「不透明な取引」脱却がカギ=ビッグモーター、伊藤忠主導で再建

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2024年05月02日 09:01  時事通信社

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時事通信社

中古車販売大手ビッグモーターの事業を引き継いだ新会社「WECARS(ウィーカーズ)」が発足し、記者会見する田中慎二郎社長=1日午前、東京都港区
 保険金の不正請求問題で経営難に陥った中古車販売大手ビッグモーター(BM)は、伊藤忠商事が1日発足させた新会社として再起を目指す。不正で引責辞任した元社長ら創業家の関与を排除したが、単なる看板の掛け替えに終われば失墜した信頼を取り戻せない。長らく指摘されてきた中古車業界の不透明な取引慣行から脱却できるかが再建のカギを握る。

 「先頭に立って粉骨砕身、全力を尽くす」。新会社「WECARS(ウィーカーズ)」の社長に就任した伊藤忠出身の田中慎二郎氏は、徹底した風土改革を通じて不正を根絶する意気込みを示した。

 BMでは、車体に故意に損傷を与えて保険金を水増し請求する行為が横行していた。同社の特別調査委員会は、背景に「顧客の信頼を裏切って自社の収益を優先」する行き過ぎた利益至上主義があったと指摘。BMは昨秋に国土交通省と金融庁から行政処分を受け、整備工場や保険代理店としての業務停止を余儀なくされた。

 損害保険会社は事故車の修理先として契約者にBMを紹介し、その実績に応じてBMから中古車販売に伴う自賠責保険の割り当てを受ける「もたれ合い」の構図にあった。主要取引先の損害保険ジャパンも不正請求を防ぐ態勢が取られていなかったとして金融庁から今年1月に業務改善命令を受け、親会社SOMPOホールディングスの桜田謙悟会長(当時)が引責辞任に追い込まれた。

 ただ、不正の再発防止だけでは信頼回復には不十分だ。業界関係者は「10年ほど前から、集客のために車体価格を安く設定する代わりに補償などを『押し売り』して稼ぐ商法が始まり、BMなども競うように導入していった」と明かす。BMの再生には、顧客が望まないサービスを強要して利益を得るビジネス手法からの決別が求められる。 

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