野球指導の最前線、分かりやすい理論と実践で野球がもっと上手くなる|Gate1Field Baseball Labo

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2024年04月24日 17:24  ベースボールキング

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昨年9月に横浜市青葉区にオープンした野球塾『Gate1Field Baseball Labo』。前編では低学年クラスのレッスンの様子を紹介しましたが、後編では『4スタンス理論」に基づいた、より高度でパーソナルな指導が行われている高学年クラス、中学生クラスのことを中心に代表の菅澤遼さんにお話を聞きました。



【昔と今で全く異なる技術理論】
——野球チームを立ち上げて監督になるのではなく野球塾を始めた理由は?

チームの監督をやってほしいというお話しもいくつかいただいたこともありました。ですが、野球チームだとどうしてもレギュラーと控えがいたり、(子どもに対して)そういう評価をしないといけないですよね。それはチームとしては必要なことだと思うのですが、私はあまり得意ではありません。そう考えていると「レギュラーも控えもなく純粋に野球を上手くなろうとする場所ってないよな」と思ったんです。レギュラーとか補欠とか関係なく、子ども達が黙々と純粋に野球が上手くなるために練習できる場所があってもいいのではないか? みんなで技術を磨き合っていける場所も今の野球界には必要だ、そんなことを思って昨年9月に『Gate1Field Baseball Labo』を立ち上げました。

——指導をする上でのバックボーンになっているものは?

社会人まで野球をやっていました。でも私が現役時代にグラウンドで経験したことや知識は、今の時代に子ども達を指導する上ではそんなに役には立っていません。役に立っていないと言うと語弊があるかもしれませんが過去の経験に固執しないように気をつけているという表現の方が正しいかもしれません。現代の野球に柔軟に対応していかなければなりませんから。私は内野をやっていたのですが、例えばグラブの出し方ひとつでも、昔と全然違う理論で指導をしています。それを子ども達にもロジカルに分かりやすく伝える事が大事なので、前職のコンサルタント時代の経験の方が子どもを指導する上では役立っているようにも思います。
技術的な部分では、打ち方の指導ならこの人、投げ方の指導ならこの人と、野球指導者の方の元に出向いて指導法や理論を学んだりして常に知識・経験をアップデートしています。

——「背中が丸まっている子が多いですね。これは改善しないと、この先も野球をやっていくのであれば故障につながる問題です」と前回話してもらいましたが、背中が丸まっている、いわゆる猫背は野球にどんな悪影響があるのでしょうか?

背中が丸まってしまうと頭が下がって前に出ますよね? 頭は体のなかで一番重たい部位なので、そうすると重心がどんどんつま先側、前にかかります。バッティングも守備もピッチングも全部において前に突っ込んでしまいます。あとは背中が丸まってしまうと胸郭部が開かないのでバッティングも柔らかさが出ないですし、投げる時も胸郭部が開かないと肩、肘の故障に繋がる恐れがあります。その辺の影響がすごく大きいかなと思います。

——そういう子どもはどのように改善させるのでしょうか?

練習に入る前にストレッチやブリッジ、股関節のトレーニングをやったりしてまずは解きほぐすところからやっています。

——基本的な運動機能が全体的に低下している原因として考えられるのは、やはり外で遊ぶ機会などが減っているから?

そうだと思いますね。木登り、鬼ごっことか、私たちが子どもの頃にやっていた遊びなどをやらなくなったことが大きいと思います。ジャングルジムとか雲梯(うんてい)とかも危ないからということで学校や公園から撤去されているところも多いようです。


【横からのトスバッティングと連ティーはNG】


——昨年8月に開業して、実際にやってみて良くも悪くも想定と違ったことなどはありますか?

子どもに野球のちゃんとした技術を学ばせたいという親御さんが多いことと、子ども自身も「上手くなりたい!」という強い意欲を持って通ってくれていて吸収する力が強いことですね。

——野球をやっていない子やチームに入っていない子もウエルカムですか?

もちろんです。チームに入る前段階として「野球ってどんな感じ?」という感覚で来てもらうのもウエルカムです。でも日頃全く運動をしていない子もいて、そういう子には野球をやる以前に体をたくさん動かすところからスタートせざるを得ないので、もしかしたら「もっと野球をやりたいのに」と思われているかも知れません。その辺のジレンマはありますね。

——とはいえ、この時代に運動しない子が「野球をやりたい」と思って来てくれていることは大事にしたいですよね。

はい、そこはすごく嬉しいんです。ですので、基本的な体の動かし方の中にもちょっとした野球の動きを取り入れてみたり、野球のどんなプレーにつながる動きなのかというのを説明した上でレッスンするように心がけています。

——バーティカルスイングを指導していますが、子ども達が所属するチームでダウンスイングが指導されていていても否定しない、「引き出しの一つになれば良い」と話されていたことが、考え方が柔軟で印象に残っています。

でもチームでのバッティング指導で一つだけやらせて欲しくないことがあります。それはヒッティングポイントを前にして手首をこねる、いわゆるリストターンでヘッドスピードを出させることです。その癖が小さい頃についてしまうとなかなか抜けないです。

——リストターンの弊害はどんなところにありますか?

スイング軌道が歪んでしまい打てるポイントが一点だけになってしまう点です。それだとヒットの確率が極端に低くなってしまいます。横からのトスバッティングとか連ティーとかをやっているとリストターンの癖がつく可能性があるので育成段階では特に注意が必要だと思っています。

——連ティーもダメですか?

高校野球も飛ばないバットが話題になっていますが、これまでは当たれば飛ぶバットだったので、連ティーなどで「振る力」を鍛えれば試合でヒットが打つことができていました。当たれば飛ぶのですから。でもこれからは力ではなく打つ技術が大事になってきます。この先、中学、高校と野球を続けていきたいと思うのであれば、しっかりとした理論に基づいた技術を習得させてあげたいですし、それがここの役目の一つだと思っています。

——野球塾はその子の体や特徴に応じた個別指導ができることが魅力の一つだと思いますが、Baseball Laboでは『4スタンス理論』に基づいた、よりその子にあった個別指導をしているそうですね。そもそも『4スタンス理論』とは?

簡単にいうと、その子の体を触って、バランスを見て、出力チェックなどを行って、「A1タイプ」「B1タイプ」など4つのタイプに分類できるんです。タイプが分類できたら「この子はこのタイプだから、こういうふうに体を使った方がいいね」とか、そういう指導ができるようになります。『4スタンス理論』が万能だとは言いませんが、闇雲に指導するのではなく、その子を指導する上での道標になりますよね。理論に基づいたバッティング指導をしたからといって全員が同じスイングになるというわけではないということです。

——なるほど。子どものタイプを把握した上で、それぞれにあったフォームを作っていくということですね。今日はありがとうございました。

(取材・写真/永松欣也)

【Gate1Field Baseball Labo】
<住所> 神奈川県横浜市青葉区美しが丘5−14−10 ラ・エレガンス2階
<電話番号> 090−6650−5994
<営業時間> 10:00 〜 22:00
<定休日> 日曜・祝日
<HP> https://www.g1f-baseball-labo.com/
<代表・トレーナー>菅澤遼(すがさわりょう)
1984年生まれ 39歳
保有資格
・REASH公認コーチ級トレーナー
・JSBB公認学童コーチ
・U-15&12 BFJ公認野球指導者
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