愛知で「介助犬フェスタ2024」が開催 - 介助犬の役割とは?

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2024年05月27日 12:21  マイナビニュース

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日本介助犬協会は18日、愛知県の愛・地球博記念公園にて「第14回 介助犬フェスタ2024」を開催。手足に障がいのある人の日常生活をサポートする”介助犬”の理解と支援を呼びかけた。


○■街で介助犬を見かけたら?



本イベントは「見る、知る、感じる、そして楽しむ!」をコンセプトに、介助犬について楽しく学べるフェスタ。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2020年から2023年まではオンライン中心で開催してきたが、今年は5年ぶりの現地開催となった。


介助犬は、手足に障がいのある肢体不自由者をサポートするのが主な役割。具体的には、落としたものを拾う、靴や靴下を脱がせる、緊急時(転倒など)には携帯電話を持ってくる、といった介助作業を行う。介助犬支援の輪を広げるため、協会ではこうしたイベントを定期的に開催している。


会場では衣類、小物、雑貨などのチャリティーグッズを販売した。またチャリティーラッフル(抽選で景品が当たる募金)も実施。あちらこちらで人と愛犬が交流する様子もみられた。


社会福祉法人 日本介助犬協会の渡邊真子さんに話を聞いた。同協会は愛知県長久手市と神奈川県横浜市に拠点を持ち、全国規模で介助犬普及活動を行っている。「毎年5月22日の「ほじょ犬の日」にあわせて、この時期にイベントを開催しています」と渡邊さん。


介助犬の犬種に決まりはない。ただ力仕事を任されることも少なくなく、そのためラブラドールレトリーバー、ゴールデンレトリーバーなどの犬種が必然と多くなるそうだ。ちなみに介助犬は現在、全国に50数頭しかおらず、圧倒的に数が足りていない状況とのこと(2023年10月現在)。


介助犬は、普段、どんな訓練をしているのだろう? たとえば盲導犬なら「目が見えない人」のため、聴導犬なら「耳が聞こえない人」のため、あらかじめ困りごとを想定して訓練を行っている。しかし介助犬は、脊髄損傷の人、生まれながらに難病の人、交通事故に遭った人など、様々な症状の人のもとで活躍する。このため、基本的にはオーダーメイドで訓練を行っているという。



「障がいの程度、身体の状況、当事者のニーズによって介助犬が担う作業内容は変わってきます。重度の人にはもちろん、軽度の人にもお役に立てることがあります。国内には、まだまだ介助犬が日常生活をサポートできるはずの人がたくさんいらっしゃいます。協会でも、そのあたりの情報を積極的に発信して、皆さんの理解促進をはかっていきたいと考えています」(渡邊さん)

これは残念なことだが、介助犬を連れて街の飲食店に入ったときに利用を断られてしまう、なんてケースが世の中にはまだ存在する。先の「身体障害者補助犬法」は、補助犬同伴者の受け入れを義務付けたもの。利用者にも補助犬の適切な行動や管理を義務付けており、補助犬の身体は清潔に保つこと、狂犬病などの予防接種は定期的に受けること、なども法律で明記されている。



では私たちが街中で介助犬を利用している人を見かけたとき、できることはあるだろうか? そんな問いかけに、渡邊さんは「お仕事中の介助犬には声をかけたり撫でたりせずに、そっと見守ってもらえたらと思います。ただ、介助犬が全てのことをサポートできるわけではありません。何か困った様子があれば、その利用者に「何かお手伝いしましょうか」と、ひと声かけていただければと思います」と話す。


「まずは皆さんに、介助犬について知っていただけたらと思います。私たちも、こうしたイベントなどを通じて啓発活動を続けていきます。実は介助犬の育成費用の90%以上は、皆さんからの寄付で成り立っています。店頭に置いてある募金箱に寄付する、チャリティーグッズを購入する、日本介助犬協会の個人会員になるなど、寄付にも色んな形がありますので、ぜひ協会のホームページを見て応援いただけたら嬉しいです」(渡邊さん)

○■介助犬のデモに大きな拍手



イベントの特設ステージでは、協賛企業である全国共済農業協同組合連合会(JA共済)による介助犬のデモンストレーションも行われた。車イスに乗っている女性が、介助犬を連れて外出するシーンを想定した内容だった。以下、簡単に紹介しよう。


冒頭、車イスの利用者が声をかけると、介助犬は口でタンスの引き出しを開けて「介助犬」と書かれた胴着を引っ張り出して利用者に渡す。その後、口で引き出しを閉めると、車イスに上半身をあずけて胴着を着せてもらうのだった。


また駅に着くと、利用者の落とした定期券を口で拾い上げた。自動改札では車イスの先頭に移動し、自身は後ろに後退しながら一緒に自動改札を通った。ここで観客からは大きな拍手。


このあとも喫茶店の店内では利用者が敷いたマットの上で行儀よく眠り、自宅で利用者が車イスから転げ落ちてしまったときは机の上に置いてあったスマートフォンをくわえて利用者のもとまで運んだ。人の急なアクションにもうろたえず、ひと吠えもせず、冷静な判断と的確な動作で利用者をサポートする姿に、観客は繰り返し拍手をおくった。


デモのあと、ステージには介助犬サポート大使の安藤美姫さんが登壇。チャリティーラッフルの当選者に、自身のサイン入り書籍を手渡しでプレゼントするひと幕もあった。


近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら(近藤謙太郎)
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