岩渕真奈がパリ五輪に挑むなでしこジャパンを考察「キーマンは?」「期待する選手は?」

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2024年05月30日 17:40  webスポルティーバ

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web Sportiva×BAILA special collaboration
feat. 岩渕真奈(元なでしこジャパン)後編

 女性向けメディア『BAILA』とのコラボ企画の後編(@BAILAでも異なる内容のインタビュー記事を配信)。女性誌で活躍中のヘア&メイクアップアーティスト、スタイリスト、カメラマンが撮影を担当した。

       ※     ※     ※     ※

前編◆元なでしこジャパン・岩渕真奈が語る引退後の変化>>

中編◆岩渕真奈が30歳で引退を決断したワケ>>

 昨年までともに戦ってきた仲間が、パリ五輪の出場権を獲得した。そのとき、岩渕真奈は彼女たちをあと押しすべく、解説者として国立競技場にいた。

 岩渕自身は、銀メダルを獲得したロンドン五輪、そして出場権を逃したリオデジャネイロ五輪のあと、自国開催の東京五輪と2度、この大舞台に立ってきた。今回は、送り出す立場となった彼女の目に、現在の"なでしこジャパン"はどう映っているのだろうか――。

――リオデジャネイロ五輪の出場を逃し、アジア予選を勝ち抜いて五輪切符を手にしたのは、ロンドン五輪以来。最後はホームの国立競技場で出場権を獲得し、リオの予選を戦っていた当時の面々からは「ホッとした」という声を耳にすることがありました。岩渕さんは今回の予選突破を見て、どう感じましたか。

岩渕真奈(以下、岩渕)個人的には、(リオの予選を戦った)当時の人たち――私もそのひとりではありますが、責任を感じることはないと思っているんです。確かにリオに行けなかったことで、なでしこジャパンの人気は落ちたかもしれないけど、その後、しっかり勝てるチームになっていたら、何の問題もなかったわけですから。

 また、自分自身は2011年のワールドカップで優勝したときもそうですが、オリンピックの予選敗退とか、現役時代はいろいろなものを背負いすぎて苦しかったので、今の選手たちはそうしたことは気にしなくていいんじゃないかって思っています。「女子サッカーのために......」って、若い選手が言っているのを聞いたりすると、もちろんそれは大事なことなんですけど、「そこまで背負う必要はないよ」って思う。

 自分が楽しんでプレーしている姿を見せることこそが、絶対に女子サッカーの発展につながるし、いろいろと(責任を)背負うことを一番に持ってくる必要はないんじゃないかな、と。自分が引退して、それらを下ろすことができて(気持ちが)ラクになれたからこそ、なおさらそう思います。

――岩渕さんがそういうことを若い世代に伝えられる機会があるといいですね。

岩渕 私から伝えるまでもなく、世代が変われば自然と変化していくと思いますよ。

――パリ五輪において、岩渕さんがキーマンになると思う選手は誰でしょうか。

岩渕 田中美南を挙げたいですね。やっぱり点を取らないと勝てないですから。オリンピックともなれば、チャンスはそう多くはないから、その少ないチャンスをゴールに一番近い人がどれだけ決められるか。そこに、かかってくると思うので。

――田中選手はよく気が利いてしまうので、自ら前線から落ちてきてリズムを作ることも厭わないのですが、4月にアメリカで行なわれたSheBelieves Cupでは「自分が点を取る!」と言って、有言実行していました。

岩渕 いいことだと思います。そういう強気な姿勢は昔からあるにはあったんですけど、国内で結果を出しても代表に入れなかったりして、なかなかそれが表に出てこなかった。でも、いろいろと経験して今、自信をつけている。ミナ(田中)にとって、今大会はとてもいい状態の時期にあると思うから、自分は応援したいんですよね。

――他に期待している選手はいますか。

岩渕 熊谷紗希しかいないでしょ! 完全に個人的感情ですけど(笑)。ここ何試合かを見ても、たぶん彼女自身、うまくいっていない感覚があるんだろうな、というのは感じます。だからこそ、頑張ってほしい。

 彼女がこれまでに(なでしこジャパンで)やってきたことって、ほかの選手みんながオリンピックで「彼女に勝たせたい」「彼女のために」って思って戦ってもいいくらいのことだと思うんですよ。そのくらい、どんな時も代表のことを考えて、チームの雰囲気作りをしてきた選手です。

 みんなにはそんな紗希への想いを原動力にして頑張ってほしいし、紗希には今回のオリンピックですべてを出しきってほしい。

――長く代表を形作ってきた選手が抜けて、世代交代後、熊谷選手に求められるものが一気に増えてしまいました。

岩渕 まあでも、彼女はそこまで重く捉えていないから、大丈夫ですよ。紗希はそういうとこズルいんですよ! すごく考えているように周りから見られているけど、実際は深く考えてないですから(笑)。

――それが、彼女のいいところでもあります(笑)。さて、オリンピック本大会まで、約2カ月。12カ国しか出場できないことで、グループリーグから熾烈な戦いになることは明らかです。チームにとって、選手にとって、ここからの時間、何が大事になってくると思いますか。

岩渕 それはもう、絶対にゲガをしないこと! でも、すでに欠かせない当確の選手もいれば、(メンバー入りできるか)当落選上の選手もいるわけじゃないですか。そういう意味では、この時期って本当に難しいんですよね。

"チーム"を作る時間は、おそらく1カ月あるかどうか。今のチームは、雰囲気がいいので、そのなかでサッカーの中身をどれだけ全力で詰めていけるかが大事になってくるし、その作業は絶対に必要なことだと思います。

 残り2カ月ですけど、選手個々は日々少しずつ成長できるんです。ここからオリンピックに向けて、一人ひとりがどれだけ努力できるか、じゃないでしょうか。

――それぞれの所属リーグが終了し、個々で調整するのも難しい部分もあるかもしれません。

岩渕 オリンピックとワールドカップは同じ世界大会ですから、ワクワクする気持ちは変わらない。「難しい」って感じている以上に、楽しみのほうが大きいと思います。(メンバーに)選ばれるかどうか当落選上の選手もいて、選手たちはいろんなプレッシャーを抱えているかもしれませんが、そうしたことも含めて(最終的には)楽しんでサッカーしてもらえればいいな、と思っています。

――ズバリ、なでしこジャパンはパリ五輪でどこまでいけるでしょうか。

岩渕 グループリーグは絶対に突破しなきゃいけないですよね。日本が入ったグループCは、昨年のワールドカップを制したスペイン、五分の戦いを繰り返しているブラジル、そしてあまり対戦経験がないアフリカ勢のナイジェリアと、なかなかのメンツ。確かに厳しいグループですけど、A、B、Cの各グループ3位のうち、上位2チームが決勝トーナメント(準々決勝)に進出できる。そういう可能性のあるなかで、グループリーグで負けてはいけないと思うんです。

 こういうことを言うと、余計なプレッシャーになるかもしれないけど......。でも、そこで負けたらいけないって思っちゃうんですよね。だから、ベスト8には行ってほしい! 本音を言えば、ベスト4まで行ってほしいんですけど。

――ベスト4まで行けると、メダル争いに身を置くことができます。

岩渕 あの緊張感のなかで戦えるのは、とてつもない自信と充実感を得られるはず。そのために、私も全力で応援したいと思います!

(おわり)

岩渕真奈(いわぶち・まな)
1993年3月18日生まれ。東京都出身。2005年に日テレ・メニーナ入りし、2008年にトップチームの日テレ・ベレーザに昇格。同年、U−17女子ワールドカップに出場して活躍。日本は準々決勝で敗れたものの、大会MVPを獲得して世界的に脚光を浴びる。2010年には16歳ながらなでしこジャパン入り。その年、U−20女子ワールドカップにも出場した。翌年、ドイツで開催された2011年女子ワールドカップに出場し、世界の頂点を味わう。2012年ロンドン五輪、2015年女子ワールドカップ・カナダ大会にも出場し、ともにチームの銀メダル獲得に貢献した。所属クラブは、2012年にドイツのホフェンハイムに移籍。以降、バイエルン・ミュンヘン、INAC神戸レオネッサ、アストン・ヴィラ、アーセナル、トッテナムでプレー。2023年9月、現役引退を発表した。現在は解説者をはじめ、さまざまなことにチャレンジしている。Instagram>>

<スタッフ>
吉崎沙世子(io)●ヘア&メイク、辻村真理●スタイリスト、動画撮影&制作●市川陽介、動画ディレクター●池田タツ(スポーツフォース)

<衣装クレジット>
ベスト¥36300・パンツ¥35200/ティッカ ブレスレット¥15400(イットアトリエ)・ネックレス¥8580(エイチアッシュ)・リング¥22000(オンブル ビジュー)/フォーティーン ショールーム 靴¥59400/ティースクエア プレスルーム(テラ) インナー/スタイリスト私物

ティースクエア プレスルーム 03-5770-7068
ティッカ https://ticca.jp/
フォーティーン ショールーム 03-5772-1304

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