千葉vs埼玉の「関東第3位戦争」が終結?明暗を分けたのは鉄道だった

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2024年05月24日 09:20  日刊SPA!

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今年春のダイヤ改正で蘇我駅と東京駅を結ぶ京葉線の通勤快速が廃止となったニュースは記憶に新しい。ベッドタウンとして優秀なのは千葉か、それとも埼玉か。今回は事情に詳しいジャーナリストに解説してもらった。
さらに東京湾岸エリアで勃発した新タワマン争奪戦についても紹介。

◆ベッドタウン戦争は集結?鉄道が明暗分けた千葉・埼玉

千葉vs埼玉の「関東第3位戦争」も通勤快速で見ると決着が──。

千葉県では今年春のダイヤ改正で蘇我駅と東京駅を結ぶ京葉線の通勤快速が廃止となった。

12駅連続通過で特急並みの走りが売りの京葉線「通勤快速」。ディズニー客が誤乗車し、蘇我まで連れて行かれるエピソードは3月で過去のものに。

各駅停車より約20分も所要時間が短く、「通勤快速があるから引っ越したのに!」と沿線住民は怒り心頭。

鉄道インフラや都市計画に詳しいジャーナリストの小川裕夫氏が、解説する。

「通勤快速は内房線・外房線から京葉線に直通しているが、沿線の人口密度が大きく異なる。JRにすれば京葉線は稼げる一方、内房線・外房線は乗客数が少なく、稼ぐのに効率が悪い。だから、直通の通勤快速を減らしたかったというのが本音でしょう」

朝の京葉線通勤快速の始発駅・上総湊駅が立地する富津市の高橋恭市市長は、懸念を隠さない。「『東京に通勤快速で通うことができる』というアピールポイントを失ってしまう。今後、本市は人口維持が重要ですが、移住・定住促進施策への影響が心配されます」

一方で埼玉県には、大宮駅から東京・副都心を縦断する埼京線にも通勤快速が走り、こちらは運行本数日本一だ。

埼玉から都内への速達輸送を担う埼京線の「通勤快速」。対して日中の「快速」は’19年の改正で鈍足化。代わりに相鉄線への直通が新規に始まった。

「埼京線沿線には京葉線ほど各駅にタワマン需要はありませんが、対都心への速達需要があります。さらに、大宮以遠に熊谷や本庄早稲田などの新幹線駅もあり、ここから新幹線通勤するという手段もある。運賃は高額ですが、JRにすればありがたい話です」

◆快速廃止で困るのは“千葉都民”だけ

対する千葉県では一丸となってJRにNOを突きつけているが……。

新浦安駅や舞浜駅(浦安市)、海浜幕張駅(千葉市)からは林立するタワマンに暮らす多くの“千葉都民”が東京に通勤・通学する。千葉県の20の自治体がラッシュ時の快速廃止の撤回をJRに求めていたが、外房線が走る勝浦市の企画課政策推進課職員は、こう“実情”を明かした。

「長年にわたりJRの特急や便数が減ってきたので、特段のショックはない。勝浦駅から外房線に乗り、京葉線通勤快速を利用しているのは1日15人ほどですから」

快速問題に熱心なのはこの2市くらいと自治体間で温度差が透けて見える。小川氏が続ける。「内房線・外房線の沿線は人口減で、“限界ニュータウン”も増加傾向ですから」

タワマン住民の悩みも地に足ついた市民たちには無用な心配のようだ。

◆晴海・有明・豊洲新路線開業に沸くタワマン争奪戦!

東京湾岸エリアに、2つの新路線の計画がある。東京メトロ有楽町線・豊洲駅と半蔵門線・住吉駅を結ぶ「豊住線」と、東京都心と有明・東京ビッグサイトを結ぶ「臨海地下鉄」だ。既に、この路線に絡んだ不動産投資家たちがマンションの奪い合いが始まっているという。

「新規開通で湾岸エリアは、確実に土地価格、マンション価格ともに値上がりが期待されるからです」

そう話すのは住宅ジャーナリストの榊淳司氏だ。実際に湾岸エリアに95年に開通した「ゆりかもめ」は、16駅で新築供給された物件の多くが高い利益を出した、という“強い実績”を持つ。

過去の成功体験を鑑み、ゆりかもめの市場前駅や東京ビッグサイト駅の近辺に注目が集まっている。

◆豊住線と臨海地下鉄の開業で江東区の地価も激変か?

「今は交通が不便でさほど値段は高くなく、マンションの購入価格を低く抑えられます。ただ、臨海地下鉄の開通で化ける可能性は十分にあり、今後2、3年で売りに出される新築タワマンの先物買いが行われる。今、安いマンションを買って、あとで売る、というのでも十分利益は出ます」

不動産投資家たちが「狙い目」と沸き立つのもわかるが、臨海地下鉄が開通するのは’40年代半ば以降。新築で購入したタワマンも、売るときには築20年の中古物件になっているが……。

「新線が通れば高騰が期待できるし、少なくとも下落する可能性は低いでしょう。地下鉄開通の暁には、築20年くらいになっているが、買値で売れれば20年間の家賃がタダになったのと同じ。売却益は出なくても、うまみは大きい」

新線開業までまだ十数年。

湾岸エリアのタワマンの値踏みはもう始まっている。

【フリーランスライター・小川裕夫氏】
カメラマン。行政誌編集者を経て現職。鉄道インフラや都市計画、地方自治に精通する。『歴史から消された 禁断の鉄道史』(彩図社)、『全国私鉄特急の旅』(平凡社新書)など著書多数

【住宅ジャーナリスト・榊 淳司氏】
榊マンション研究所主宰。主に首都圏のマンション市場を分析し情報を発信。資産価値評価の有料レポートを提供する。『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)など著書多数

<取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/市橋俊介>

―[首都圏[鉄道(裏)バトル]大調査]―

このニュースに関するつぶやき

  • 東京のベッドタウンとしての魅力は埼玉に軍配を上げるが、県としての魅力は千葉。房総半島はつおい。
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