの「どすこい」のパフォーマンスを披露。その際にもブーイングが巻き起こりました。

高木 それはもう、人それぞれの捉え方次第ですよね。「あの場では、どすこいのパフォーマンスはやらないほうがよかった」と思う人もいるでしょうし、西武時代から山川のどすこいを見ていて、「楽しそうだな」「自分も一緒にやりたいな」と思っていた人はやってくれてうれしかったはず。なかには「パファーマンスをするなら堂々とやってほしい」と思う人もいるかもしれません。あの場でのパフォーマンスの是非については、僕らがどうこう言う問題ではなく、人それぞれの見方や感じ方があるということです。

――ちなみに、開幕前に不安視されていた先発ピッチャー陣はどう見ていますか?

高木 先発に転向した(リバン・)モイネロをはじめ、東浜巨、大関友久、石川柊太も今のところは安定していますし、何よりも先発に転向した2年目の大津亮介がいいです。カーブやチェンジアップを駆使していて緩急自在で、コントロールがいい。

 大津の課題は体力面だと思いますが、コンディションをうまく維持できれば、2ケタは勝てるんじゃないですか。大津が計算できるとなると、ソフトバンクとしては非常に大きいです。それと、今季は打線の援護が期待できますから、先発ピッチャーも余計なプレッシャーを感じることなく、思いきって投げてられる部分はあるかもしれませんね。

【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

このニュースに関するつぶやき

  • 西武ファンが一発目のゲームだけで大げさなブーイングをやめたのには感心した。山川も感謝してるのではないか。。
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