「Sonos Ace」はホームサウンドシステムと仲がいい、家族思いの高級ヘッドフォン ブランド初の新製品がついに登場

0

2024年05月21日 22:51  ITmedia PC USER

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmedia PC USER

ついにSonosのヘッドフォンが登場

 ホームサウンドシステムなどを手掛ける米Sonosが、初のヘッドフォン「Sonos Ace」を6月下旬に全世界で発売する。同社は「パーソナルリスニング分野に驚きのサウンドと洗練されたデザイン、そして長時間続く快適性をもたらす」とアピールするが、その実力はいかに。事前に開催された記者向け説明会で来日した開発陣に話を聞いた。


【その他の画像】


●デザインで「Sonosを装着するとは、どういうことなのか」と考えた


 Sonos Aceは、アクティブノイズキャンセルやロスレスオーディオ、空間オーディオ、独自のホームサウンドシステム連携機能などに対応するオーバーイヤー型Bluetoothヘッドフォンだ。価格は7万4800円(税込み、以下同様)で、受注は6月7日に始める。日本ではヨドバシカメラとビックカメラ、各ECサイトで販売する。


 カラーバリエーションはブラックとソフトホワイトの2色で、いずれもマットな質感のハウジングを採用して落ち着いた印象を持っている。その上でヘッドバンドに続く接合部のメタルがデザイン上のアクセントになっているのがポイントだ。各ボタンなどの配置もこだわっており、直感的に左右が分かるように工夫されている。


 Sonosのサム・プレンティス氏(シニア・インダストリアル・デザイナー)は、Sonos Aceをデザインする上で、「Sonos初のウェアラブル製品を開発するにあたり、『Sonosを装着するということは、どういうことなのか』という部分から考え始めた」と話す。


 「まずは快適性だ。1日中装着しても快適で、あたかもヘッドフォンが耳の上で浮いているような、まるで耳と接触していないような着け心地を目指した」(プレンティス氏)


 長い時間をかけて開発したというイヤーパッドは硬すぎず柔らかすぎずのソフトパッドを採用し、化粧などが付着しても簡単に拭き取れる素材を採用したという。イヤークッションの着脱はマグネット式で、簡単に取り外しできる。単体販売も行うようで、清潔感を保てるだろう。


 「2つ目はスタイルで、できるだけ目立たない控えめさでありながら、プレミアムなデザイン、人々のライフスタイルやファッションになじむようにした。特にソフトホワイトは少しトーンダウンさせた白色で、あらゆる肌の色やファッションに合う」(プレンティス氏)


 また、ボタンなどの配置にもこだわっているという。Sonos Aceには右側に音量操作や再生/停止などを行えるスライド式の「コンテンツキー」がある。その下にはアクティブノイズキャンセルのオンオフボタンもある。


 いずれもタッチセンサーなどではなく、物理的なボタンを採用している。プレンティス氏は「操作時に物理的なフィードバックがあるとユーザーは安心して正確に操作できる」と説明した。


 75%再生フェルト素材を採用した専用ケースは、とても薄く持ち運びやすい。中には充電ケーブルを収められるマグネットケースが付属している。


●Sonosがヘッドフォンに参入した理由


 Sonosはこれまでホームサウンドシステムとしてリビングに設置するサウンドバーや、ワイヤレススピーカー、ポータブルスピーカーなどを手掛けてきた。2002年の創業以来、家庭におけるワイヤレスオーディオに注力してきたというが、ファンからはヘッドフォンのようなカテゴリーにも製品を投入してほしいという声が多く寄せられていたという。


 同社のデーン・エスティス氏(プロダクト・マーケティング・マネージャー主任)は「Sonosの製品ならば、卓越したサウンドも必要だ」と話す。


 「Sonos Aceは快適さを重視しつつも、プレミアムなデザインを提供したかった。ロスレスオーディオや空間オーディオの再生にも対応しており、(サラウンドの)映画のようなリスニング体験を提供している。こだわり抜いたSonos初の製品を発表できることをうれしく思う」(エスティス氏)


 Sonosのヘッドフォンならではの機能として、サウンドバーとの連携がある。あらかじめセットアップしておけば、サウンドバーから再生していたサウンドの出力先をワンボタンでシームレスにSonos Aceへ切り替えられる。


 Sonos Aceとサウンドバーは5GhzのWi-Fiで接続される。家族が寝ていたり、リモート会議中であったり、深夜で近所迷惑にならないように配慮したりと、さまざまな場面で役立つものだ。


 Sonosのスコット・フィンク氏(特任プロダクト・マネージャー)は、「オーディオに妥協することなくテレビを楽しめる」と自信を見せた。特に空間オーディオに関しては、幾度となくチューニングが施したという。


 「Sonos Aceの目標は『没入型のパーソナルなリスニング体験を提供すること』だった。ヘッドフォンで聞いていると感じさせないようにしたい。リビングルームでは、まるでスピーカーがうまく配置された3Dオーディオシステムで聞いているような体験を提供する」(フィンク氏)


 Sonos AceはDolby Atomsに対応しており、7.1.4chのサラウンドに対応している。音声ソースがステレオであっても、7.1.4chのサラウンドに変換して音に囲まれている体験を生み出すとしている。


 その空間オーディオを実現するために、Sonos Aceではダイナミックヘッドトラッキング機能を搭載している。センサーで検知した頭の向きなどをサウンドバーに送り、そのデータから適切な空間オーディオを提供する。これが他社との差別化だという。


 2024年後半にはさらなる高度な機能として、サウンドバーから出力した音声をSonos Ace側のマイクで受け取って空間マッピングし、よりリアルなサラウンドサウンドを生み出す「TrueCinema」の提供も始める。


 「人間は部屋に入ると、無意識に空間の中で音がどのように聞こえてくるかを把握する。しかし、通常のヘッドフォンはそういった聞こえ方の文脈は消えてしまう。TrueCinemaは、脳が期待している音の聞こえ方を、ヘッドフォンの聞こえ方にマッチさせる。ヘッドフォンを装着した状態でサウンドバーからセットアップ用の音声を流す。Aceのマイクがサウンドバーの音を補足し、部屋の形状がどのように音色を変えているのかを検知する。Aceとサウンドバーが、空間オーディオのレンダリングに必要な情報を認識できる。より自然な音を出せるだろう」(フィンク氏)


●Sonosが自信をみせる高級ヘッドフォン


 Sonos Aceの価格は7万4800円だ。高級ヘッドフォンとしてライバルは多い価格帯でもある。Sonosは新カテゴリーとしてヘッドフォンに進出するにあたり、ライバルやベンチマークにした他社製品は特にないとしながらも、市場調査によって(このカテゴリーに)ビジネスチャンスがあると見いだしたと説明する。


 Sonos Japanの吉田庸樹氏(代表)は「Sonos Aceは新カテゴリーへのチャレンジというだけでなく、Sonosホームサウンドシステムの重要なピースを担っている」と話す。


 デザインやサウンドについては各社こだわりがあると思うが、Sonosのホームサウンドシステムとの連携は、明確な差別化ポイントであり、今後のアップデートにも期待が持てるだろう。


    ランキングIT・インターネット

    前日のランキングへ

    ニュース設定