岸田首相が目論む「隠れ増税」子育て支援金&配偶者控除が廃止されたら年間8万円の負担増に

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2024年05月23日 06:10  web女性自身

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「国民から見れば、新型コロナウイルス禍に納めた税金が戻ってくるという意味で還元そのものだ」



昨年11月、岸田文雄首相(66)が衆議院本会議で、物価対策の目玉政策として、自慢げに意義を強調したのが「定額減税」だった。納税者本人と配偶者など扶養家族を対象に、1人あたり4万円の所得税・住民税を差し引く制度が6月から実施される。



5月21日、岸田内閣は企業などに対し、給与明細に定額減税の減税額を明記するよう義務づける方針を決めた。これに対し、SNSでは、《民間に手間を押し付けて岸田総理のアピールをさせるのか》《増税は隠そうとするのに》と辛らつな声があがっている。



■減税の裏で“隠れ増税”が進行中



「岸田首相は、9月の自民党総裁選で再選されるために、いまは目先のことしか考えていません。自分の支持率を上げるため、国民に賃金上昇や定額減税を必死にアピールしています。



その一方で、防衛費や少子化対策などの歳出拡大で財源を増やす必要がある。だが、“増税します”とは、口が裂けても言えない。世間から“増税メガネ”と揶揄されるのが嫌なので、本当は増税したいが、国民に気づかれにくい“隠れ増税”というやり方で財源確保をしようとしているのです」



そう指摘するのは、元経済産業省の官僚で、政治経済評論家の古賀茂明さんだ。いまの日本は、賃金の上昇が物価上昇に追いつかず、家計の購買力が落ち込み、長期にわたって消費低迷が続いている。



消費低迷に加え、さらに国民を苦しめているのが、社会保険料に支援金を上乗せするといった姑息な負担増だ。その“隠れ増税”の象徴的な施策が、少子化対策の財源として公的医療保険料に上乗せする「子ども・子育て支援金」。



この支援金制度は、2026年度からスタートし、徴収額を段階的に増やし、2028年度に満額徴収となる。



岸田首相は当初「負担額は国民1人あたり500円程度」と説明していたが、こども家庭庁による2028年度の試算で、多くの世帯が500円を大きく上回ることが明らかになった。



「加入している保険や年収によっては徴収額が高くなるのに、当初それを隠し、ワンコインの負担で済むと説明するなど、明らかに国民を欺くやり方です」(古賀さん)



岸田首相は「賃上げするから負担は生じない」と、国会で繰り返し語っていたが、保険料に上乗せして徴収する実質的な増税であることは明らかだ。





■“女性のため”を旗印に増税計画が進行中



岸田首相がもくろむ負担増はこれだけではない。右の表は2024年にすでに実施されたものと、今後予定されているもの、現在検討中の“隠れ増税”は多数ある。後期高齢者の医療保険料や介護保険料の引き上げなど、やはり保険料を隠れ蓑にしたものが目立つ。



直近のトピックスとして気になるのが、自民党の会合や政府税制調査会で検討されている“金融所得を社会保険に反映”と“配偶者控除の見直し”である。



現在、株の配当などの金融所得が社会保険料の算定に反映されるのは、確定申告をした場合のみ。確定申告の必要がない特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は、配当で儲けた分は所得に加算されない。そのため、確定申告をしている人と同じ利益を得ていても、社会保険料が安く済んだ。



そこで確定申告の有無にかかわらず、金融所得を保険料の算定に反映することで、国はこれまで未申告だった人の保険料を増やすことができる。このニュースが流れた直後、ネット上で“新NISA増税”というワードが飛び交った。



「NISA(少額投資非課税制度)の口座がどんどん開設されています。非課税を売りにしているわけですから、今は、国もNISAには手をつけることはないでしょう。



ただ、口座開設が頭打ちになった後どうなるか。将来的にNISAによる金融所得も社会保険料の算定に加算される可能性はゼロではないと思います」(古賀さん)



もう一つ気になるのが、“配偶者控除の見直し”議論だ。13日に行われた、政府税制調査会では、就業調整の原因となり、女性の社会進出を阻んでいるとして「配偶者控除」の見直しを求める声が相次いだという。



とくにパート主婦などの場合、夫が支払う所得税の配偶者控除の基準となる「103万円の壁」を超えないように働いている人は多い。



妻の年収が103万円以下の場合、所得税で38万円、住民税で33万円の配偶者控除が受けられる。仮に、この配偶者控除がなくなってしまったら、負担額はどれだけ増えるのだろうか。



WEBメディアで情報発信をしている税理士の板山翔さんに、年収別の試算をしてもらった。



「夫と妻の2人世帯、そして社会保険料に子育て支援金が上乗せされた段階で、配偶者控除が全廃された場合のシミュレーションを作成しました。その結果、夫(会社員)の年収が400万円であれば6万1400円、年収600万円では8万1200円、年収800万では12万1600円の負担増となることがわかりました」



女性の社会進出といえば聞こえがいいが、配偶者控除をなくすことは実質的な増税にほかならない。



■“増税隠し”のために複雑化される税制度



「給与から源泉徴収される社会保険料、所得税、住民税の金額を少しずつ上げていけば、国民に増税の負担感を抱かせず、かつ確実に徴税することができます。



増税自体は、財源確保のために仕方がない部分もありますが、それを目立たなくするために、税制度がどんどん複雑化されていく。これでは国民も納得できないのではないでしょうか」(板山さん)



岸田首相は「今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現する。そして来年以降に物価上昇を上回る賃上げを必ず定着させる」と、景気のいい話を繰り返している。



だが、共同通信が行った世論調査では、岸田首相が明言している“物価上昇を上回る所得”の年内実現について「実現しないと思う」が、90.5%を占めた(13日)。口で言うほど実体経済は甘くはないことを、国民も理解している。



「自民党総裁選、そして次の総選挙の後には、社会保険料の上乗せだけではなく、消費税を含めた本当の増税論議を始めると思います。



とくに防衛費をGDP比2%に上げると言っていますが、この円安で米国から武器を買うときに、ものすごく目減りして、とても2%では足りないのが実情です。もしトランプ氏が大統領になったら、もっと武器を買えと迫られる。岸田首相はさらに防衛費を増やさなければならないことは、わかっていますから」(古賀さん)



“大増税メガネ”が正体を現す日も近い!

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