「わからないことはAIに聞けばいい」メディアアーティスト・落合陽一流、生成AIの活用法

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2024年05月29日 09:01  日刊SPA!

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日刊SPA!

著者・落合陽一氏
 生成AIの進化で、新たに注目されるのが「独学」の重要性だ。自分の思考を深めたり、新たな知識を吸収したりする上で、生成AIは大きく役立つ存在となるにちがいない。
 今後、生成AIの利用によって学習方法はどう変化していくのか。また、学ぶ人と学ばない人の間でどのような差が生まれるのかを、メディアアーティストの落合陽一氏に聞いた。

 本記事は、『落合陽一責任編集 生成AIが変える未来 ー加速するデジタルネイチャー革命ー』の一部を抜粋・編集してお届けする。

◆わからないことは、AIに聞く時代へ

 教育面での生成AIの発達による大きな変化と言えば、以前よりも格段に「学習」が容易になった点でしょう。

 従来ならば、学校の先生に聞いていたところ、ChatGPTをはじめとする生成AIに質問することが可能になりました。数年前はAmazonのAI音声認識サービス・Alexaに「Alexa、算数を教えて」と話しかける子どもが大勢いたように、今後は生成AIに算数の解き方や疑問点を聞く子どもたちが増えていくのではないでしょうか。

◆スポーツも生成AIに学ぶ

 勉強だけではなく、スポーツも同様です。現代の子どもたちはサッカーを動画で学びますが、今後10年間で子どもたちはAIから体の動かし方やトレーニング方法、サッカーの仕組みなどを学ぶようになると僕は思います。

 現代では「わからないことがあればググればいい」と言われますが、今後は「わからないことがあれば、AIに聞けばいい」との考え方がスタンダードになっていくはずです。

◆生成AIの独学は大人もするべし!

 勉強に生成AIを活用するべきなのは、子どもだけではありません。大人でも、自分のわからないことや自分にできないことがあれば、AIにどんどん質問し、独学を深めてほしいと思います。

 仮に英語をはじめとする自分が読めない外国語で書いてある論文であっても、生成AIに聞けば、日本語に翻訳してくれるし、なんなら要約だってしてもらえます。

◆生成AIで、誰もが自分の「技術的負債」を解消できる

 僕自身も、毎日自分の知らない知識を埋めるため、生成AIを活用しています。僕はこれを「技術的負債の棚卸し」と呼んでいます。僕にとっての「技術的負債」とは、自分が日常で触れた技術なのに、自分ではつくれない技術のこと。

 新たに読んだ論文に書かれた知らないコードからファミレスで目にしたタッチパネルのコードまで、毎日一個は新たな技術的負債を見つけて、解消するようにしています。コードであれ、ハードなデバイスであれ、作り方がわからなければ、生成AIに聞けば、作る方法や必要な素材を教えてくれます。
 
 世界が毎日進歩している以上、新しい技術は生まれ続けます。現在のようにリカレント教育が重要視されている時代は、その「負債」を埋める人と埋めない人の間では、大きな差が生まれていくでしょう。

文/落合陽一 構成/日刊SPA!編集部

【落合陽一】
筑波大学でメディア芸術を学び、2015年東京大学大学院学際情報学府にて博士(学際情報学)取得。現在、メディアアーティスト・筑波大学デジタルネイチャー開発研究センター長/ 図書館情報メディア系准教授・ピクシーダストテクノロジーズ(株)CEO。 応用物理、計算機科学を専門とし、研究論文は難関国際会議Siggraph などに複数採択される。令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰、若手科学者賞を受賞。内閣府、厚労省、経産省の委員、2025年大阪・関西万博のプロデューサーとして活躍中。 計算機と自然の融合を目指すデジタルネイチャー( 計算機自然)を提唱し、コンピュータと非コンピュータリソースが親和することで再構築される新しい自然環境の実現や社会実装に向けた技術開発などに貢献することを目指す。

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  • おっちーのヘアースタイルは、サムライをイメージしたのかなぁ?
    • イイネ!2
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