【漫画】幕末にやってきた巨大な“空来船”に蒸気で立ち向かう侍ーー『空来船打払令』に「いいね」殺到

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2024年05月27日 16:20  リアルサウンド

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『空来船打払令』より

 幕末にやってきた巨大な“空来船”に蒸気で立ち向かう侍ーー。ありそうでなかったSF漫画『ペリーの代わりにヤバい船がやってくる話』がXで約6万のいいねを集めている。


(参考:ロマンに溢れすぎた漫画『空来船打払令』を読む


 本作は「月刊ヤングマガジン」で連載中の加藤文孝さん(@katofumitaka)による『空来船打払令』序盤から転載されたもの。このユニークな世界観や設定、緻密さとダイナミックさを感じる作画はどのように生み出されているのか。作者本人に話を聞いた。(小池直也)


――約6万のいいねが集まっていますが、これについてどう捉えていらっしゃいますか? 


加藤文孝(以下、加藤):「ペリーの代わりにヤバい船がやってくる話」という友達に話しかけるような簡潔なポストが、気軽でよかったのだと思っています。またXはその日の空気が表れやすい場所で、今回のポストはその日の空気も捉えていたとも感じました。


――改めて本作の着想を教えてください。なぜ甲冑やロボットなどを使わないスチームパンクを描こうと思ったのでしょうか?


加藤:打ち合わせの際に上がった「侍vsエイリアン」と「江戸時代に産業革命がが起こったら」というアイデアを掛け合わせたものが今作になりました。説得力があればロボットも出てよいと思います。


 あと読みやすさを考え、街並みや衣類などあまり時代劇になりすぎないように意識しています(たすき掛け、なまこ壁、のぼりなどは意識して省いております)。甲冑を出さないのはそこから来ているのかもしれません。


――黒船の代わりに謎の空来船が来る、という世界観については?


加藤:これも「侍vsエイリアン」という設定が生きています。僕自身もギャップが好きで、侍とメカ、江戸城と宇宙船などあまり見たことのない組み合わせを見ると脳が気持ちよくなります。


――個人的には人間がテクノロジーを使ってAIと戦うかのようなイメージが浮かびました。現代においても希望を感じさせる物語だと感じます。


加藤:今は役に立たなくても、備えることの大切さを意識しました。備えている人はチャンスや奇跡、偶然が起こる確率が格段に上がるはずですから。これはいつの時代でも変わらないことだと思うんです。主人公の浜辺での日々の鍛錬と、もうひとりの主人公の日々の研究が出会って結果を出していく展開にしました。


 両者の共通点はひたむきさ。タイパを求める現代ですが、作り手は結局のところコツコツやるしかありません。また、今回反響をいただいたポストも、作家の想いをどうやって多くの読者に届けたらよいかという編集者の日々の悩みが呼び寄せた結果だと感じています。僕につきましては、漫画を描いていない時期も資料集めはやめませんでした。もう習慣化していただけなのですが(笑)。


――空来船に切りかかるコマ「今年の見開き絵 of the yearは、このコマに贈りたい!」とヤンマガニュースで紹介されていました。


加藤:コマの大きさと想いは比例していて見開きは全部力を込めております。特に「侍の時代は終わらないよ」の見開きには「自分が終わったと思わなければ終わらない」という気持ちが強いです。


――書き込みの細かい作画も印象的ですが、作業はどのようにされていますか?本作の制作にどれくらいかかったかも気になります。


加藤:作画期間につきまして、1話につきましては約2カ月かかっています。作業は写真を撮ってきたり、模型を作ったりして、デジタルならではの作画方法を試行錯誤しながら楽しんでおります。まだまだ進化できると考えていますよ。


――コミックスの第2巻も先日発売となりましたが、そちらの反響はいかかですか。手応えなどもあれば教えてください。


加藤:今回のポストで反響をいただいて、なんとか見つけていただけたという感覚です。2巻ともやっと読んでもらえたと思っています。


――憧れ、影響を受けた作品や作家は?


加藤:大友克洋先生、宮崎駿監督、moebiusさんです。


――作家としての展望、なりたい作家像を教えてください。


加藤:最近は価値観の変化が速すぎるので、あまりこうなりたいと意識せずに自分が楽しめているかを軸にコツコツやっていきたいと思っています。


(小池直也)


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