ドラマ「RoOT / ルート」土屋貴史監督インタビュー「オッドタクシーで描かれている少しヒリつく恐さを、より感じられるのではないかなと思います」

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2024年05月24日 18:01  ガジェット通信

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映画化、舞台化と展開してきたアニメ「オッドタクシー」の世界から新たに誕生したドラマ「RoOT / ルート」が毎週火曜深夜24:30 放送中です。 W主演に、ともに本作で地上波ドラマ初主演の河合優実と坂東龍汰という、最注目の若手実力派俳優の二人を迎え、漫画「RoOT / ルート オブ オッドタクシー」で描いている若手探偵コンビの奮闘劇を基に、ドラマオリジナルストーリーを展開。

Netflixにて見放題独占配信中とあり、深夜ドラマながら日別ランキングにて TOP10 入りするなど、まさに話題沸騰中の本作。数々のCMやミュージックビデオを手掛けてきた、土屋貴史監督によるクールな映像演出も魅力的です。本作へのこだわりについて、土屋監督ご本人にお話を伺いました!

――私はアニメのファンでもあるのですが、ドラマ「RoOT / ルート」とても面白くて感動いたしました。まず、監督は「オッドタクシー」という作品には最初どの様な印象を受けましたか?

キャラクターとストーリーのギャップがよく出来ていますよね。最初に思い出したのは、「ペンギンズ・メモリー 幸福物語」という古いアニメです。すごく可愛いペンギン達の物語なのですが、主人公は帰還兵で、戦争で負ったトラウマを持っているという設定で。「オッドタクシー」も同様に可愛らしいキャラクターとシリアスな設定の組み合わせが面白いなと思いました。1つのシチュエーションへの出入りが毎回ある、お笑いや漫才のように、「いざ、入っていく」感じも独特な印象でした。

――そんな作品を実写ドラマにするにあたりどの様なことを最初に意識しましたか?

(監督の)お話をいただいた時はアニメで描かれたストーリーの別サイトを描きたいということは完全に決定していて、自分は脚本から入っているのですが、アニメで起きた事象は変えないという整合性は守るべき点でした。最初の企画はもう少し小戸川自体が主人公的なキャラで、そこに探偵の話が加わる内容でしたが、予算やスケジュールを考えた時に再現性がなかった。いずれにせよ、アニメともう1回同じことをやっても絶対勝ち目がないし、もうちょっと違うアプローチだったり、違うインフォメーション、観た人が何かを持ち帰れるようなものをちゃんと作った方が良いという意見を出させてもらいました。そこのセッションが1番大変だったかもしれないですね。

――おっしゃるとおり、動物のキャラクターで描いていたものをそのまま人間のキャラクターがやっても全然違う印象になってしまいますものね。

全く違いますよね。アニメ表現、そしてあのキャラデザだから違和感がなかったものが、ダイレクトに出てきてしまうこともあれば、わかりづらくもなったり、下手するとアニメの内容を裏切る内容にもなる。その人自身にも人生がある俳優さんがお芝居することになるから、そこが難しいなと。脚本自体の作業はそこまで大変じゃなかったのですが、アニメとドラマのそうした観点での整合性もチューニングに苦労しました。

――本当に観ていてすごく面白いですし、感動しました。

良かったです。本作でいうと、例えば白川さんは出てきません。同じ世界線上には存在しているのですが、出してしまうとドラマで描きたい部分からブレてしまったりもするし、ボリューム上仕方なく落としている部分は多いです。

――雑居ビルにちらっと映る「カポエイラ教室」の看板であったり、そうやって「あ、いるんだ」と思えるところが素晴らしかったです。「ミステリーキッス」の仮面組は、生身の人間が演じているとすごく可哀想だなと思いました…!

アニメでは本人たちは不満を持ちつつもそこまで悲しい感じにはなっていませんでしたが、今回の撮影現場ではかなり可哀想な雰囲気になっていました。そのシチュエーションに俳優さんがつくと、アニメには無かった気まずさが生まれるのも、生身の人間でやるドラマならではだと思います。坂東さん演じる佐藤もひどい目にあいますが、「オッドタクシー」で描かれている少しヒリつく恐さというのをより感じられるのではないかなと思います。

――キャスティングについてはどの様にして決まっていきましたか?

脚本が1話2話ぐらいまで入った時に、同時並行で主演の方を探しておこうということになり、ちょうどその時期にキャスティングの東平さんが、『少女は卒業しない』という映画を担当されていたこともあって、自分も気になっていた河合さんにアタックしようと提案してくれました。河合さんに出ていただけることになって、対する相棒役を、坂東さんに打診しました。河合さんと同じ事務所だからオファーした訳ではなく、お芝居優先でのことで、皆さんそのように声をかけさせて頂き、結果的に地に足をついたお芝居をする方が集まりました。

――玲奈と佐藤の会話がリアルなトーンで展開されていくのも素敵ですよね。

その2人が喋っているだけで面白いという状態になっているのが一番理想だと思ったので、そう言っていただけるとありがたいです。顔芸的なドラマではないだろうし、僕自身がそういったドラマを観ても感情が動かないので、リアルの延長線であるお芝居を観たいと思って作っています。

――他にキャスティングで監督が「この方にお願いしたいな」という方はいましたか?

ドブ役の三浦さんは脚本を書く前に、「ドブは三浦さんでお願いします」ぐらいのテンションでいました。ご一緒してみたかったですし、ドブというキャラクターは実写でやる際に匙加減がとても難しいと思うのですが、上手く落とし込んでもらったと思います。

――映像がとてもカッコ良くて綺麗ですが、機材などは何か特別なものを使いましたか?

撮影監督の田嶌誠さんの選定で、メインカメラはSony のVenice(6kタイプ)、たまにfx3。レンズはViltrox のepicシリーズの×1.3のアナモフィックレンズ(35mm.50mm.75mm)とAtlasのanamorphic ×2。マクロレンズや、ライブのシーンは、実際のライブで使われるカメラも使っています。

――河合さんと坂東さんにお話を伺った際に「撮影と編集が同時進行していないことが贅沢だった」ということをおっしゃっていました。(https://getnews.jp/archives/3527036 [リンク]

準備をしっかりとして、ドラマの全話を1本のものとして作るイメージでした。編集時に全体を俯瞰しやすいので、緩急のコントロールや、ペースのブレも少ないのはメリットです。編集で元々別の回に入れていたシーンを、別の回に入れ直したりとか、そういうところまで調整できるのは良いところだと思います。尺が映画と違って、完全に決まっているので、ギリギリまで秒数を詰めないといけないということはありましたが、基本的には落ち着いて編集が出来ました。

――今回ドラマをやってみて、また作ってみたいなと思いましたか?

もちろんです。本作の様に一緒の方向性で作品作りが出来るスタッフ、理解のある俳優さんや皆さんとご一緒出来たら幸せだなと思いますね。今回は俳優さんも含め一緒に積極的に取り組んでくれるし、自由にもやってくれる人たちが多くて、こういう座組だったら何本でもやりたいなと思います。

――ぜひまた監督のドラマを拝見したいです。本作は毎週リアルタイムで観るも良し、イッキ見するも良しという魅力がありますね。

5話ぐらいまでは半分ブラックコメディーのテンションではあるんですけど、6話以降からはグッとシリアスな展開となっていきます。もうほとんど別のドラマなんじゃないかな?というくらいの変化が楽しめると思うので、ぜひ楽しんでいただきたいです。

――今日は素敵なお話をありがとうございました!

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