DVで妻子が家出しても「俺は間違ってない」と怒る夫。ある日“上司の言葉”で目が覚めた<漫画>

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2024年05月29日 09:00  女子SPA!

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「お前ってホント無能だよね。よかったね 専業主婦になれて」「ベッドで癒してくれない? じゃあもう風俗に行けってことだな」「なにその服? もう少し体型戻さないと似合わなくない?(笑)」

 エリートを自負する会社員・翔は、こんな言葉を妻にかけるのが日常。相手を傷つけている自覚は全くありません。妻の彩はある日、自分がモラハラ・DVの加害者だと気づき、娘を連れて家を出ていきます――。

「モラハラ夫は変わらない」と世間で言われてる中、変わりたいと必死でもがく、モラハラ“加害者”の視点を描いたコミック『99%離婚 モラハラ夫は変わるのか』(KADOKAWA刊)。「嫌な夫にやり返す単なるスカッと漫画ではない」「我が家の状況と同じ」と、大きな反響を呼んでいます。

 モラハラ・DV加害者のための変容支援コミュニティGADHAを主宰する中川瑛(なかがわ・えい)さんによる原作を、3人の子どもを育てるマンガ家でシングルマザーの龍たまこ(りゅう・たまこ)さんが漫画化した話題作を、出張掲載。おふたりに、本作の見どころについて語ってもらいます(以下、KADOKAWAの寄稿)。

◆人は失敗するし、誰もが不完全。しかし学ぶことができる

――お二人がこの作品を通じて伝えたかったことを教えてください。

原作・中川瑛さん(以下、中川):人は学び変わることができるということ、全てはこれに尽きます。被害者の方がそれを支援する義務も責任もない。でも、人は学び変わることができる。そう信じることのできない社会は、結局のところ、誰かの過ちを、死刑にすること、あるいは隔離することでしか対処できなくなると思います。

 人は失敗します。誰もが不完全です。しかし学ぶことができます。誰かの傷つき、そして自分自身の傷つきを大切にし、自分のことも相手のことも大切にできるようなコミュニケーションを、関係の作り方を学ぶことができます。それは、奇跡のようなことです。

 人生は苦しい。親を選ぶことはできない。今回もまさに翔は親の悪影響をしっかりと描きました。あのような親と生きていくことは、恥と無能感によるコントロールを受け、それから逃れるためにこそ結果を出し続けなければならない人生、逆に言えば結果を出せば生きていいと許可を得るような人生を生きてきたということです。

◆真っ直ぐに努力した結果、加害者になっていく人たち

中川:養育環境や、教育・職場などによって身につけてしまう加害的な信念を「成長」「自立」と信じて、そして真っ直ぐに加害者になっていく人がたくさんいます。努力して加害者になるのです。これはある種の不条理であり、僕は加害者が何もかも悪い最低な人間だとは思っていません。しかし、加害者になってしまう。そこには被害者がいる。その傷つきには責任を取らなければならない。

 自分一人のせいではないとしても、その傷つきには自分自身が責任を引き受けなければならない。不条理だと思うのです。もちろん被害者の傷つきを考えれば、被害者の方が不条理だし、苦しんできていると言うのは大前提なのですが。

 この社会において被害者支援の言葉がたくさんあるからこそ、僕は加害者の希望、加害者の生きる理由、加害者の償いの仕方、加害者が生きていて良い理路、それらをメッセージとして社会に発信したかったのです。逆の言い方をすれば「加害者は、死ねば、不幸そうに俯いていれば、許されるということさえない」という、あまりにも厳しいメッセージでもあるのかもしれません。

 加害者は、自分のことも他人のことも大切にできるような人間関係を作る責任を持っています。たとえ、必ずしも直接被害者の方から許されたり、関係の継続をしてもらえたりはしないとしてもです。パートナーシップ以外でも、自他を大切にできる人間関係を通してケアを交換しあい、この社会を生きやすいものにし、自分と同じような加害者をこの社会から減らしていき、未来世代が生きやすいようにしていく。そして、そのような関係を生きる時、加害者自身も生きやすくなっている。そんなふうに生きていく責任を加害者は持っていて、それは可能であるということを、僕は発信していきたいと思っています。

漫画・龍たまこさん(以下、龍):「人は学び変わることが出来る」という一点に尽きます。人は間違える。だけど、そのたびに学びなおせばいい。「自分も他者も大切にする生き方」を知れば、変わることが出来る。それはわたしにとっても希望だし、多くの人にとって希望になるのではないかと思っています。

◆二度と妻子に会えなくなった“上司”の言葉

――だんだんと変わっていく翔、翔の変化を戸惑い恐れながらも感じていく彩や娘の柚。翔の変化のきっかけとなった会社の上司や後輩、そして両親……。多くの人が登場しながら話は進んでいきますが、お二人の中で印象に残っている、好きなエピソードはどの場面でしょうか。

中川:僕は130ページで上司の鳥羽さんが「それが子どもと話した最後になるかな」と言う場面です。GADHAには、鳥羽さんのような人がたくさんいます。加害を自覚して、変わろうとしたし、今も変わろうとしているけれども、もうパートナーからもお子さんからも関係を断絶されているケースです。

 僕は、そのような状況の人の話を聞くと本当に胸が苦しくなります。1つには加害者のその苦しみに、そしてそれ以上に、関係を断絶するしかないと思うに至るまでに傷ついてきたパートナーやお子さんのことを思うからです。そういう人の中には、もはや加害者変容をする意味がないではないかと思う人もいます。そう思う気持ちは自然なことだと思います。変わったって何したって、意味ない。自分は一人で孤独に死んでいくんだ、と。腐る気持ちもわかります。

 しかし、鳥羽さんのように、自分の過ちを元に、関わる人たちを、生きやすくするために何か働きかけることはできると思います。そしてそれが、多くのケアの循環や往復を生み出すことになり、いつか、もう会えないパートナーやお子さんにも、その優しい関係性が届くかもしれません。綺麗事かもしれませんが、そんなことがあると信じて、人は学び変わっていくことができると願っています。そのような意味で、このエピソードは僕にとってとても特別で重要な場面でした。

龍:わたしも上司の鳥羽さんとのエピソードです! 描いてて楽しかったキャラクターですし、自分の経験から翔にアドバイスをする場面でも、決して上から目線で自分語りではなく、丁寧に言葉を選ぶ感じ……好きです(笑)。実際はなかなかこういう人いないかもしれないですけど、本当にいたらいいなぁ〜と思うキャラでした。
【龍たまこ】
3人の子どもを育てるマンガ家。1981年生まれのシングルマザーで、保育士の資格を持つ。ライブドア公式ブログ「新・規格外でもいいじゃない!!-シングルマザーたまことゆかいな子ども達-」をほぼ毎日更新中。著書に『規格外な夫婦~強迫症夫と元うつ病妻の非日常な日常~』(宝島社)、『母親だから当たり前? フツウの母親ってなんですか』(KADOKAWA)。X(旧Twitter):@ryutamako、Instagram:@ryu.tamako2

【中川瑛】
モラハラ・DV加害者変容に取リ組む当事者団体「GADHA」代表。妻との関係の危機から自身の加害性に気づき、ケアを学び変わることで、幸せな関係を築き直した経験から団体を立ち上げる。現在は加害者個人だけではなく、加害的な社会の変容にも取り組んでいる。著書に『孤独になることば、人と生きることば』(扶桑社)、『ハラスメントがおきない職場のつくり方 ケアリング・ワークプレイス入門』(大和書房)。X(旧Twitter):@EiNaka_GADHA

<構成/女子SPA!編集部>

【女子SPA!編集部】
大人女性のホンネに向き合う!をモットーに日々奮闘しています。メンバーはコチラ。X:@joshispa、Instagram:@joshispa

このニュースに関するつぶやき

  • 妻側もDV気質で、お互いにDVをしあってたというオチはあると思うんだけど・・。
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