ちょっとしたお出かけに大人気のワンマイルシューズ、選び方を間違えている人が多い

0

2024年04月24日 16:21  日刊SPA!

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊SPA!

NIKE「ゴー フライイーズ」。1万6830円。写真は公式HPより
こんにちは、シューフィッターこまつです。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。
ちょっとしたお出かけ用に「ワンマイルシューズ」というジャンルがあるのをご存じでしょうか? 散歩や買い物など、昔で言うところの「つっかけサンダル」をよりきちんと歩けるようにした靴といった感じでしょうか。

ここ数年のはやりではあるのですが、「ワンマイルシューズ」と銘打たれた靴は、実はあまりお勧めしません。これらはただ脱ぎ履きがしやすいだけで、室内履きに薄い底がついただけの商品や、近距離でも安全に歩くことが考慮されていないからです。履いている方の足元を見ても不安定そのもので、どこか締まりがなく、歩きかたも非常にだらしない。安物買いの銭失いになるケースも多いでしょう。

たかがワンマイル、されどワンマイルです。ワンマイル=1.6キロ。「ちょっとそこまで」の買い物に紐靴要らずで、シューフィッターの目を通してもまちがいのない「きちんと歩ける」モデルを4つご紹介しますのでご参考に。

◆ワンマイルシューズの代名詞、HOKA「ORA RECOVERY SHOE 2」

HOKAは数種類、ワンマイルシューズを展開していますが、もっとも実績があるのが「ORA RECOVERY SHOE 2」。毎年、夏が始まる前にはたいてい完売するリピーター続出のモデルです。本来はランナーがレースで走り終わった後の移動・回復のための靴なので、片足190グラムと、とにかく軽く柔らかい。脱ぎ履きもラクで、裸足で履いてもソックスあわせでもサマになります。

各メーカーが出しているワンマイルシューズの中でも、最もストレスフリーと言っていいでしょう。アッパーが肉厚なメッシュでできているので、靴というよりはふかふかのソックスに近い。よほどのサイズミスさえしなければ、靴ずれのしようもありません。しかしソールは「攻めすぎないアーチ」がついた極上フィット確定の一体型ソールなので、距離を歩いても疲れることがありません。健康サンダルのように過剰なアーチが付いた靴は、足を過保護にし、動きそのものも妨げるので、かえって疲れてつまずく原因にもなるので危険です。

スリッポンタイプなのでスピードを出して歩くのには不向きですが、リラックスして、のんびり散歩するなら十分すぎる機能とデザインです。ソックスのように伸縮自在なので、幅や甲の高さ・左右の足のサイズ差もかなりの範囲でカバーします。気軽にまるごと水洗いもできるので、汚れも気になりません。今の時期、大型スポーツ店ならたいてい置いていますが、毎年6月くらいには完売するので気になる方はお早めに。

◆走れるワンマイルシューズ、ナイキ「ゴー フライイーズ」

去年まではナイキ直営店でしか販売されず、話題だけが先行していたモデルですが、今年から全国のABCマートでも一斉販売されて、簡単に買えるようになりました。そもそもはハンディキャップ靴の応用なのですが、手を一切使わずワンタッチ・ノールックで脱ぎ履きできるので、子育て世代から通勤・通学まで幅広くウケています。

無駄を徹底的にそぎ落としたデザインで、靴の中で足がまったく遊びません。見た目もスリムで、だらっとした印象にならないのも嬉しいところ。全体のボリュームをかなり絞っているので、「幅がせまい」「甲がうすい」方からの支持も高いです。外からは見えませんが、ヒールのエアがかなり効いていて、アスファルトを走ったとしてもなんら問題がありません。表面は粗くて頑丈なメッシュなので、夏の炎天下でも快適に過ごせます。ナイキのロゴも目立たないので、スニーカーならではのやんちゃな感じが一切しません。足が心地よくロックされるので、ワンマイルどころかオフィスカジュアルであればそのまま通勤できます。

◆存在感満点、Chaco「パオニア・クロッグ」

とにかくタフ! Chaco(チャコ)はマイナーですが、知る人ぞ知るアメリカのアウトドアサンダルメーカーです。メーカーが何度でも純正のソール交換をしてくれることでも有名で、人間工学的に理想的なフットベッドを採用。つまさきまで覆われているクロッグタイプなら、満員電車や人混みの中で足をピンヒールで踏まれても平気です。ワンマイルシューズはその手軽さゆえに、どうしても足元が軽くみられがちですが、「パオニア」は撥水・極厚のスエードのアッパーなので、ハーフパンツに素足で履いてもエンジニアブーツのような存在感で足元が整います。

足に当たる裏側もウールとポリエステルの1枚素材で肌触りがよく、ノンストレス。足の裏のインソールも、ただ「ラク」というだけではなく、アウトドアでガンガン歩くシーンを想定しており、日常生活でもきちんとした姿勢が取れるように研究されています。甲のベルトも正確に甲を抑える位置に通っていて、締めると「つっかけ」なのになかなか脱げません。足のどこにも面で当たるからくりで、靴そのものはかなりずっしりとしたつくりなのですが、履くとフィットして重さをまったく感じません。たとえるならハイテクのビルケンといったところでしょうか。そのままアウトドアにも流用できるワンマイルシューズなら、このモデルが推しです。

◆ゲリラ豪雨もどんとこい、メレル「ジャングル モック エボ ウィンター ウォータープルーフ」

最後はワンマイルシューズの本格派。全世界で1700万足を売り上げた名作「ジャングルモック」のアップデート版です。完全防水仕様で、「ちょっとそこまで」の最中にゲリラ豪雨に会っても、これなら大丈夫。オールシーズン着用可能で、スパっと履ける割に安っぽさはみじんもありません。

「ジャングルモック=シニア靴」というイメージが強いのですが、履きやすさと頑丈さはそのままに、見た目は垢抜けて、フィット感も大幅にアップ。スリッポンでもカカトが脱げやすい人でも、この靴ならアキレス腱のコードを引き絞れば簡単に脱げることもありません。ここまで本格仕様なら、わざわざスリッポンではなくレースアップ仕様にしても良さそうなところですが、そこは歴史的ベストセラー。「ズボラ履きは意地でも譲りません!」といったところ。

都会的なルックス、岩でもガラスでも踏み抜かないソール、ヒール内部にはメレル独自のエアクッションも搭載。ナイキのエアと違ってヒール内部の大きな穴の中に巨大な衝撃吸収材が入っており、ソールは硬いのに履くとふわふわ。カプセル状ではないので、エアが破裂することもありません。ジャングルモックは脱着のしやすさだけではなく、人知れず内蔵されているこのクッションに病みつきなるリピーターが多い。「ジャングルモックは見た目がいまいち」と敬遠している方でも、これならシニア感は微塵もなく、そうとう長く使えます。ソールもボリュームがあるので、今の厚底ブームにもちょうどいい。かつ超・実用的となれば選ばない手はありません。

ワンマイルシューズは、いいものを買うと使う頻度がとても高くなり、QOLが爆上がりします。スニーカーを何足も買うよりよほど使い勝手がいいので、生活に導入してみてください。

【シューフィッターこまつ】
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。HPは「全国どこでもシューフィッターこまつ」 靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ」
    ニュース設定