「何ができたか考えて」=高校生の息子失った母―3教諭、30日判決・那須雪崩事故

3

2024年05月29日 07:31  時事通信社

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

時事通信社

那須雪崩事故で亡くなった息子の帽子を手に、仏壇の前に座る浅井道子さん=14日、栃木県那須塩原市
 栃木県那須町で2017年、登山講習会に参加した県立大田原高校の生徒ら8人が死亡した雪崩事故で、業務上過失致死傷罪に問われた男性教諭3人の判決が30日、宇都宮地裁である。事故で息子を失った浅井道子さん(58)が判決を前に取材に応じ、「安全のために何ができたのか考えてほしい」と訴えた。

 浅井さんの長男で同高校2年だった譲さん=当時(17)=は17年3月、山岳部員として講習会に参加。講習3日目、雪をかき分け踏み固めながら歩く「ラッセル訓練」をしている最中に雪崩に巻き込まれた。職場にいた浅井さんが事故を知ったのは、長女からの連絡だった。搬送先の病院に行くと、冷たくなった譲さんが横たわっていた。「この子の人生はこんな一瞬で終わってしまうのか」と目の前が真っ暗になった。

 教諭3人は、校長とともに事故後2回、自宅に弔問に訪れた。仏壇の前で「申し訳ございませんでした」と手を合わせたものの、在宅起訴されて以降は姿を現すことはなく、不信感が募った。

 22年10月の初公判で3人はいずれも「雪崩発生は予想できなかった」として無罪を主張。浅井さんは「どうしてそこまで無罪を主張するのか」と怒りと疑問が湧いた。

 「譲はどんな思いで登ったのか」。浅井さんは事故後、同校の現役山岳部員らと一緒に各地の山に登り始めた。これまでに登った回数は15回。重ねるにつれ「安全の意識が高ければ事故は防げたかもしれない」との思いが強くなった。

 23年12月には被害者参加制度を利用して法廷で意見陳述し、安全意識が大きく変わった同校山岳部の状況を語った。判決を前に「事故が起きてしまったことは変えられない。私が望むのは一緒に山に出て、安全登山のために何ができたのか、それぞれに向き合って考えてもらうことです」と話した。 

このニュースに関するつぶやき

  • それなら裁判で聞くこともないと思うけね。事故、自然災害であって事件ではない。罪に問うのは難しい。
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(2件)

ニュース設定