トイレ掃除を頼むと涙目…新人バイトはオーナー親族のお嬢様。いきなり辞めたが、意外な展開に

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2024年05月02日 09:20  女子SPA!

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もし自分のバイト先にビックリするほど仕事ができない新人さんが入ってきたら、あなたならどうしますか?

今回は、そんな新人さんとのコミュニケーションに悪戦苦闘してしまった女性のエピソードをご紹介しましょう。

◆新しいバイトの学生の教育係に

岸谷未歩さん(仮名・42歳/主婦)は、近所にある個人経営の喫茶店でアルバイトを始めて6年目になります。

「地主の裕福な老夫婦がオーナーなのですが、最近はちょこっと顔を出しに来るぐらいで、基本的に私みたいなベテランのバイト達にお店を任せている感じですね。もちろん何かイレギュラーなことが起こった時には電話すればすぐに来て対応してくれます」

そんなある日、いつも通り未歩さんが出勤するとオーナー夫人に「新しいバイトの子だから仕事を教えてあげてね」と大学生の桃香さん(仮名・20歳)を紹介されました。

「いつもは『今度バイトの面接があるらしいよ』など、新しい人が入る時は事前に予兆があるのですが、今回はいきなりで驚きました。しかも彼女と私は入る曜日がかぶっているので自然と教育係をすることになってしまって」

◆コーヒーの淹れ方が分からない!?

まず未歩さんは、桃香さんにご飯を4合分炊くようにお願いして開店準備を始めたそう。

「そしてお客さんが入り始めてコーヒーをオーダーしたので、コーヒーミルの使い方だけ教えて後は分かるだろうと思い『じゃあ一杯分このカップに淹れてね』と桃香ちゃんに任せて私は自分の作業に戻ったんですよ」

すると桃香さんがカップの中をスプーンでやたらかき回しているので、変だなと思い見に行ってみると…。

「なんと引いたコーヒーの粉を、お湯に溶かそうと必死になってかき混ぜていたんですよ。あわてて『違うよ!インスタントコーヒーじゃないんだから。ドリップコーヒー淹れたことないの?』と聞くと『はい』と言うのでやり方を教えましたが…そんなことも知らないの?と軽く衝撃だったんですよね」

ちなみに未歩さんの息子さん(19歳・大学生)はコーヒーを淹れることなんて呼吸をするようにできるそう。

「まぁ息子と比べてもしょうがないし、きっとコーヒーにあまり興味がなくて淹れる機会もなかったのかな?と思いました」

◆ご飯の炊き方も分からない

そして炊飯完了のピーピー音が鳴ったのでチェックしてみると、お米も水の量も適当だったようで、炊飯器から溢れんばかりの芯の残ったカチカチのご飯があふれ出してきました。

「それにはさすがに焦ってしまって、ランチタイムが始まるまで時間がないし、とりあえず『チンするパックのご飯は知っている?』と桃香ちゃんに聞いたら『サトウのごはん?』と分かっている様子だったので『そう!そういうのを5パック買ってきて』と今度はお買い物を頼んだんですよ」

ですがその後、桃香さんは15分経っても20分経っても帰って来なかったそう。

「もう限界だったのでオーナー夫人に電話したら、ちょうど今ご飯を炊いたところだったからと炊飯器ごと持ってきてくれて、怒涛のランチタイムを一緒にさばいてくれて助かりました」

そして桃香さんが帰ってきたのは結局買い物に出た1時間後でした。

「そしたら近くのスーパーにサトウのごはんが売っていなかったから、次から次へとスーパーをハシゴしてやっと買ってきたと言いだしたので、嘘でしょ?と思いまして…。

『別にサトウのごはんじゃなくてもパックの白ごはんならなんでもよかったんだよ?それより急いで買ってきてくれないと、ランチタイムにご飯だせなくて困るでしょ?分かる?』と注意したのですが…あまりピンときていない様子でしたね」

桃香さんは特に悪びれた様子もなく、笑顔で「今度から気をつけます!ありがとうございました」とその日の勤務を終え帰っていったそう。

「悪い子ではなさそうなのですが、とにかく何も出来なさ過ぎてこっちがクタクタになってしまいました。お願いだから、私以外のベテランバイトの人とシフトに入った時にいっぱい仕事を覚えておいてねと思わず祈ってしまいましたね」

◆トイレ掃除を頼むと涙目に…

ですがその後も「キャベツをスライサーで千切りにしておいてと」と頼んだら、まるで紙吹雪のような細かいキャベツの破片がボールに山盛りになっていたり、包丁で指を切って大騒ぎになったりと…桃香さんができる仕事はほぼ無く、未歩さんは頭を抱えました。

「とにかく桃香ちゃんは、やったことがないことや分からないことも『教えてください』と言わずにとりあえずやってしまうので本当に困りました。注意してもあまり通じていないというか、のれんに腕越しという感じで」

そしてそんな桃香さんにトイレ掃除を頼んでみると「やったことがないし、男性のトイレを掃除するのが怖い」と涙目になってしまったそう。

「『まぁそんな気持ちになるのも分かるけど、これから社会に出ていろいろな困難にぶち当たるだろうし、トイレ掃除ぐらいで泣いていたら大変だよ』となだめたら『そうですよね…やってみます。教えてください』と初めて言ってくれたので、私はできるだけ丁寧に説明しながら一緒にトイレ掃除をしていたんですよ」

するとオーナー夫人が顔を出してきて「何をしているの?そんなこと桃香ちゃんはしなくていいよ。私がやっておくから」と未歩さんを軽く睨んできました。

「話を聞いてみたら、桃香ちゃんはオーナー夫人の親戚の娘さんで有名大学に通う超お嬢様だって言うんですよ」

◆結局、バイトを辞めてしまい…

ですがそんな桃香さんが「バイトというものをやってみたい」と言い出し、普通にバイトをさせるのが心配だった桃香さんの両親が親戚であるオーナー夫人に「少しだけそちらでバイトの真似ごとをさせてやって欲しい」と頼んできたそうで…。

「そして私以外のベテランバイトの皆んなは桃香さんがオーナーの親戚の子だと最初から知っていたと聞いて、ムカつくというか不信感が募りましたね。私にやっかいな教育係を押し付けるために内緒にしていたんですよ」

そんな桃香さんでしたが「やはり学業に専念したい」とアイドルみたいな理由でいきなりバイトを辞めてしまいました。

「きっと私があれこれ細かく注意したり、嫌がる桃香ちゃんを泣かせながらトイレ掃除なんかさせちゃったから、腹を立ててやめてしまったんだろうなと思いました。おばさんの図々しさ全開でパワハラをしてしまったのかも…と落ち込みましたね」

◆2年後の再会

ですがその2年後、一流企業に就職した桃香さんがお菓子を持って挨拶に来てくれたそう。

「大人っぽくなった桃香ちゃんに『その節は何も出来ない私にいろいろと教えてくださりありがとうございました。他のバイトさんは私に何もさせないで腫れ物扱いだったけど、未歩さんだけがちゃんと私と向き合ってくれました。あの時の経験を活かして無事に就職することができました』と真っ直ぐな目で言われて、つい感動して今度は私が涙目になってしまいました」

それからも桃香さんは未歩さんに会いに定期的に喫茶店を訪れては、あの頃の失敗の数々を笑いながら話しているそうです。
<文/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop

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