サンリオが持つ“最強の方程式” キャラ大国・日本「たやすく没落するようには思えない」【坂口孝則連載】『オリコンエンタメビズ』

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2024年05月23日 07:01  ORICON NEWS

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経営コンサルタント・坂口孝則氏
 日々話題を集めるニュースをもとに、経営コンサルタント・坂口孝則氏が背景を解説する『オリコンエンタメビズ』。今回は、日本のキャラクタービジネスの強みについて解説する。

【画像】『2024年サンリオキャラクター大賞』中間発表トップ20

■サンリオキャラクター大賞

 今年もサンリオが『2024年サンリオキャラクター大賞』の開催を発表しました。今年のテーマは「サンちゅっ」だそうで、思わずぎゅっとしたくなる気持ちを表現してほしいようです。このように応募要項を書き写している中年男性(=私)はかなり気持ち悪いわけですが(笑)、無視して論を進めます。

 このキャラクター大賞は投票によって決まり、フェスティバルで発表される有名なコンテストです。キャラクターの活用によって人々に訴求し、さらにロイヤリティを上げ、サンリオのブランディングを補強します。最強の方程式です。“キティちゃん”が世界のあらゆるところに“出没”するのはご存じの通りです。

 サンリオはさらに地方自治体や企業ともタッグを組み、彼ら/彼女らのPRを行っています。キャラクター=知的財産(intellectual property)を使った鮮やかなビジネスです。

 そこで考えたいのは、なぜここまで日本ではキャラクターが作られ、消費され、求められているのか、という点です。

■日本でのキャラクタービジネスが流行した理由

 まず消費と文化の観点からいえば、大きな話ではあるものの、先の大戦の敗戦があります。日本文化は、敗戦後にどうしても強くたくましい男性のキャラを作りにくくなりました。消費者からも潜在的に求められず、求められたのは、女性的なカワイさでした。

 企業も、もちろん例外はありましたが、強さと父性を感じさせるものより、母性を感じさせるキャラを使うことが需要にマッチしていました。フォルムが丸く、目が大きい主人公を擁したマンガが求められる土壌がありました。

 次に、演者としてもキャラクターを使う利便性がありました。たとえば、みなさんが企業でCMを担当しているとしてください。そのとき、芸能人をキャスティングすると不祥事を起こすかもしれません。もちろん賠償は契約に盛り込んでも、信頼を失うかもしれません。

 また、大きいのは「想定通りに伝えたいことを伝えてくれる」点です。企業が芸能事務所に趣旨を伝え、いざ撮影の場になったとします。それでも、そんな土壇場でもマネジメントや本人の意思で、特定の演出を断ったり、セリフを変えたりすることはあります。その点、キャラクターは、リスクの点では低いといえ、さらに商品展開も容易です。

 日本の経済は内需中心で、かつ民間消費が多くを占めます。大衆には、CM等を通じて企業や商品を身近に感じてもらう必要があります。自社商品とセットで映る何かが消費者と身近なほど、商品が売れるためです。もちろんその意味で芸能人も使われていますが、キャラクターも活用されてきました。

■キャラクタービジネスの日本とその後

 つまりキャラクター大国日本の成立は、文化的、かつ経済やマーケティング的にも必然だったのです。敗戦は哀しいことでしたが、キャラを使った世界制覇の文化と経済が成立したわけです。ハローキティとドラえもんとポケモンと集英社「ジャンプ」のキャラクターは、軽々と世界を制覇しています。自動車をはじめとする日本のお家芸のうち、家電は過去の栄光を失ってしまいましたが、アニメ・マンガから登場したキャラクタービジネスはいまだに他の追随を許してはいません。

 それにしても、海外を旅しても、これだけのキャラに囲まれた国はなかなかありませんよね。現在、日本は堕ちるとか経済的に絶望的だとかの論が蔓延しています。もう日本から優れた商品は生まれないのだと。私も一部に賛成しなくはありません。ただ、キャラクターに関しては随一の地位ではないでしょうか(このところドラマキャラに関しては韓国もすごいですけれどね)。私は、キャラをはじめとする独自文化を持つ日本が、それほどたやすく没落するようには思えないのです。

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