松下由樹、嫌われ役から『ナースのお仕事』まで幅広いキャリア 蟹江敬三の言葉が自信に

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2024年05月25日 09:10  クランクイン!

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松下由樹  クランクイン! 写真:高野広美
 シリアスからコメディまで幅広い演技を披露し、第一線で活躍し続けている俳優の松下由樹。『お終活』シリーズの第二弾『お終活 再春!人生ラプソディ』では、人々に寄り添う葬儀社の社員役を続投。新しい終活のあり方を楽しく提唱するシリーズの、大切な役割を担っている。若い頃は嫌われ役が続いたものの、ドラマ『ナースのお仕事』でイメージをガラリと変えることができたという松下。“人生百年時代”において「生涯現役でありたい」と話す彼女が、俳優業の転機や「すごく助けられた」という蟹江敬三さんへの感謝を明かした。

【写真】『ナースのお仕事』『大奥』『北見志穂』――代表作を数多く抱える松下由樹

◆高畑淳子、橋爪功らベテラン陣との共演は刺激になることばかり!

 シニア世代に笑顔と勇気を与えた前作に引き続き、高畑淳子と橋爪功が夫婦を演じる本作。熟年夫婦の悲喜こもごもや親子の葛藤、介護の本音など、実力派俳優陣が集結して“人生百年時代”の人間群像劇を描く。剛力彩芽や水野勝、西村まさ彦、石橋蓮司、藤吉久美子、増子倭文江ら前作からの『お終活』ファミリーに加え、長塚京三、凰稀かなめ、藤原紀香、大村崑ら個性豊かな面々が顔を揃えている。

 ベテラン陣が魅せるコミカルかつ味わい深い名演が大きな見どころで、松下も「これだけの先輩方と共演させていただける作品って、なかなかないですから。今回もお話をいただけて大変うれしいです」と続編が叶ったことに感激しきり。

 「橋爪さん演じるキャラクターのとぼけた雰囲気もユーモアがあって面白いですし、高畑さんもとにかくエネルギッシュ。お二人とも役作りのように見せないと言いますか、どこから演じているのかわからないくらい、自然と『お終活』の世界に入っていくんです。『ご近所の話だ』と思えるような“日常にいる人”を自然かつ魅力的に演じられるというのは、本当にすごいこと。また今回、高畑さんはシャンソンを披露されているんですが、『緊張するわ』と言いながらも、ダイナミックに、それでいて落ち着いて、心を込めて演じられていました。そういった姿を見ても、とても刺激を受けます」と撮影風景を見るだけでも、「ものすごく面白い」と胸が躍るような気持ちがするという。


◆“人生百年時代”、生涯現役を希望「いつまでも元気で、滑舌良くセリフを言える役者になっていけたら」


 松下が演じるのは、一級葬祭ディレクターの桃井梓役。終活とはどのようなものなのか、劇中の人物だけでなく、観客にも丁寧に指南してくれるような役どころで、劇中では「残された年月はまだまだある。もう一度、夢に挑戦してみてはいかがでしょうか」と“再春”を勧める場面もある。松下は桃井役を演じることで、終活に対する考え方が変わったと告白する。

 本シリーズで提唱されている終活は、「死へと向かう準備ではない」と松下。「“人生百年時代”をどのように生きていくのか。年齢に応じて、残りの人生をより豊かにするためにはどうすればいいかと考えることも、終活なんですね。葬儀社の方の説明を聞いたり、香月秀之監督の思いを伺っていると、改めてそう感じています」としみじみ。

 「以前は、葬儀社というと縁起が悪いとか、みんなが敬遠するような場所といった、ネガティブなイメージを強く持っていました。でも実際に葬儀社の方からレクチャーを受けてみると、お見送りの準備をしてくれるプロフェッショナルであるだけではなく、日々の生活に寄り添っていただける方たちなんだと思って。困ったことや、わからないことがあれば、相談に乗ってもらえるんだと思うと、もっと葬儀社を身近に捉えていいんだなと感じました」と身をもって変化したイメージを、役柄に注いでいるという。

 “人生百年時代”を、50代に突入した松下自身はどのように生きていきたいだろうか。「“人生百年”と考えると、すごく長いなと思いますよね。70歳になったとしても、まだあと30年もあるわけですから」と切り出した松下は、「私の場合は、ありがたいことに年齢で終わりを迎えることがない職業に携わらせていただいていて。今回もそうですが、諸先輩方とご一緒させていただくと、皆さん本当にお元気なんですね。生き生きとした演技も、枯れた演技も、どんな演技だって自由自在。肉体を使って、そのキャラクターの心の機微を表現できる。これは絶対にAIには敵わない仕事だと思います。“人生百年時代”、いつまでも元気で滑舌良くセリフを言える役者になっていけたらいいなと思っています」とにっこり。「今回は大村崑さんも出演されていますが、92歳になられたそうです。すごいですよね!」と声を弾ませながら、「そう思うと50代なんて、まだまだこれから。生涯現役でいられたらいいなと思います」と朗らかな笑顔を見せる。

◆40年以上にわたる俳優業の転機は? 「蟹江さんの一言が自信につながりました」


 松下は1983年に『アイコ十六歳』で映画デビューし、40年以上にわたって第一線で活躍してきた。「若い頃は、嫌われ役が続くこともあった」と吐露するが、とりわけ『想い出にかわるまで』で今井美樹演じる姉の婚約者を強引に奪おうとする久美子役は、強烈なインパクトを残した。松下は「取材を受けたり、街で出会う方からも、私に対しての“嫌いオーラ”が伝わってくるんですよ」と笑いながら、「当時は私も年齢が若かったので辛いなと思うこともありましたが、同時に今井美樹さんや石田純一さんも辛かったと思います。それだけ視聴者の皆さんがドラマをしっかりと観てくださったということでもあるので、今ではありがたく、役者冥利に尽きることだなと感じています」と嫌われ役も、今では財産の一つになっていると話す。

 そんな中、転機となったのが観月ありさと抜群のコンビネーションを見せたドラマ『ナースのお仕事』で、「そこで一気に、皆さんが親近感の湧くような先輩の役をやらせていただいた。イメージの転換があった」という。さらに2001年に始まったバラエティ番組『ココリコミラクルタイプ』も大きな転機になったと続け、「バラエティ番組におけるコントという枠でありつつ、現場ではドラマと同じようにお芝居をやっていました。短い時間でいろいろな人を演じさせていただき、とても勉強になりましたね。あの番組のコントでは、カットをかけずに最後まで演じ切るんですね。NGが出たら、もう一度最初からやり直し。まるで舞台のようで、集中力や瞬発力を培うことができました」と役者として鍛えられたとも。

 俳優業の醍醐味は「この職業に就いていなければ、触れることもなかったような世界を知ることができる。多くの方と出会うこともできる」という松下だが、刑事ドラマ『おとり捜査官・北見志穂』シリーズで16年も相棒役として共演した俳優で、2014年3月に亡くなった蟹江敬三さんは、「背中でたくさんのことを教えてくださった方」だという。

 「蟹江さんは本当に頼もしくて、私はいつも甘えていたなと思います。芝居へと切り替わる瞬間が、本当にステキで。背中からも、ふっと空気が変わるのがわかるんです。“背中で演じる”ということを目の当たりにしながら、『ああなりたい』と常々感じていました。普段は照れ屋さんで多くを語るような方ではないので、私はそんな蟹江さんをツンツンと突っついてからかったりして」と楽しそうに目尻を下げ、「私が演じる北見は、蟹江さんがいたからこそ存在することができた。長くバディを演じさせていただけて、本当に感謝しています。私が『ココリコミラクルタイプ』をやることになった時も、蟹江さんが最初に『面白いじゃないか』と褒めてくださったんです。新しいことを始めて不安だったものが、蟹江さんの一言で自信につながりました」とすばらしい出会いに思いを馳せていた。(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)

 映画『お終活 再春!人生ラプソディ』は、5月31日より全国公開。

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