久保建英、レアル戦であらためて実力発揮 多くのビッグクラブが関心を示すなかで...

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2024年04月28日 07:50  webスポルティーバ

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 4月26日、ラ・リーガ第33節。レアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)は本拠地レアレ・アレーナにレアル・マドリードを迎え、0−1と敗れている。

 マドリードはチャンピオンズリーグ(CL)でマンチェスター・シティを下し、ラ・リーガでバルセロナとのクラシコを制した後で、この日は1軍半の陣容だった。力をセーブしながらも、攻守に芯の強さを感じさせ、欧州戴冠、スペイン王者に王手をかけているだけのことはあった。アルダ・ギュレルが決めた虎の子の1点を守り、老獪に勝利を収めた。

 ラ・レアルを背負う日本人アタッカー、久保建英はその"古巣"とどう対決したのか?

 久保は3試合ぶりのスタメン出場で、攻撃を引っ張っている。ここ数試合は筋肉系の故障を抱え、本来の出来にはほど遠かったが、前節のヘタフェ戦で復調の気配が見えていた。マドリード戦はさらに身軽になったようで、オーレリアン・チュアメニよりも一歩早く抜け出してファウルを受けるなど、体のキレが戻っていた。

 序盤から躍動した。左サイドからのハビ・ガランのクロスに大外から飛び込み、際どいシーンを作る。さらに、左サイドから切り込んできたアンデル・バレネチェアのラストパスをファーで呼び込み、左足で合わせている。これはGKケパ・アリサバラガにストップされたが、ゴールの予感を漂わせた。

 そして31分。自陣ゴール前でボールを受けたチュアメニがもたついたところ、バレネチェアがボールを突き出し、ミケル・オヤルサバルがすかさずシュートを打つもブロックされたが、そのこぼれを拾った久保が、ひとりを外して右足でニアに打ち込み、ゴールネットを揺らしている。スタジアムは歓喜に沸いた。チュアメニから奪い取ったシーンが、VARでファウルの判定になってゴールは取り消されたが......。

「CLだったら(ファウルの)笛は鳴っていない」

 久保本人がそう言って悔しがるなど、際どい判定だったと言える。

 後半に入っても、久保は右サイドで相手を悩ませている。縦に駆け抜け、右足でクロス。積極的なウイングプレーを見せている。そして79分には、センターサークル付近で味方がパスカットした後、前方のスペースに走るオヤルサバルに鮮やかなスルーパス。右足シュートはわずかに枠を外れたが、後半最大の決定機だった。

【クラブのレジェンドが語った久保】

 スペインの大手メディアは、そろって高い評価を送っている。スペイン大手スポーツ紙『アス』はチーム内で単独最高の三つ星(0〜3の4段階評価)。『マルカ』紙も、チーム最高の二つ星だった。

「久保は復調を見せている。2024年のプレーのなかでは最もアクティブな試合で、2023年を思い出させた。動きのなかでボールを受けることでファウルを誘発し、イエローを引き出し、危険を作り出していた。ミリトンを外し、右足で同点弾かと思われたが、VARで取り消されている。古巣相手にもかかわらず、自らのゴールを祝ったが......」

 スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』も、久保のプレーに及第点を与えていた。

 クイックネスは、久保のプレーの基盤と言えるだろう。俊敏さと高い技術を組み合わせることで、迫力が出る。そこにコンビネーションを重ねることによって、止められない選手になるのだ。

「タケ(久保)は『chispa(火花、ひらめき)』の選手だよね。一瞬が勝負で、アクセルとブレーキのところで相手を上回り、翻弄できる。ドリブルに入ると、手がつけられない」

 2005年にラ・レアルのトップデビューを飾って、エースストライカーの称号を得たイマノル・アギレチェは、昨年9月、現地でのインタビューでそう答えていた。2012−13シーズン、アギレチェはラ・レアルをCLへ導いているが、当時のチームメイトであるフランス代表アントワーヌ・グリーズマン、メキシコ代表カルロス・ベラというふたりの天才レフティを久保と比較した。

「タケは同じ左利きアタッカーでも、グリーズマンとはあまり似ていないね。グリーズマンは強度が高い選手で、アップダウンをしながらハードなプレーでゴールに向かう。その点、ベラとは少し似ているかもしれない。ベラはとにかくドリブルが好きで、相手のファウルを誘ってイエローを出させ、FKを好んで蹴っていた。特に閃光を放つ、クイックネスのところは共通している」

 久保は、マドリード戦であらためて実力を示した。フラン・ガルシアなどと対峙しても、少しも負けていない。マドリードの選手と同等の輝きを発していた。主力を温存したマドリードを叩き潰せたら、マドリード復帰の可能性も出てくる。世界に冠たるクラブでは、トルコの天才、19歳のギュレルのような新鋭も出るだけに、その道は平坦ではなく急坂になるが......。

 今や多くのクラブが久保に関心を示し、どんな可能性も捨てきれないが、リバプールであれ、アーセナルであれ、マドリードの格式や実績には遠く及ばない。マドリードは圧倒的最多の欧州優勝回数を誇る伝説的クラブで、そこにいる選手は世界最強。日本では他のビッグクラブと同列に扱われることもあるが、欧州では唯一無二のクラブだ。

 今年で23歳になる久保が、将来的にどこでプレーしたいか――。その行方はこれから見えてくるはずだ。

 次節、ラ・レアルは再び本拠地にラス・パルマスを迎え撃つ。

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