パイオニアの車載スマートデバイス「NP1」を試して感じたイイところ、ムムムなところ 音声操作前提のドラレコ&カーナビ

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2024年05月02日 06:11  ITmedia Mobile

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 筆者は車をシンプルに利用したいと考えています。カーナビはスマートフォンのナビアプリを活用していますが、ドライブレコーダーは必要性を感じつつも配線が複雑になるのが面倒で今のところ装着していません。


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 そんな筆者に編集部が用意してくれたのが「会話するドライビングパートナー」がキャッチフレーズのパイオニア「NP1」です。この製品はドライブレコーダーに加えてカーナビや車載Wi-Fiルーター機能などをワンセットにしたユニークな製品です。今回は実機を1カ月ほど試せたので、そのレビューをお届けします。


●5つの機能を実現した車載用スマートデバイス


 NP1は音声操作を前提とした車載用スマートデバイスです。パイオニアがモビリティAIプラットフォームとうたう「Piomatix」(パイオマティクス)が採用されており、音声だけでさまざまな操作や検索が可能といいます。SIMカードを挿入することでWi-Fiスポットとしても機能します。さらに前後にはカメラも搭載と盛りだくさんですが、主に以下の5つがメイン機能となります。


1. スマート音声ナビ(カーナビ機能)


2. 次世代通信型ドライブレコーダー(見守り機能)


3. クルマWi-Fi(Wi-Fiスポット機能)


4. もっとカーライフ++(情報サービス機能)


5. 「My NP1」(スマホアプリ連携機能)


 スマート音声ナビは、一般的なカーナビとは異なり、音声だけで操作・案内するように設計されたナビです。目や手を使わずに操作できるようにすることで、ドライバーのストレスを低減することがコンセプトです。


 ただし後述するスマホアプリや、「Apple CarPlay」や「Android Auto」と連携することで、別のディスプレイ上に案内を表示させることも可能になりました。これらはソフトウェアアップデートで後から追加された新機能です。


 ドライブレコーダー機能には、有効画素数約200万画素(1920×1080ピクセル)、水平130度/垂直68度/対角159度、F2.0、27fps(前方)/16fps(後方)のカメラ(ソニー製CMOSイメージセンサー「STARVIS」)を搭載しています。内蔵するmicroSDメモリーカードの他、通信機能を利用してクラウド上にも録画映像を保存可能です。


  クルマWi-Fiとは、付属しているnanoSIMを利用した通信機能(受信最大150Mbps/送信最大50Mbps)です。NTTドコモが提供する車載向けインターネット接続サービス「docomo in Car Connect」に申し込むことで、LTEのモバイルネットワークを活用したWi-Fi機能を車内でスムーズに利用できます。利用料金は目的にあわせて、1日(24時間)で550円、30日で1650円、365日で1万3200円から選べます。


【訂正:2024年5月2日午前11時45分 「docomo in Car Connect」の料金プランなどに関する記述をより正確にあらためました。】


 もっとカーライフ++は、アップデートで追加される機能の総称です。現時点では人気スポットやレストランなどの情報サービス「ドライブトピック」、本製品のカメラ画像や位置情報をシェアできる「ドライブコール」、音声の変更機能「コエ替え」、音声アシスタント「Amazon Alexa」などが提供されています。


 最後のMy NP1は、iOS、Android用に提供されているスマホアプリです。本製品を操作しなくても、スマホから目的地検索、案内の補助、録画映像の確認、各種設定などが可能です。ただし常に利用しなければならないわけでなく、補助的に使うという位置付けです。


●NP1本体と付属品


 セット内容は比較的シンプルです。車への取り付けに使用するのは本体、シガーライター電源ケーブル、落下防止ストラップです。SIMカード(nanoSIMカード)は取り付け済みですが、microSDHCメモリーカードは自分で挿入する必要があります。


 いずれにせよ取り付けに必要なものはそろっており、どちらの製品を購入しても1年または3年分のサービス利用料が含まれているので、別途購入するものがないのは単純明快ですね。


●取り付け、セットアップはスマホよりも簡単


 本体の取り付け、セットアップは特に難しいことはありません。流れとしては、スマホにMy NP1をインストール、アカウントの作成、車へNP1を取り付け、スマホと連携──となります。取り付け方法や、カメラの調整方法は全てMy NP1アプリが案内してくれるので、特に悩むことはないでしょう。


 IoT製品ではネットワーク設定でつまずくと非常にてこずることがあります。しかし、NP1はSIMカードが装着済みで、SIMフリースマホのようにAPN設定などは必要ないので、失敗することはないと思います。


●実際に使ってみて感じたイイところ、ムムムなところ


 それでは実際に使ってみた感想をお伝えします。まず音声だけでナビを行うスマート音声ナビは、拍子抜けするほど普通に使えます。マップ画面がないとつらいかなと心配していましたが、パイオニアのスマホ向けカーナビアプリ「COCCHi」と同様に、早め早めに走るレーンを知らせてくれます。


 2〜3車線の道路を走っていて、急に車線変更を指示されることはありません。前述の通り、スマホアプリやApple CarPlay、Android Autoに画面を表示させることもできますが、個人的には必要性を感じませんでした。


 また走行時でも問題なく音声入力できました。ただ「NP1」というウェイクワードはいくらなんでも味気なさすぎます。今後のアップデートでウェイクワードの変更機能を搭載してほしいところです。


 ドライブレコーダーとしての画質は申し分ないと思います。解像度的にはナンバーなどもハッキリと記録されていますし、夜間でも明るく撮影できています。この暗所撮影性能は、超高感度を実現したソニー製CMOSイメージセンサー「STARVIS」の恩恵といえるでしょう。


 後方カメラの車内の色に違和感がありますが、これは屋外にホワイトバランスを合わせているためだと思われます。車内を撮るならスマホかアクションカメラを別途使った方がいいですね。


 また「次世代通信型ドライブレコーダー」の真骨頂である、衝撃検知時の「クラウド保存」も安心感が高いですね。SDメモリーカードになんらかのトラブルがあった場合でも、重要録画データを失う可能性を下げられるわけです。


 個人的に気に入ったのが音声の変更機能「コエ替え」。声優の悠木碧さんのボイスに変更可能です。しかも「かわいらしい声」と「やさしい声」の2パターンが収録されています。ドライブデート気分でたまりません。個人的には、ターニャ・デグレチャフっぽい声も設定したいところです。


 本製品では、トピックを有効化しておくと、そのときにいる場所や時間に合わせて、さまざまな情報提供を受けられます。また、安全運転を心掛けるという前提ですが、「取締り通知」「オービスナビ」「ドライブサポート」も有用な機能です。


 ただし、全部有効化しておくと、さすがに煩わしいですね。デフォルトでは全てオンになっているので、興味のあるトピック、必要なトピックのみを有効化することをオススメします。


●車載デバイスをシンプルにまとめたいという方にオススメ


 音声操作を前提とした「NP1」は、まるで助手席の同乗者のような車載用スマートデバイスです。声だけということに不安を感じる方もいるかもしれませんが、先回りして案内してくれるので走行していて不安感はありません。また「Piomatix」(パイオマティクス)だけでなく、Amazon Alexaも利用可能なので音楽再生やゲームなどのエンターテインメント機能も楽しめます。


 車載デバイスをシンプルに、そして目立たないようにスマートにまとめたいという方に、NP1はもってこいのアイテムです。


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