ミッドレンジ「Xperia 10 VI」の進化ポイントを解説 デザイン刷新でも21:9ディスプレイ続投の理由は?

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2024年05月20日 18:51  ITmedia Mobile

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ソニーが7月上旬に発売する「Xperia 10 VI」

 ソニーモバイルのミッドレンジスマートフォン「Xperia 10 VI(マークシックス)」を、5月17日開催の製品体験会でじっくり検証した。Xperia 10 VIは片手操作しやすいスリムなボディーに、2日間使える大容量バッテリーを詰め込んだスマートフォンだ。今作はデザインを刷新し、オーディオの性能を高めている。


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 発売は7月上旬以降で、携帯キャリアではNTTドコモ、au、UQ mobile、ソフトバンクが取り扱う。SIMフリー版の価格は7万円前後(税込み)だ。


●コンパクトで軽やかなデザイン


 デザインは“軽やかさ”をテーマに刷新した。背面パネルには半透過型の樹脂素材を採用し、乳白色の本体カラーが光を透過する様子は、キッチン用品のような清潔感を醸し出している。カラーバリエーションは、ブラック、ホワイト、ブルーの3色を用意する。


 前世代モデルのXperia 10 Vと見比べてみると、カメラ周辺の造形に違いを感じる。Xperia 10 VIは、カメラ周辺が緩やかに隆起していて、カメラが本体に溶け込むような見た目になっている。


 サイズは約68(幅)×155(高さ)×8.3(奥行き)mm、重量は約164gとコンパクトかつ軽量な設計だ。外装などのプラスチックには、ソニーが開発した再生プラスチック素材「SORPLAS」を使用しており、環境配慮型の利用率は約50%となっている。


 コンパクトながら電池持ちがいいことも本機の特徴だ。バッテリー容量は5000mAhと大きめで、独自の充電サイクル管理技術により3年後の劣化を抑えてバッテリーを継続できる。


●純正スタンドケースは配置が自在に


 Xperia 10 VIのために設計された専用ケース「Style Cover with Stand for Xperia 10 VI」もそろえる。このカバーは再生プラスチックSORPLASを原料として使用しており、表面は梨地のようなザラザラとした質感に仕上げている。Xperia 10 VIのスリムさを損なわず、手にしたときの装着感を高めることができる。ケースの重さは約31gで、本体に装着しても200gは超えない。


 ケース内蔵スタンドは、今回から縦位置と横位置の両方で固定できるようになった。縦位置の固定は、YouTubeショートやTikTokのような縦型の動画サービスを閲覧するときに役立ちそうだ。


 また、今回はケースにストラップホールを追加している。柔らかい手触りのリングストラップが付属する。手に持つときに指を通したり、ネックストラップに装着したりできる。


●スリムさ重視で、縦長ディスプレイを踏襲した


 ディスプレイは前世代モデルと大きな違いはない。約6.1型の有機ELディスプレイを備え、解像度はフルHD+だ。


 画面のアスペクト比が21:9と縦長の形状だ。上位モデルのXperia 1 VIと異なり、10 VIでは前例を踏襲した格好となる。これはユーザーの利用パターンの違いが要因という。


 Xperia 1 VIの場合は動画などを制作するクリエイターが多く、TikTokのような動画サイトの視聴に適した19.5:9ディスプレイに変更された。それに対してXperia 10 VIは女性ユーザーの支持が高く、横幅の細さが好まれているため、スリムな形状の維持を目的として21:9のディスプレイを踏襲したという。


 気になるのはリフレッシュレートが60Hzと標準的な水準に収まっている点だ。他社製品はミッドレンジでも90Hzや120Hzの高リフレッシュレート対応を進めているが、Xperia 10 VIは従来通りだ。滑らかなスクロール感覚を求める人には、物足りないと思うかもしれない。


●スピーカーのサウンドチューニングを徹底させて音質を大幅改善


 オーディオでは前世代モデルからチューニングにより、音質を向上させている。Xperiaシリーズでは一貫して、ステレオスピーカーを均等なバランスで配置するという音響設計上の工夫を行ってきた。スマートフォンのステレオスピーカーの中には、受話スピーカーと底部スピーカーで再生時の音圧が異なり、バランスが悪い製品もある。Xperiaでは端末の上部と下部のスピーカーの音圧がバランスを取れるように調整されていて、自然な音量バランスで音楽を楽しめる。


 今回の機種ではサウンドチューニングを徹底することで、音質を大幅に改善した。全体の音圧レベルを前世代モデル比で12%向上。高音域では音圧レベルが40%以上向上しており、これにより歌声の抜けがよくなっている。低音域では音圧レベルが70%以上向上しており、ギターやドラムなどの重低音がより豊かに響くようになった。


 また、3.5mmイヤフォンジャックにも細かな改良が施されている。D/Aコンバーターからイヤフォン端子まで回路設計を見直して、ステレオの左右チャンネルのクロストーク(相互干渉)を前世代モデル比で60%削減できたという。


●カメラは3眼→2眼になるが、2倍ズームは劣化なし


 カメラは今回、広角(26mm相当、4800万画素)と超広角(16mm相当、800万画素)の2眼カメラとなった。


 旧モデルが備えていた800万画素の望遠レンズは削減されたが、広角カメラのクロップズームによって望遠域の撮影に対応。54mm相当では有効画素数1200万画素で撮影できる。


 カメラのレンズ数を削減したことで、本体の重心を中央寄りにできるなど、コスト削減以外のポジティブな効果もあったという。


 上位機種のXperia 1 VIと比べると、カメラアプリはオーソドックスなUI(ユーザーインタフェース)だ。写りの傾向は、エッジを立たせすぎず、自然な色表現にするという点で上位機種の思想を受け継いでいる。


 カメラアプリにフィルター機能を搭載しており、Instagramアプリのように雰囲気を変えた写真を撮れる。フィルターの効果は控えめで、自然な写りを引き立てるものになっている。


 また、新たに「Video Creator」アプリを搭載した。ショート動画を手軽に作成できるアプリだ。これはXperia 5 Vで初めて導入されたもので、10シリーズでは初搭載となる。


●Xperia 10 VIはどんな人に向いている?


 Xperia 10 VIを選ぶユーザーは、コンパクトなボディーに高い基本性能を求める人が多いだろう。片手で扱いやすいサイズ感でありながら、5000mAhの大容量バッテリーを搭載しているため、頻繁な充電を気にせず安心して使える。


 また、縦長の21:9ディスプレイを好むユーザーにも適している。スリムな形状で持ちやすく、縦スクロールが多い操作に向いている。動画視聴よりもSNSやWebブラウジングを中心に使う人に合ったスマートフォンといえる。


 オーディオにこだわりを持つユーザーも、Xperia 10 VIの選択肢に入れるかもしれない。スピーカーの音質改善により、より豊かで臨場感のあるサウンドが楽しめるようになった。イヤフォンジャックの改良によって音の左右の分離も向上しており、音楽を楽しむのに適した環境が整っている。


カメラ性能については上位機種ほどの高さはないものの、自然な色合いで日常的な撮影を楽しみたいユーザーには十分な性能を備えている。「Video Creator」アプリを使えば、手軽にショート動画も作れる。


 総じて、Xperia 10 VIは高いコストパフォーマンスとコンパクトさ、使いやすさのバランスを求めるユーザーに支持される端末になりそうだ。デザインの美しさも相まって、幅広い層に親しみやすいスマートフォンに仕上がっている。


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