Core i9搭載のミニPC「Minisforum NAB9」は最大4画面出力に対応 ワンタッチでカバーも取れる その実力をチェックした

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2024年05月01日 12:51  ITmedia PC USER

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Intel Core i9-12900HKを搭載したMinisforum NAB9

 ミニPCでおなじみのMinisforumから、Intel Core i9-12900HKを搭載しながら8万円弱で購入できる「Minisforum NAB9」が登場した。このモデルは既に発売しているNABシリーズの最上位で、下位にはi7-12700Hを搭載したNAB7や、Core i7-12650HのNAB6がある。


【その他の画像】


 さらにNAB9には、NAB7やNAB6にはない16GB RAM+512GB SSDモデルが用意されているのも注目だ。より安価にWindows 11 HomeがプリインストールされたミニPCを手に入れられるので、消費者にとっては選択肢が増えるのはありがたい。


・Minisforum NAB9(16GB RAM+512GB SSD):7万1990円(税込み、以下同)


・Minisforum NAB9(32GB RAM+512GB SSD):7万8590円


・Minisforum NAB9(32GB RAM+1TB SSD):8万2980円


・Minisforum NAB7(32GB RAM+512GB SSD):7万1980円


・Minisforum NAB7(32GB RAM+1TB SSD):7万5980円


・Minisforum NAB7(ベアボーン、OSなし):5万3980円


・Minisforum NAB6(32GB RAM+1TB SSD):7万1980円


●ワンタッチ、工具無しでSSDやメモリを換装できるユニークな機構


 気になるパフォーマンスのチェックに移る前に、NAB9の変わった特徴を1点紹介したい。それは、工具無し、ワンタッチでSSDやメモリを換装できる点だ。


 NAB9は天板のフロント側の左右を軽く押し込むとカチッという音が鳴り、天板を取り外せる。


 天板を外せば、この通りSSDとメモリにアクセスできるので、簡単に後からスペックのアップグレードができるのは大変うれしい機能だ。さらに、天板には7mm厚の2.5インチSATAドライブを接続できるため、コンパクトに設置できるだけでなく、メインPCとしても十分利用できる拡張性を備えている。


 メインPCとしての利用はもちろんのこと、Proxmox VEのような仮想環境をインストールして小型の高パフォーマンスサーバとしても利用できそうなので、自宅でサーバを運用している人に取っても良い選択になるのではないだろうか。


●ミニPCとは思えない充実の外部インタフェース


 NAB9にはメンテナンス性の高さ以外にも大きな特徴がある。それが豊富な外部インタフェースの搭載だ。フロントのポートについては、USB 3.2 Gen 1 Type-Cが1ポート、USB 3.2 Gen 2 Standard-Aポートが2ポートとよくある構成だが、背面のポートが大変充実している。


 背面にはUSB3.2 Gen2 Standard-Aが2ポート、HDMI出力ポートが2ポート、映像出力対応のUSB3.2 Type-Cポートが2ポート(内1ポートはUSB Power Delivery対応)、さらに2.5GbE対応の有線LAN(RJ-45)が2ポートと、背面に隙間なくインタフェースが敷き詰められている。加えて4Kの4画面出力対応なので、小型ながら1台で多画面出力の環境を構築できる。


 採用されているNIC(ネットワークインタフェースカード)はIntel I226-Vなので、Linux Kernel 5.16.18ならサポートされている。例えばUbuntu 22.04.2 LTSやProxmox VEを導入して自宅サーバとして運用できる点も玄人的にはうれしい点だ。


●第12世代Core i9-12900HKの実力を、ベンチマークテストを通してチェック!


 冒頭でも紹介したように、NAB9は第12世代のノートPC向けCPUとなるCPUにCore i9-12900HK、GPUはIntel Iris Xe Graphics eligibleを搭載している。いわゆる「K」付きなので、仕様上はオーバークロックに対応しているはずだが、NAB9は意図的にオーバークロックをオミットしているようだ。Intel Extreme Tuning Utilityで「Optimize Power & Current Limits」が実行できなかった。


 そもそも、デフォルト設定値でIntel Extreme Tuning Utilityのベンチマークを実行すると、Package Temperatureが最大で85度を示す。この本体サイズに収められていると考えると、オーバークロックは現実的に厳しいと考えられる。


●アイドル時と高負荷時の消費電力をチェック


 NAB9に搭載されているCore i9-12900HKは、PBP(Processor Base Power)は45Wだが、MTP(Maximum Turbo Power)は115Wと、モバイル向けCPUとしてかなり高めの設定になっている。そんなこともあってか、ACアダプターの出力は120.08WとミニPCとしては高出力のACアダプターが付属する。


 今回、ベンチマークテストを実施する際にワットチェッカーを利用して、アイドル時と高負荷時の消費電力の実数値を計測してみたので、早速紹介したい。


 アイドル時は平均約13.2Wで推移するものの、高負荷時はピーク時の消費電力が約103Wを示している。ミニPCとしてみるとやはりモンスターマシンと言えそうだ。とはいえ、アイドル時の消費電力量はIntel N100といったような、省電力CPUとほぼ変わらない値を示すため、24時間つけっぱなしにしたからと言って、電気代が跳ね上がるということもない。


●ベンチマークテストで実力をチェック!


 ここからはNAB9に搭載されているCore i9-12900HKの性能について、ベンチマークテストを通してチェックしてみよう。


 今回はCore i7-12650Hを搭載した「Minisforum UN1265」の計測結果を比較参考値として用意した。


CINEBENCH R23


 まずは、3Dレンダリングを行いCPUの性能をテストする「CINEBENCH R23」を実行して、Core i9-12900HKの実力を測ってみた。結果は以下の通りだ。


【マルチコア】


・Core i9-12900HK:1万3162ポイント


・Core i7-12650H:1万896ポイント


【シングルコア】


・Core i9-12900HK:1914ポイント


・Core i7-12650H:1707ポイント


 Core i7-12650Hは最大クロック数が4.70GHzで、Pコアが6基、Eコアが4基の計10コアであるのに対し、Core i9-12900HKは、最大クロック数が5.0GHzで、Pコアが6基、Eコアが8基の計14コア構成であることから、Eコアの増加と最大クロック数の増加がスコアに反映されている。結果として、マルチコアの結果が約20%、シングルコアの結果が約12%向上している。


PCMark 10


 続いてさまざまなアプリケーションを実行して、総合的なパフォーマンスを測定できる「PCMark 10」を実行し、NAB9の総合的な実力を試してみた。結果は以下の通りだ。


【総合スコア】


・Minisforum NAB9:6463ポイント


・Minisforum UN1265:5312ポイント


【Essentials】


・Minisforum NAB9:1万1401ポイント


・Minisforum UN1265:9820ポイント


【Productivity】


・Minisforum NAB9:8106ポイント


・Minisforum UN1265:7095ポイント


【Digital Content Creation】


・Minisforum NAB9:7929ポイント


・Minisforum UN1265:5841ポイント


 NAB9に搭載されているCore i9-12900HKの内蔵グラフィックスはIntel Iris Xe Graphics eligibleが採用されており、最大動的クロック数が1.45GHzで実行ユニットが96となっている。


 それに対して、UN1265に搭載されているCore i7-12650Hの内蔵グラフィックスは、Intel UHD Graphics for 12th Gen Intel Processorsが採用されている。こちらは、グラフィックス最大動的クロック数が1.4GHzで実行ユニットが64と、同じAlder Lake-Hファミリーであっても差別化されている。


 この結果から、Webブラウジングやビデオ会議、アプリ起動時間などから一般的なPC利用時のパフォーマンスを測定するEssentialsを始め、GPU性能に依存するProductivity、Digital Content Creationのテスト項目全てでNAB9の優位性が表れた結果となった。


●予算に余裕があれば、NAB9を選びたい


 ベンチマークテストの結果を見ると、Core i9-12900HKを搭載したNAB9のパフォーマンスの高さが目立つ。Minisforum NABシリーズは今回紹介したNAB9以外に、Intel Core-i7 12650Hを搭載したNAB6と、Intel Core i7-12700Hを搭載したNAB7の3モデルが展開されている。


 Intel Core i7-12700HはPコアとEコアは同じ数が搭載されていながら、最大クロック数は4.7GHzとなっており、内蔵グラフィックスもCore i9-12900HKと同じくIntel Iris Xe Graphics eligibleが搭載されている。その上で最大動的クロック数は1.4GHzと抑えられているため、NABシリーズについても、松竹梅でモデル分けがなされているといえるだろう。


 予算に余裕があればNAB9を選択したいところだが、その分ピーク時平均の消費電力が高くなるため、ランニングコスト(電気代)が少し高くなるデメリットもあるので、総合的に見て購入するモデルを選びたい。


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